初めてお金と真剣に向き合う①
ドイツに来てから、様々なことで悩む毎日に、最後の追い討ちをかけたのが、1年前の車の衝突事故だった。
自賠責保険は適応できたが、車両保険には入っておらず、修理や新しい車を買うことで貯金は底をつき、夫婦関係はさらに悪化した。
とにかくお金を稼ぐしかないと、当時働いていたベルリン中心部にある日本カフェで勤務日数を増やしてもらい、殺気立っていた。
車で片道10分のところにある保育園だが、事故をした後からは、毎朝自転車で往復1時間かけ子供を預け、すぐさま電車に乗り職場へ。
ドイツ名物の鉄道ストライキも、物価高騰による賃上げ要求から最高潮の時で、私の住んでいる片田舎からベルリン中心地へは、片道3時間かかる日も多々あった。
勤務時間よりも長い通勤時間。
そして帰宅は子供達が寝る時間。
そんな疲労困憊な生活をしていたひと夏の間に、子供達の身長が大きく伸びていることに気が付く。
そして恐ろしいことに、それまで私との会話は日本語だったはずなのに、いつの間にかドイツ語で子供達から話しかけられるようになっていた。
離乳食がなかなか上手く行かず、赤ちゃんらしいムチムチ体型から、いつの間にか、ガリガリに痩せた長女に気付いた時以来の、ぞくっとする寒気がした。
(当時は分からなかったが、娘は風邪をひいたりして食欲が無くなると、1日でかなり体重が落ち、見た目でもすぐに分かるくらいガリガリに痩せる。そして病気が治り、反動で食欲が倍増し、また元の体型に戻っていくという体質)
このままでは全て壊れる。駄目だ。
そう思い始めた矢先、とうとう身体に無理がたたったのか、勤務中に腰を痛め歩けなくなり、退職する流れになった。
なんとか普通に生活が出来るくらい歩けるようになった頃、夫から、
「セバスチャンのところで働いてみたら?」
と提案された。
セバスチャンは、何年か前に自分で事業を始めていた夫の友人である。
ドイツへ来た当初、有難いことに、
「もし働くところが無ければ、給料はそんなに高くないけど、うちで働いてもいいからね。」
とセバスチャンから言われていたが、ドイツ語もろくに喋れないのに、ドイツ人に囲まれた職場で働くほど、私のメンタルは強くなかった。
私より先に住んでいる日本人からドイツの情報を聞く目的もあり、従業員が日本人のみのカフェで働くことにした。
その時からもう5年が過ぎていたが、まだまだ自分のドイツ語に自信が持てず、夫の提案に答えを出せずにいた。
そして何より、移住・出産・育児・新居への引越しと、まだまだ適応しきれていない環境なのに、そこへまた更に追加で転職が加わり、変化していかなければならないことを恐れていたし、心身共に疲弊しきっていた。
しかし、考えれば考えるほど、今の私にとって最適な職場なのは間違いなかった。
・仕事内容は割りと簡単で尚且つ腰への負担が無い。
・フレックスなので、子供が体調不良で保育園からの呼び出しがあってもすぐに対応出来る。
・同僚が全員ドイツ人なので、ドイツ語の勉強を再開するきっかけになる。
「ストレス感じず働いてね。」
と言う夫の友人兼、現在の私のボス、セバスチャンの言葉に後押しされ、まずは週2のバイト(mini-job)として働く事を決めた。
2017年から始まったドイツ移住生活は、2023年暮れに第二幕が開いた。
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