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マラソンにも効く?魔法の歌『Pata Pata』
いちど聴いたら忘れられない曲、というのがあります。好きなタイプのメロディだったら、なおさらです。私にとって、「ママ・アフリカ」とも呼ばれる南アフリカのシンガー、ミリアム・マケバが歌う『Pata Pata』はそんな曲のひとつです。
そしてこの曲は、普段ランニング中に音楽を聴くことのない私が、たまにAudibleのオーディオブックの代わりに聴きながら走る曲でもあります。
よく知られるバージョンがレコーディングされたのは1967年。ひと言で説明するなら、昔の陽気なダンスナンバー、とでもいうのでしょうか。聴いているだけで身体を揺らしたくなるような曲です。
マーヴィン・ゲイがタミー・テレルとデュエットしていた頃の無邪気なソウル・ミュージックが好きな私にとって、『Pata Pata』はまさに好みのど真ん中です。
好きな曲とはいえ、普段走るときに音楽を聴かない私がなぜこれを聴いてみようと思ったのか。それには、あるポッドキャストの番組が関係しています。英語を学びながら音楽も楽しむために聞いている、「SOUL MUSIC」というポッドキャストです。
このポッドキャストは毎回ひとつの曲をテーマにして、それが生まれた背景や同時代に聴いていた人の思い出などが紹介されます。
もう1年ぐらい前になりますが、『Pata Pata』が取り上げられました。これは!と思って何度も聞き返しているうちに、『Pata Pata』はただの陽気なダンス曲ではなく、当時アパルトヘイトが行われていた南アフリカの状況を批判的に世界に知らせる意図も含まれていたことを知りました。
実際、代表的な『Pata Pata』のバージョンがレコーディングされたのは南アフリカではなくアメリカです。ミリアム・マケバは反アパルトヘイト活動で国外追放となっていたそうです。そんな「反骨の歌」としての側面も、『Pata Pata』にパワーを与えているのだと思います。
そして、このポッドキャストで特に私が惹きつけられたのが、30年以上ランニングを続けてきた南アフリカのBuks van Heerdenさんがコメントを寄せている部分でした。
Buksさんは長年フルマラソンでペースランナーを務めています。ペーサーには色々なタイプがいるけれど、自分は賑やかにするのが好きだと言います。Buksさんにとって『Pata Pata』は特別な曲です。35kmぐらいでランナーが疲労困憊してくる頃、『Pata Pata』をかけるとムードを盛り上げることができるのだそうです。
Running is a dance. And you need to keep the rhythm.
とBuksさんは言っています。踊るように走ってリズムを保つのに『Pata Pata』が効果を発揮するということなのでしょう。
このポッドキャストを聞いてから、私は自分のランニングで『Pata Pata』をかけてみたくなりました。せっかくなら、普通のランではなく自分が疲れ果てるようなときに聴いてみたい。そう思って、60km走をするときにしようと決めました。
実際に曲を聴いたのは、45kmぐらいの場所です。ごくわずかな時間のためにイヤホンをずっと付けるのは避けたかったので、イヤホンはありません。周りに人がいなくて家もない場所を通るときに、ボリュームを抑えて『Pata Pata』をかけました。
そうしたら。
相当重くなっていた脚が、いくらか動かしやすくなったように感じました。気分が上がり、走りのリズムが戻ったきたのでしょう。『Pata Pata』が持つポジティブなエネルギーは、疲れた心と体にも染み渡ってきました。
これはいいと思って、また疲れてきた53kmぐらいでもう一度聴き、60kmを無事に走り終えました。
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私はフルマラソンを走るとき、自分のペースで進みたいのでペーサーに付いていくことはしません。だからペーサーの方がどんな風にランナーを奮い立たせているのか知りません。でも多分、ペーサーが歌を歌ったり音楽をかけたりということは日本ではあまりされていないのではないかと思います。もし『Pata Pata』で励ましてくれるペーサーがいたら、一緒に走ってみたい気がします。
“ママ・アフリカ”ミリアム・マケバは、ほかにもいい曲をたくさん歌っています。ご興味があればぜひ、聴いてみてください。
ベスト盤などの中には、後年録音された『Phata Phata』という曲が収録されているものがあります。こちらは『Pata Pata』とは全然違うのでご注意を!
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