NUDGEを世に送り出してから1年経った今、感じること
半年に一度の、振り返りnoteの日がやってきました。そう、今日はNUDGEの1周年!半年に一度、と恒例行事にする気はさらさらなく、もっと書けたらと思ってはいるのですが、数時間集中して、頭や心にある言葉になっていないものを言葉に変換して吐き出す作業には、まとまった時間が必要なので、なかなかnoteを書くことに私の可処分時間をまわせずにいます。
隙間時間で保存を重ねながら少しずつ言葉をつなげていける器用さがあったらいいのだけど。でも、2期目は、「手放す」を掲げているので、これからは書くことにも時間を使いたいと思っています。
さてさて、1年経ちました。
せっかくなので今の気持ちやこの1年を振り返ってみようと思う。のだけれども、この1年の学びは、当たり前ながら今日のような覚悟を固める節目の日にではなく、とにかく日々の中にありました。
昨日は国際女性デー、今日は1周年、と気持ちを改める日が続くけれど、自然界にはそんな誰かが定めた節目などなくて、木も動物も、淡々を今を過ごしている。節目は、きっとまわりのひとへの感謝と、自分との約束をきちんと言葉にする機会を担っているけれど、本来それを日々の一瞬一瞬できるひとでありたいな、と思います。
とにかく、ひとは経験からしか学ばない。だからこそ、この1年頭のなかでぐるぐる考えていたことでなく、チャレンジしたから体験した失敗やうまくいったことを、今日は振り返ってみようと思います。(数字からみる振り返りはまた別途したいけれど、今日はもうすこし抽象的な話を。)
1年やってきて思うのは、事業をどうするのか長期的な事業計画を作ることより、どれだけ目の前のお客様を大切にできるか、その積み重ねの中にしか答えはない、ということです。
ひとつずつ重ねた仕事がこうやって1年という単位で積みあがって、今日を迎えたことには本当に感謝。感謝の気持ちは、インスタで伝えているのでこちらも良かったら見てください。
1年の間の大まかな出来事・取り組み
3月 ブランドローンチ
ローンチ後2週間でインドの工場閉鎖
4月 工場閉鎖
緊急事態宣言でとにかく育児に必死
5月 工場稼働率を下げて再開
引き続き育児に必死
6月 カメラスクールに通いだす
7月 一眼レフカメラ新調
プレゼント企画(insta 500follower)
8月 初のリアルなオーダー会開催
(以後ほぼ毎月1回は定期開催)
9月 (息切れ)
10月 松屋銀座に期間限定で出店
11月 zoomカウンセリングの導入
現地QCメンバーの参画
12月 プレゼント企画(insta 1,000follower)
ギフトチケットをローンチ
インド在住の友人に出張代行依頼
1月 ネイルアート用に天然石の卸を始める
2月 音声配信「徒然NUDGE」開始
3月 チャットオーダーの受付期間の変更
色々ありました。9月は息切れしてました。
亀の歩みで何も進んでない、と思っていたけれど去年の3月よりは明らかに進んでいるな、と急に実感が湧いてきました。
工場探しの旅
実は、上記欄外の昨年2月末、まだ日本のメディアではコロナは武漢のものとして報道されていたころ、単身で1週間インドに渡航していました。あのとき、大阪の実家から母にきてもらい、夫と子供ふたりと(夫にとって)義母の4人生活をしてもらった1週間があったから、今の工場と膝を突き合わせて話ができたおかげでNUDGEを始めれたとおもっています。気を遣い合ったとおもうけれど、夫と母、ありがとう。
話は遡ってインドに住んでいた2018年。ジュエリーのOEM先(委託生産をしてくれる工場)をどう探したらいいのか皆目見当もつかず、一番最初にいったのは工場ではなく、日本人がジュエリーを求める宝飾店でした。
それから、住んでいたグルガオンという街に、工房を併設している小売店があることを友人から聞き、次はそこへ。
まだ、関係性ができていないままでしたが、今後も受注生産をつづけてもらえるか?の投げかけに、インド人お得意「No problem.」の(信じてはならない)太鼓判をいただき、唯一その工房を当てに帰国の日を迎えました。
日本に戻ってから、当たり前なのですが、日本人への卸売を当てに商売をしていなかったその工房との関係性は発展しないまま。どうにかその工房に働いてもらえるよう投げかけを続けていましたが、半年ほど経ってもう無理だと半ば諦め、日本で商売をしているインド人の方を探したり、色々な方法で工場開拓をしていました。
そして、帰国後1年経った2年前、妊娠7か月、2歳前の娘を連れて、新たな工場開拓のためのジャイプールへ渡印。結局、その当時出向いたいくつかの工場とは方向性が合わず、いずれの工場にも今はお願いしていないのですが、石屋さんとのご縁は続いています。
そして、1年前。オンライン経由で見つけたある工場にサンプルの発注をしたところ、クオリティ・納期に問題がなく、何より世代が同じでこれから「他の国でお店を出したり、海外で勝負できる会社になりたい」という大きな彼らの夢と、私の「NUDGEのジュエリーを通して、みんなが自分らしく生きれる社会にしたい」が交錯した!と思い、ぜひこの工場と一緒にやっていきたいというところが見つかりました。
