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【読書記録】二人の少女の運命を分けたものは何か。『少女葬』櫛木理宇
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新潮文庫
あらすじ
一人の少女が壮絶なリンチの果てに殺害された。その死体画像を見つめるのは、彼女と共に生活したことのあるかつての家出少女だった。劣悪なシェアハウスでの生活、芽生えたはずの友情、そして別離。なぜ、心優しいあの少女はここまで酷く死ななければならなかったのか? 些細なきっかけで醜悪な貧困ビジネスへ巻き込まれ、運命を歪められた少女たちの友情と抗いを描く衝撃作。『FEED』改題。(解説・大矢博)
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感想
面白かったです。怖かったです。さすが、櫛木先生です。
読んだ後にいろいろ考えさせられました。。辛い。
ネタバレもありますので、読む方は気を付けてお読みください。
思わず、姪っ子に連絡。
櫛木先生のお話は、「自分にも起こるかもしれない」と思わせるから、とても怖いです。私には子どもがいませんが、もしいたら、恐ろしくてたまらないと思う。思わず、姪っ子(小2)に連絡してしまいました。注意するんだよ、と・・・。でも、注意も難しいです。
危険を嗅ぎ分けられる力。
「危険を嗅ぎ分けられる力」ってどうやってつくんでしょうか。
綾希と眞実の違いは、「危険がどうか察知できる力」。この人はやばいとか、この状況はまずい、今、これを言ったらどうなるか、言わなかったらどうなる、想像する力・・・
眞実も殺されていいような子ではなかった。でも少し、弱くて愚かで足りなかった。知らなかった。
「いい子とか悪い子とか、そんなん関係あれへん。あかんもんは、あかんのよ。それだけ」
拘置所で三津子が眞実について言った言葉が、印象深い。
誰にでも起こること。だから怖い。
今朝も北海道で集団リンチの事件がありました。
高校生と大学生による犯行。被害者は20代男性。全裸で公園で倒れているのが発見されました。
綾希と眞実は16歳の家出少女だったけど、眞実に起こったことは、家出少女に限らない。16歳とも限らない。誰にでも起こりうること。海里みたいな女はその辺にいる。
それが本当に、恐ろしい。
彼女たちに余裕なんて、ない。
綾希は本を読んでいたからかなぁ、と勝手に考えてしまう。
父親はひどい人だったけど、それなりにちゃんとした環境で教育を受けていたから?危険を察することができたのか。
彼女にあと少しでも余裕があれば、眞実を救うことができたかもしれない。
でも、所持金がどんどん減り、保険証もなく病気にもなれず、16歳で携帯もなくては仕事も見つからず、明日生きるか死ぬか、親には絶対見つかりたくない彼女たちにとって、余裕なんてない。
これを機会に、引用・参考文献に挙げられている「チャイルド・プア」「貧困」についての本を読んでみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(*^-^*)