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ローカル感満載。ラオスの薬草サウナで、心も体も変化した

サウナの苦手なところは、カラッとしていて、熱さで息ができないことだ。

木製でできた長椅子で火傷しそうになるし、熱い空気が飲み込めない。なので、プールや銭湯にあるサウナを積極的に使いたいと思わなかった。

ところが、ラオスで体験した薬草サウナは、高温多湿で、ちゃんと息ができる。のほほんとしたローカル感を味わいながらも、最短で、最高のデトックスができる場所だった。

古都・ルアンパバーンで、サウナ

ラオスの知り合いに「薬草サウナが良い」と教えてもらったのは1ヶ月ほど前のこと。はて、薬草サウナとは?ラオスで数ヶ月暮らしているけれど、初めて聞く言葉だった。

聞く話によると、訪れるのはローカル(ラオス人)ばかりで、観光客はほぼ居ないとのこと。入る部屋は男女別々で、休憩室は共用らしい。後から確認したが、『地球の歩き方』にも載っていなかった。

なんだかハードル高そうだな‥。興味はあるけれど、尻込みした。

その数日後、日本から遥々ラオスに遊びに来てくれたなつみさんが「薬草サウナに行きたい!」と提案してくれた。なんというタイミング。2人なら怖くない。

そんなこんなで、ラオスの古都・ルアンパバーンで、初めて薬草サウナを体験することになった。


今シーズン2回目のルアンパバーン。
今回は快晴で、幸。


訪れたのは、ルアンパバーンの街中にあるこちらのサウナ。

16:00開店だ。受付で30,000Kip(約210円)を支払うと、薄いタオルと手拭いのような大きな布を渡された。鍵付きの木製ロッカーがあるので、荷物を入れる。リュックもすんなり入る大きさのロッカーだった。

わたしたちがこの日の初客だったようで、店番の女性がサウナの準備をしてくれた。おそらく"準備"とは、火を起こすこと。ラオスの伝統サウナは、大きな釜にレモングラスなどの薬草を入れて、それを直火で煮る方法だ。そのスチームが配管を伝って部屋に届く仕組みである。

▼ワンダーユウコさんの、「ボイラー室潜入レポ」が参考になります

さて、服を着替える。薬草サウナでは、服を筒状の布一枚に着替えるとのこと。つまり大きな布を、お風呂上りのバスタオルのように巻き付けて、サウナ部屋に入るのだ。ついでに、ファンデーションなども落とし、完全に風呂に入るスタイルを整えた。

部屋の隙間からもくもくと湯気が出ている。

「良さそうですね」
「入ってみましょうか」

2人で入ってみた。

え?笑



‥‥熱い。


これは、沸騰したやかんの湯気だ。2畳くらいの部屋の中に、できたて熱々の湯気が充満している。部屋は真っ暗で、白熱灯のライトが1台のみ。蒸気で前が真っ白で、他の人の顔は全然見えない。1分足らずで、汗がポタポタしてきた。

え、こんなもんなのかな?わたくし、初めての薬草サウナ。どうしたらいいのか、わからない。ひとまず長椅子に腰掛けてみる。

5分ほどで限界がきて、外へ出た。夕方の涼しい風がふわぁっと肌をかすめた。

ギャップが、心地いい‥。

なつみさん曰く、タイの薬草サウナと比べものにならないくらい熱いとのこと。わたしたち以外にもう1人、タイ在住の日本人の方が来られていた。が、「1分も入ってられないわ!」と嘆いておられた。

男女共用の休憩室。
解放的。

でもこの後、2回トライ。やっぱり熱すぎて、3回終わった直後は体がだるかった。温かいお茶を飲んでひと息つき、ほのぼのと外気にあたる。

これは、わたしの知っている空気がカラッカラのサウナとは違う。湿度たっぷり。だから、息ができる。空気の巡りのなかにある"抜け道"みたいなものが見つかると、呼吸しやすかった。呼吸を掴めば、体に心地よいレモングラスの蒸気が吸収されていくので、それがよかった。

たっぷり汗をかき、帰路に着く頃には、プールに行った後のような疲労感がおとずれていた。

サウナ後の、生搾りジュースが最高!