とはいえ、インドに住んでいたからわかるのですが、彼らのロイヤリティ(しっくりくる日本語訳がないのですが、情や忠誠心)は、一緒に過ごす時間の中でしか培われません。インドに行かずしてブランドを始めるのは不可能だと思い、検討していた3/9のブランドローンチ前、忍び寄るコロナの気配の合間を縫って、ジャイプールに足を運びました。
そこから、NUDGEは「できるだろうか」から「やってみよう」に一気に風向きが変わったように思います。
ローンチしてからの私の意識のベクトル
工場の目星がたち、無事にローンチをしたNUDGEですが、すぐにコロナの影響でインド国内全域がロックダウンで工場も閉まり、日本での自分たちの生活も、保育園という生活インフラなしでは、ただ毎日を無事に終えることに必死な2か月。あのときはこの1年の中でも一番フラストレーションが溜まっていたと思い返します。
その時期を超えてから、年内は私の意識はかなりお客様に向き、年末~今にかけては事業の仕組み化について意識が向く、というような気持ちの変化がありました。
月ごとにやってきたことを見たらわかるように、カメラを習ってインスタで伝わる写真を撮るための努力をしたり、オーダー会・zoomカウンセリング・百貨店でのポップアップなどお客様との接点をどう作るかなど、NUDGEを知ってもらうことにしばらく注力していました。
おかげで年末になるころには、自分と元々の繋がりのなかった一見さんのお客様も次第に増えていきました。
一方、インドの工場が発注に対して、「オーダーしたものととおなじものを」「日本人の納得するクオリティで」「納期通りに届ける」ことができていない問題が、オーダー数が増えることでより明るみになってきました。
ローンチ後長らく、販売より生産に課題感を抱えていたものの、コロナや、遠隔での生産管理の難しさを免罪符にしていた自分もどこかにいました。ただ、その状況に付き合いきれないお客さまが当たり前ですが出てきました。
情けなく、辛いのですが、沈んだ気持ちに浸る時間があったら解決できるよう仕組みを変えていくしかない。そんな意識の変化が、ローンチ後半年経ったあたりからあり、11月からはQC(クオリティコントロール:品質管理)と私が日本からのQCを実現できるよう、商品完成後に一眼レフでの写真撮影を撮ってくれる現地のインド人の方に、仕事を外注するようになりました。
そして、年末にはヒンディー語を話せ、現地で自分でビジネスをしているインド在住の友人に、私の代わりに工場のあるジャイプールに出張してもらい、課題解決のためのミーティングや(私はzoomで参加)、工場・石屋さん行脚をしてもらいました。
彼女は、「NUDGEの求める品質・納期をクリアしていくことは、これから会社を大きく、世界で勝負する上で必ずあなたたちの力になる」ということをしつこく伝えてくれました。
そのおかげもあって、インドの工場にも大きな意識変化があり、それ以降、生産体制や受注方法、シートの管理方法などの見直しを自分たちで考え提案してくれるように。目線合わせができたことは、NUDGEにとって大きな助けとなりました。
直近は、売り上げは右肩あがりなのに、なかなか利益がでていない状況が苦しく、人力で心を込めてやること、人がやらなくていいことは自動化して時間を作り出すことをきっちり分けて、事業をサステナブルに継続していく方法を模索しだしたところです。
とにかくこの1年は夢中で仕方なかったのですが、自分自身を搾取するような働き方(深夜まで仕事をしたり、収益性がなくてもボランティア精神でやったり)はそもそもNUDGEの思想に反するので、関わってくれる人が全員ハッピーであるよう、NUDGEの体制を整えて行きたいと思っています。
体力と気力を総動員させる力技で取り組んできたこの1年(本当にどちらも人並み以上に持っててよかった。資金よりも必要ではないかと思う。)、たくさんの小さなチャレンジの積み重ねの中で思い至ったことです。
2期目以降やっていきたいこと
ここからは今時点ではまだ見通しが立っていないですが、言葉にしたらどうやったら実現できるか責任もって考えていくと思うので、自分への約束として今後のやっていきたいことを並べます。未来のいつの地点から振り返ったらコンプリートできているのだろう。
1.ウェブリニューアル
これは具体的に今話を進めだしています。
今まで、力を貸してくれていたメンバーはもともとの友人や、友人の知り合いなどがほとんどだったのですが、初めて外部の開発会社に相談中です。
視野も広がるので、近視眼的にならず、外部に相談できるひとがいるのは心強いなと感じてます。
具体的には、自分でデザインをカスタムできるウェブサイト完結のオーダーシステムの構築です。
自分で石の種類や形など、組み合わせの検討を自力でできる方もたくさんいらっしゃるので、今まではカウンセリングをしないとオーダーできなかったのですが、カウンセリングなしの入り口を増やそう、という意図です。
チャットでご連絡をいただく新規のお客様の中には、ご連絡するのに勇気がいりました。というお声も頂いていたので、NUDGEのバリューのひとつである、「じぶんで、作る。」を満たしつつ、オーダーのハードルを下げれるような仕組みを作れたらと思っています。楽しみにしててください。
