【機械設計技術者試験3級】「反力を求めよ」と言われるくらいだから、そもそも未知なものを相手しているという認識を持った方がいいと言う話。
まず次の図の地面に立っている人間に働く力を図示せよと言われたら?
多くの人はこう書く。
なぜ、このように垂直抗力として矢印を多くの人は書くのだろう。ここに疑問を持っているかで力に対する考え方が変わるはずだ。
たとえば、未知の力なんだからこう描いたっていい。
この未知反力Rが冒頭のように地面対して垂直であるかどうか厳密に静力学を考えることで検証する。まず、この静止した人間に働くすべての力を鉛直、水平方向に調べてみる。
反力Rの鉛直・水平方向の分力をそれぞれN、Fとし、人間に働く
重力をWとする。この時、各方向に対して運動方程式は、人間の質量をmとして、
水平:m*0=F
鉛直:m*0=W-N
と表せ、したがって、
F=0,N=Wを得る。
つまり、最初に描いた反力のベクトルの水平分力Fはないと言うことがわかった。このようにして、地面の上で静止した人間に働く反力の方向は垂直抗力のみであるということだ。
前置きが長くなったが、令和2年度の機械設計技術者試験3級の機械力学1の問題は、高校などで習う物理の問題に他ならないが、(2)で求めることとなる反力R_Aは、まず、水平、鉛直の2成分について力の釣り合いを求めてからその得られた分力を合成する必要がある。
ポイントとなるのは、壁面となす角30°の棒に働く反力R_Aは棒に沿っているものではないと注意されたい。力はベクトルで大きさと向きをもち、未知の力はその方向さえも力の釣り合いによってのみ決定されるということを肝に命じさせてくれる良い問題であった。