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働き盛り、2児の母。がん患者、高額療養費引き上げ問題に思うこと~差し伸べていた手すらひっこめて、それでいいのか?♯166

高額療養費制度の自己負担額引き上げが話題になっているけれど、
乳がん治療中の当事者としては、本当にやめてほしい。その一言。
ちなみに私、40歳、2児(9歳、5歳)の子育て中です。

乳がんは、治療が個別化していて、その人のタイプにあった効果的な治療ができるようになってきているが、まずそれを判断するための検査費が高い。検査をあれこれ受けていたら、次から次へと諭吉&栄一が飛んでいく。
あと、場合によっては数十万する検査も受けることも。
私が受けたのは
遺伝性の乳がんかどうかを判断する検査と、
がんの再発率を測る検査(抗がん剤するかどうかの判断材料になる)。
どちらも保険適用だけど、それでも高額なので、高額療養費制度のお陰で「多少は」助かっている。それでも高い。しかも、同じ月にこれらをまとめて受けられるわけではないから、上限額をたびたび支払わないといけなくなる。

今、検査の結果待ちだけど、抗がん剤をするとなると、それもまた高額、しかも長期に渡ると聞くので、これからどれだけお金がかかってくるんだろう・・・と思うとぞっとする。

幸い私が両立できるよう職場にはかなり配慮をしてもらっているから、なんとか辞めずに働けてはいる。でも治療を優先するとなると、現状、以前のような働き方ができるわけではない。職場に与えている負担感も否めない。

今、「治療と仕事両立支援コーディネーター研修」を受けているけれど
がん診断後、退職・廃業を選択した人は全体の約2割。
そのうち、治療開始前の離職が56.8%を占めるというデータもある。
※厚生労働省委託事業「平成30年度患者体験調査報告書」(国立がん研究センターがん対策情報センター)より

あと我が家に至っては、子どもが9歳、5歳。これからどんどん教育費がかかってくる。家も建てて、これからローン返済ものしかかる。
あと今後、高齢の両親の介護問題だってある。

ただでさえ、闘病を強いられるなかで、この自己負担額が引き上げられることが何を意味しているのか、政治家は想像できているのだろうか?
特に働き盛りの世代。下図は、スーパーという学者の『ライフキャリアレインボー』という図。ちょうど働き盛りと言われる30-50代の世代、さまざまな役割を担っていることがわかる。

自身が働けず所得が落ちる。
だけど、子供や親もケアも担わないといけない。
住宅ローンの返済だってある。教育費もかかる。
色々アウトソースしないとまわらないのに、高額な医療費が継続的にかかるとなると、切り詰めないといけない。
この切実な状況を想像したうえでの高額療養費自己負担額引き上げなのだろうか?

今やがんは2人に1人がかかる時代。私が罹患している乳がんは女性の9人に1人。40代以降、働き盛りの世代で罹患率が上がる病気だ。
働き盛りで大病を経験している人は少数派なのかもしれないけれど、健康な人もどうか想像してほしい。
私自身、乳がんになったと言うと、「実は私も!」という同世代もけっこういる。あとは、お母さまが乳がんを経験したという友人の声。その中でも4,50代で経験したという人はけっこう多い。
どれだけ健康に配慮していたとしても、自分が意図せず、病気は突然やってくる。誰がなってもおかしくない。

今の日本で医療費の財源が足りないことはわかる。
でも、例えばマッサージ店、単なる肩こりで来る客、保険治療する必要がないのに、保険適用しているような店、まだまだ蔓延ってるよ・・・それが財源確保に大きく繋がるわけではないと思うけど、それでも他に打つ手は本当に無いのだろうか?不要なことをやっていないのだろうか。ムダはないのだろうか?

この困っている人を更に陥れるような方法が、今やるべき最善の策なのだろうかと問いたい。「まだ生きたい」と望む人が命をつなぎとめるためにこの制度を必要としている人は沢山いる。なんでもかんでも「自己責任」にすりかえて、困っている人に手を差し伸べないどころか、差し伸べていた手すらひっこめてしまう。
日本は、こんなに冷たい国でよいのだろうか。


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