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【読書記録】心臓のばくばくが聴こえる。『火の粉』雫井脩介


『火の粉』雫井脩介
幻冬舎文庫

あらすじ

累計55万部突破のミステリー。
「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。
愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い……。
武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を摑む。
しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり……。
最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説!

Amazonより
577ページ。いい厚さ。

感想

行きつけの喫茶・珈琲館で最後を読み終えましたが、周りの音が全く聞こえませんでした。
ほぼ満席だったのに。集中しすぎて若干気持ち悪い。
終盤はもうハラハラ、怖くて、心臓がばくばくしてるのに気付きました。
本ってすごいな、文字だけでこんなにハラハラ、ワクワク、ドキドキ、ばくばくさせてくれるなんて…  

知人が隣に引っ越しくる薄気味悪さ

それほど仲良くもない知人が、急に隣に引っ越してきたら気持ち悪いですよね。え、、ってなります。
このお話は、元裁判官・梶間勲の隣の家に、自分が無罪判決を下した男が引っ越してきます。この男・武内真伍は3人を殺した容疑で捕まり、自白したのに無罪になっている。。警察の執拗な取り調べによるものだと全面否認するわけだけど、動機がいかにも希薄であるからを理由に梶間が無罪判決を下すのもなんとも。

ハラハラさせられるけど、エンターテインメント感だけではない重さ

犯人はおおよそ分かっている・・・けど読み進めてしまう面白さ。でも軽くはない。登場人物の描写が細かくて、それぞれに感情移入できます。
書き出しは梶間勲を視点から綴られるが、物語は主に妻と息子の妻の視点で描かれていく。
介護、遺言、子育て、ママ友、虐待・・・描き方が重くて深い。

この武内を、単なる二面性の人格破綻者として描いていないところが、本書の一番の読みどころであり、作家・雫井脩介の凄みだと私は思う。

本文の解説より

この作品に出会えて幸せだな、と思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(*^-^*)

作品紹介


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