2.カウンセラーの採用
1年やってみて、実際に自分一人で心を込めて対応できる数は、1か月で30が限界だと感じました。12月はその倍ほどのオーダーをいただいたので、正直本当にご対応が至らなかったと思います。
「なんでもいい」というお客様のほうが少なく皆様こだわりを持って、オーダーくださるので(それ自体は、流行りものを買うのではなく、自分の作りたいものをはっきりわかっていて素晴らしいと思う。)お客様とのやりとりはもちろん、工場とのやりとりも膨大になり、生産管理・品質管理が困難を極めました。
それもあって、この3月以降は、オーダー会などを除くチャットオーダーは月の前半に絞ることにしました。
▽今後のオーダー受付期間について
https://www.instagram.com/p/CL4Wqs0hS0f/?utm_source=ig_web_copy_link
インドの生産体制を見直しつつ、ウェブサイトのリニューアルでオーダー受付の工数も一定数減らして、余裕ができてきたら、次はいよいよカウンセリングできるメンバーを増やしていきたいなと思っています。
石に詳しい人、プロコーチの人など、私と違った強みを持っている方だったり、年齢・性別も自分と違う方がいてもいいなと思っています。
ブランド価値のひとつであるカウンセリングを、それぞれ異なる視点から提供できたら面白いだろうなぁ。やりたい。
3.インドツアー
旅行業法などの不勉強で、実現する方法があまり見えてないのですが、いつかやりたいこととして、お客様と一緒にジャイプールの工場に一緒にいくツアーをしたい!と思っています。
世界一周中、「自分は自分のままでいい」ということを教えてくれた圧倒的エネルギーに溢れた国、インド。
もちろん石がどうやって研磨されるのか、ジュエリーがどうやって仕立てられていくのか、その現場をみることで、モノは、勝手に店頭に陳列されているのではなく、(たとえ機械を使っていても)誰かがつくったものなのだということを五感をつかって体全部で知ることは貴重な体験だとおもうし、何より、インドの国のエネルギーを知ってほしい。
国民全員とはもちろん断言できないけど、今を、自分を、しっかり生きている人たちのあのエネルギーはすごい。目に見える景色を超えた、その空気感を肌で感じてもらえたな、と思います。
コロナの影響もあってこれはすぐには実現できないかもしれないけど、是非いつか皆さん一緒に行きましょう。子連れもいけるよ。
4.ジュエリー以外の事業の柱を増やしていく
NUDGEが掲げているミッションは、「ありのままに、自分を生きるひとを、もっと世の中に。」です。
仏教でも、ヨガ哲学でも、結局ひとは、「幸せになるために生きている。」と言われています。そう、私たちはただ幸せになりたい。
人が、幸せに、よりよく生きるための事業であれば、私はジュエリーにこだわりはなく(もちろん石はすきなのでジュエリーはずっとやっていくつもり)、なんでもやってみたい。
NUDGEの大きな的は、ウェルネス/ウェルビーイング。
「ウェルネス」
世界保健機関 (WHO) が国際的に提示した、「健康」の定義をより踏み込んで、そして広範囲な視点から見た健康観を意味する。1961年に、アメリカの医学者、ハルバート・ダンによって提唱され、ウエルネスの用語が作られた。
世界保健機関(WHO)による「健康」の定義は、「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」よりもさらに広い視野でとらえた健康観であり、「前向きに生きようとする心」や「自分に適したライフスタイルの確立」など、より自発的な健康促進に重きを置く概念。
(引用:国立大学法人琉球大学 ウェルネス研究分野)
「ウェルビーイング」
身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。世界保健機関(WHO)憲章の前文では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます。
(引用:日本WHO協会(訳))
これらを目指す上で、まずは、自分が自分と一致していく(他人軸から自分軸、自分らしく生きるなど言い回しは色々あるけれど)ことがウェルビーイングのスタートラインだと思うので、今は粛々とジュエリーでそれをすこしでも実現できるよう頑張り、それらを実現するための武器は、将来的にジュエリー以外にも是非、増やしていきたい。衣・食・住・旅・瞑想・自然.. 無限です。
最後に
今、私の頭の中にあること、4つを出してみました。
自分の中では実現可能性の高い順に。でも近い未来で、すこしずつでいいから全部やりたい。
利己と利他が循環して「世界中のひとが自分らしく」いれたら、きっと戦争だってなくなる。自分が自分でいることが約束されたら、まわりの人がそういれるよう他者も尊重できる。
小さな小さなブランドだけど、掲げることは恥ずかしげもなく、壮大に。
とはいえ、自分が取り組むことのできる、目の前の具体的なことをやっていこうと思います。まずは目の前のお客さまの期待を超えるジュエリーをつくる体験を、共にしていきたいです。
2期目もどうぞ、よろしくお願いいたします。