読書感想文 「東大生はバカになったか 知的亡国論+現代教養論」 立花隆
⭐️高等遊民を目指して毎日読書
2001年に出版された本。90年代に雑誌掲載された文章の焼き直しが多く、25年くらい前に書かれた本と考えた方が良いです。
今回は「お金を払って読む価値のある本だったか」という観点で感想を書きます。
まず、私にとっての「お金を払って読む価値のある本」は以下の3つを満たす本です。
1)類似の内容がネット記事に書かれていないこと
2)新たな気づきが得られ、熟考したくなること
3)何度も読み返したくなる内容であること
次に、内容を大きくまとめると以下の4つになります。
①「最近の東大生の学力低下」
②「学力低下となっている要因」
③「著者の学生時代エピソード」
④「本当の教養についての考察」
①「最近の東大生の学力低下」
分数ができない、論述ができないなど、複数の観点から事例があげられていますが、ネット記事でも多く取り上げられている内容です。おそらく、この書籍を元にネットでも取り上げるようになったと思われます。
②「学力低下となっている要因」
ゆとり教育をはじめとする学習カリキュラムの減少が学力低下を招いた、という論調。文部科学省の批判に近い内容が多いです。事実ではあるかと思いますが、当事者たちから見たら「上の世代に一方的に言われたくない」と思うのではないでしょうか。学習カリキュラムはこどもが自分では選べませんから。
③「著者の学生時代エピソード」
これは箸にも棒にもかからない自慢話と感じます。基本、わたしは学生運動をされた方の自慢話には眉に唾をつけて聞くことにしています。両親が汗水たらして稼いでくれたお金で大学に行ったのに、学生運動という名のテロ行為を行なっていた若者たち。私の父親(昭和12年生まれ)は彼らを厳しく非難していましたね。
④本当の教養についての考察
書籍化にあたり追加された内容です。ここは非常に読み応えがあり、立花さんの教養の深さ、知識の豊富さを感じられます。eビジネスについても触れられていました。2021年の視点で読んでも遜色ないというより、20年経っても何も変わっていないのか、、と感じ、考えさせられました。惜しいのは、ジェンダー論に全く触れられていないこと。当時の時代背景を考えれば、仕方ないことかと思います。
まとめ
私がこの本で知り、いちばん驚いたことは「1994年以降に高校入学した人は、物理を習わなくても理系の大学に入れる」ことでした。私の時代は「理科1(生物・化学・物理・地学の基礎的内容)」があり、共通一次試験(5教科7科目)の必須科目でした。上位の国立大学では足切りがあったため、国立大学志望であれば文系学生でも物理の基礎は理解していました。
デジタル時代の波に乗り遅れているのは、こういったところにも原因があるのでは?
また、「どこの会社にも東大出の困った奴がいる」というのは大企業あるあるだと思います。私の元上司も、東大出の困った奴でした!
結論
「お金を払って読む価値のある本」だったか、という観点ではYesです。半分くらいは捨て内容でしたが、自分を振り返るきっかけになりました。教養について迷った時に、読み返したくなる本と思います。
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