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人生の大半を○○として過ごすなんて耐えられない ~星の王子さまを読み終わったあとの人たちへ~ ⑱

テレビやスマホの中の砂嵐がおさまると、ヘビのいなくなった砂漠だけが残った。サボテンの花くらいしかない。背丈の低いサボテンの花びらは薄く何枚も重なっていた・・・・・
「ねえ、へびさん」お姫さまは言った。
「なんだい」へびは答えた。
「人間たちはどこにいるんでしょう?」お姫さまはていねいにたずねた。
へびは一度キャラバンが通るのを見たことがあった。
「人間たち?いると思うよ、六、七人。もう何年も前に見たよ。でもどこにいるのかはさっぱりわからない。風があちこち連れていくのよ。根がないんだもの。ずいぶん不便でしょうね」
「人間は出会って別れる生き物だからね。くわえていまは、少子化だもの」お姫さまは、知った風に答えた。
「そうかい。しかし、砂漠が広がったら、その少子化ってやつはひどくなるのかな」
へびが言った。少子化だろうと、砂漠化だろうと、人間はいつかいなくなってしまうかもしれない。
お姫さまは何も答えられなかった。

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マガジンが増えて収拾がつかず、普段の日記と区別するために有料にすることにしました。 素人短編を書いていこうと思います。内容の保証はできませ…

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