【映画感想文】SFみたいな陰陽師
映画の冒頭が宇宙でした。陰陽の考え方には確かに宇宙があるでしょうが、中国じゃなくて日本だからなぁと思うと違和感がありました。
また、ナレーション。当時は官僚しか出世の道がなかったと説明されています。私は歴史に詳しくありません。しかし、見ようによっては今も同じ状況ではないでしょうか?
先祖代々政治家か有名人にでもならなければ国会議員になるのは厳しいです。後は役人経験者ですよね。国を治める役割になりたければ、今も役人になるしかないんじゃないですかね(偏見)。
出世ではなく、国を良くすると言う考え方であれば、役人でなくても良いでしょう。
それにしても、世俗の様子がなくて、いきなり貴族社会の描写が始まると、昔の時代劇ドラマに染まっている人間としては、なかなか馴染めないものがありますね。
昔の時代劇小説であれば、柳の木が植っている日本橋を行き来する人の雑踏から始まります。あるいは団子屋でスリにあったりだとか、長屋に借金取りが踏み込む場面でもいいですね。
今は音楽でも映画でも導入がなくて、ストーリーがいきなり始まるので、理解がなかなか追いつきません。昔の看板に絵を描いたものと今のCGで作られた現実感のなさとであれば、どちらが背景としてなじみ深いでしょうか?
それにしても、登場人物の身だしなみがきちんとしていない割には、顔立ちの整った登場人物ばかりです。餓えにあえいでいた一般庶民よりは、坊主も陰陽師も裕福であっただろうと思われます。しかし、ふくよかな人が誰もおらず、皆さん頬がこけています。そして女性が出てこない。日本のドラマって女性がメインではないと、本当に女性の登場人物が出てこなくなりましたよね。
誰かを呪ったり祟られたりだとか、女性がその対象であることも多かったのではないでしょうか。その対策について、男性でしか話し合わなかったと考えるのは、男性ばかりでしか話し合わない現代の特徴だと言う気もします。女性は奥に引きこもっていたと言っても相談位はしたんじゃないでしょうかね。そうでなければ、赤添右衛門も清少納言も、紫式部も、後の有能な女房たちも生まれなかったでしょう。
ストーリーよりもセットや背景が凝っていて、その雰囲気を楽しむ価値があります。私が思っているその時代の雰囲気ではなく、妙に薄暗く、登場人物もみんな性格が暗いものの、歌詞が覚えられない流行の歌を楽しむように雰囲気に酔う感じのドラマだと思いました。