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病気になった体験を自分の資産にしていく~エフェクチュエーション理論を学んでリフレーミング♯126

とっても密度の濃い、1か月だった。
乳がんがわかり、自分の命についてこれほど考えたことは、今まで無かったからだ。しばらくは落ち込んだし、悲しくて、ヤル気を起こそうにも起きない日も数日間もあったけれど、いろんな人の話を聴いて、感じたことをnoteで言語化しているうちに、「乳がん」のイメージに思考も行動も縛られている自分に気づいた。そりゃ、もちろん手術や治療が始まって、私を待ち受けているのは、苦痛かもしれない。いや、限りなく高い可能性で苦痛はあるだろう。でも、私の「乳がん闘病」はどんなものになるかはわからない。
それを今から「これから苦痛ばかり」と案じたところで、それを解消できるわけではない。それよりも、苦痛があったときの対応策を今から準備しておくほうがいい。悲しさや不安が、私の行動までも縛ろうとしてくる状態がよくないと思った。

この1カ月間、検査をいろいろ受け、ステージやがんのタイプが確定した。
父親には、「手術はまだか!」とたびたび言われたが、私にとっては、不安と向き合い、メンタルを整える上で、これはこれで意味のある1か月間だった。

私は子連れMBAというラーニングコミュニティで活動をしてきたが、そこで経営理論の「エフェクチュエーション理論」というものを取り上げ、エッセンスを抜粋して、毎月、メンバーが理論を自分事にできるようなワークをコミュニティ内で発信してきた。
ちなみにエフェクチュエーションとは、すぐれた起業家が実践している思考・行動様式を5つにまとめた理論であるが、その中で「レモネードの法則」というものがある。

When life gives you lemons, make lemonade.
~人生が酸っぱいレモンを与えるならば、レモネードをつくれ~

という英語の格言がある。

美味しい果物を手に入れたいと期待したにもかかわらず、酸っぱくて食べられないレモンしか手に入らないのなら、手に入れたレモンを捨てたりせずに、酸っぱいレモンはよりおいしい飲み物を作る原料にすればいいという発想だ。
すぐれた起業家は、不確実性の中で予期せぬ事柄が起きたとき、それがたとえネガティブなものであったとしても、それを手持ち資源(エフェクチュエーションでは「手中の鳥」と表現)の拡張機会と捉え、新しく「何ができるか」を発想するのだそう。

ちなみに、これは、エフェクチュエーション本の著者、吉田満梨先生がわかりやすく「レモネードの法則」を解説されている動画である。

ちなみに、今月はこの「レモネードの法則」を取り上げたが、まさに病気という予測していないかった不運に見舞われた自分にも刺さる理論だった。

具体的には、以下のステップで、棚卸してみるとよい。

あなたに起きた/起きている 予期せぬ事態を①-④のプロセスで棚卸してみましょう。

①あなたに起きた予期せぬ事態を書いてみましょう。
②同じ現実に対する見方を変えてみましょう。(リフレーミング)
③予期せぬ事態をきっかけにどのような「手持ちの手段(資源)」が拡張できますか?
④拡張した手持ちの手段(資源)を活用して「何ができるか」を発想する

参考:ダイヤモンド社『エフェクチュエーション』吉田満梨・中村龍太 第4章P44~P62

例えば、私がキャリアの切り口で、乳がんを捉えた場合、こんな感じだ。

①あなたに起きた予期せぬ事態を書いてみましょう。

思いもよらぬ、乳がんの発覚。

②同じ現実に対する見方を変えてみましょう。(リフレーミング)
転勤帯同生活が落ち着き、ようやく仕事に打ち込めるようになったこの1年半。色々地盤固めして、この先の目標も見えてきたときにわかった乳がん。正直、ショックすぎて、この1か月、めちゃ落ち込んだ。
ただそれを伝えた友達には、「私も同じような経験をしたことある」「今、子供が入院している」「家族ががん闘病中だ」など声をかけてもらうように。確かに、自分の辛さ、悲しさって、誰彼構わず話せるものでもないし、弱くなった自分だからこそ、打ち明けてくれたのかなと思うと、この経験を、人と向き合う自分の仕事(キャリアコンサルティング、高校教員)でも活かすことができるかもと見方がかわってきた。

③予期せぬ事態をきっかけにどのような「手持ちの手段(資源)」が拡張できますか?
ある意味「中年の危機」を現在進行形で体験中。また治療と育児・仕事の両立を今後、トライしていくことに。そこでの経験、知恵は、他の人が求めるノウハウになりえるのかも?治療が落ち着いたら、以前、キャリアコンサルタントの養成講座で講師が教えてくださった両立支援コーディネーター研修を受けたい。

④拡張した手持ちの手段(資源)を活用して「何ができるか」を発想する
すぐに思いつくところで言えば、病気とキャリアの両立に悩むクライアントさんに寄り添ったキャリアコンサルタント活動。他にも色々ありそう。
繋がれるネットワークも沢山あるはず。
落ち着いたら、そういうところにも、顔出してみよう。

こんなこと、つい2、3週間前の自分には考えられなかったし、これから先、治療が進むにつれ、自分のメンタルは一進一退になるかもしれない。
「不安があるときは、未来のことなんて考えられない。」
これはキャリアコンサルタント養成講座の講師が話していたことだ。
だから、前向きなことが考えられない時期も焦る必要はないと思う。
でも、メンタルが安定しているときには、なるべくこの先の自分が前向きになれるようなことを考えておきたい。

病気にも役立つ経営理論。
この経験が私の資産として変えて行けるようがんばろう。

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