首都・ヴィエンチャンで、サウナ

数週間後、今度はひとり薬草サウナをしてみることにした。場所は、首都・ヴィエンチャンにあるこちらのサウナ。

他の場所にある薬草サウナも同じように激アツなのだろうか。気になって、試してみたくなった。

1回体験できたら雰囲気がわかるので、2回目は怖さはない。受付で、例のごとく雑巾のように薄いタオルと、手拭いのような質感の布をレンタルし、40,000Kip(約280円)を支払った。

「◯※△〜?」

店のおばちゃんに、ラオス語で何かを話しかけられた。ヘラヘラと笑ってみた。つまりは、何を言われたのかがわからない。なので、「ຂ້ອຍເວົ້າພາສາລາວບໍ່ໄດ້(ラオス語が話せません)」と伝えた(これだけ覚えた)。

そうしたら、おばちゃんがまたケラケラと笑う。おばちゃんが言った単語の節々から言葉を想像すると、「いや、話してるやん!」的なことを突っ込まれたようだ(笑)

個室で布に着替えて、サウナに突入した。


やっぱり、アッツアツだった。


5分が限界。5分経ったら外へ出た。そして、温かくてちょっぴり甘いお茶を飲んでくつろぐ。心臓がドキドキしていて、血液が巡りめくっていることがわかる。ドキドキが落ち着いた後、またサウナに入り、合計3回繰り返した。

お茶、おいしい。

確実に、体が軽い。4日間の出張を終えたばかりで、体重たく、疲れ切っていた。けれどその疲れが、短時間で楽々吹っ飛んだ。

水を浴びる場所がある。

あ、しまった。サウナを終えて、化粧水を塗ろうと思っていたら、勢い余って日焼け止めを直塗りしてしまった。

あちゃー。せっかくサウナで潤した肌が、日焼け止めでカピカピになっていく。肌に日焼け止めが染み込んでいく画を想像して、ひとりで軽いショックを受けていた。

そこへお店の奥から、緑のエプロンをまとった微笑みのおばあちゃんが登場。人差し指で、軽く赤らんだ自分の頬をつんつん、として見せた。

「ほっぺた、赤いね」

ということかな。鏡を見ると、確かにわたしの頬は、りんごだった。血色が良い。いい表情をしてる。まぁ、日焼け止めは帰って落とせばいいや。

微笑み合うわたしたち。おばあちゃん、お肌つやつやだ。彼女の艶やかな笑顔のおかげで、気持ちまでも軽くなった。

3回目、サウナ

また来た。2回目と同じところに再来。今度はタオルを持参してみた。すると、38,500Kip(約270円)だった。

3回目は夕方に訪れた。9月下旬頃から、朝晩が涼しくなってきたラオス。もちろんサウナ内は相変わらず熱いのだけれど、外気温の涼しさもあるのか、3回目が一番入りやすい温度だった。体が慣れたのもあるのだろうか?

5〜10分以内でサウナを出て、そよ風にあたる。木の葉がそよそよと揺れているのが見えた。入浴サイクルも、だんだん掴めてきた。

休憩中に、サウナ女子に声をかけられた。春巻きを指さしている。食べる?ということだろうか。美味しそうだったが、何を言っているのかわからなかったので遠慮しておいた。サウナでは、注文すれば春巻きや麺などの食事ができる。断ったら、サウナ女子は明らかに残念そうな表情だった。遠慮しないほうがよかったなと後悔した。

建物の隙間から、夕日に染まった空を見た。ただサウナに入り、お茶を飲むだけ。平和だ。無目的すぎて、なんて心地よい時間なのだろう。


初めは怖かったことも、1回目を乗り越えたら、適応は早いものだ。サウナに入り、ポタポタと汗をたらし、自分は水分60%でできている人間であることを自覚して、体の変化を体感した。


気持ちは変化する。
体も変化する。

そしてほぼ水分でできた人間は、
生きている。今日も。



ラオスのローカルな薬草サウナは、本格派ですごかった。
ぜひ、お試しあれ。



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