人生の大半を〇〇として過ごすなんて耐えられない 〜星の王子さまを読み終わった後の人たちへ〜19
お姫さまは低い山に登った。自力で登ったのではない。私が車で連れて行った。赤いリードをつけられ、お姫さまはしばらく周囲を警戒していたが、慎重に歩き出すと一番見晴らしの良い場所に陣取った。きれいに間伐された林の中で切り株を腰掛け代わりに町並みを見下ろした。
低い山だったが、〈こんなに高い山からなら〉とお姫さまは思った。〈この町の様子も人間たちも、きっと一目で見渡せるだろうな…〉ところが見えたのは、林立する杉林の峰ばかりだったのだ。
「こんにちは」念のために、お姫さまはあいさつ