【day3】神様からの贈り物| 4泊5日の大雪山縦走~山と道miniを背負って~
4泊5日の大雪山縦走登山の記録を、マガジンで連載しています。
ひょんなことから、大雪山縦走計画のメンバーに参戦することになった。山で4泊もしたことがない私が、やり遂げられるのか?
day2の記録はこちら↓
AM3:15 、起床。
2日目はヒサゴ沼でテント泊をしていた。
相変わらず、テントでよく眠れる私。笑
気温が氷点下にならないため、montbell のシームレスダウンハガー woman’s 800 #3がちょうど良いみたい。
準備に時間がかかるので、早めに起床。タオルを使って、朝露で濡れたテントの水滴をせっせとふき取る。
そうこうしているうちに夜明けの時間が来た。朝日がヒサゴ沼を照らし始めた。
今日は曇り空の朝。天気はどう変化するだろうか。。心配しながら準備を進めた。
AM5:15 、ヒサゴ沼を出発。
本日のルートはこちら
5:15 ヒサゴ沼キャンプ指定地→天沼→トムラウシ→天沼→五色岳→14:00 忠別沼避難小屋 (泊)
木道を進み、雪渓の上を進み、岩を登り、AM6:00頃に 分岐へ辿り着いた。天気が悪く、どうかなぁ…という感じ。でも雲は少し掃けていく様子はあり、晴れていく希望もある。「荷物を置いて、取り敢えず天沼まで行こう!」ということになった。
標識に、トムラウシまで3.8kmとの文字が。
段々と、目標が近づいている。
なんだか、うずうずしてしまう。
トムラウシへの表参道を抜けて
天沼に近づいてきた。
なんだか異世界に来たような、違う惑星に来たような…。不思議な感覚を味わった。
山頂まで長ーく続く登山道は、トムラウシの表参道とも言えるのではないだろうか。お花がたくさん咲いていて、紅葉も進んでいる。
その後に続く、ロックガーデンの岩道。
荷物置いてきてよかった。
さすがに重たい荷物と一緒には、この道を身軽には動けなかっただろう。
視界にガスが立ちこめる中、北沼へ到着。
時々薄ら青い空が見えたり、隠れたり。
期待させてみたり、不安にさせてみたりする天候だ。
「晴れてくれー!」
メンバーみんなで念を送りながら前に進む。
足の痛みは何とか緩和できていて、昨日よりも足取りはしっかりしていた。
シャリバテにだけはならないように、行動食はこまめに摂取。飴ちゃん2つチャージして、気合いをいれた。
人間が、来たぞー!
いよいよ、北沼から山頂へのアプローチ。
とうとうここまで来てしまった!登頂まで後少し。
『ピピ!ピピッ!』
あちこちで、ナキウサギの大合唱が聴こえる。バッタのような虫たちがぴょんぴょん跳ねている。
このような厳しい環境下にも、生息している虫や小動物たちがいる。まるで「人間が来たぞーっ」て、仲間で言い合っているみたいだ。
「お邪魔します」と、気持ちを引き締めて山頂への歩みを進めていく。
晴れ間が覗いていたのに、なんと山頂付近でガスが濃くなっていく。
霧雨、風も出てきた。風速10mはありそうだ。
Dさんの言葉が思い出された。
いやいや、痛みも超えて、ここまで来れたんだし。絶対に、今日がベストなタイミングなんだ。
そうやって自分を励ましながら、登り進めていった。
トムラウシからの贈り物
AM9:00、 トムラウシ登頂。
登り切った。
すると
なんとなんと!
隠れていた太陽が!出てきたのだ!
「やったーーー!!」
みんなで大歓声!
涙が出そうなくらい、抱き合い喜び合った。登頂して、こんなにも感動したのは初めてかもしれない。
紅葉が広がっていて、十勝岳やオプタテシケも見える。
飛行機の上にいるような感じで、雲海も広がっていた。
トムラウシから、かけがえのない贈り物をいただいた。
この瞬間に来れて良かった。
✻✻✻
20分くらい滞在していただろうか。
段々雲が立ち込めてきた。
本当に、この瞬間だけのお楽しみだったようだ。
『ようこそ。』
『楽しんだかい?』
『また来てね。』
『気をつけて帰るんだよ。』
トムラウシにいる神様たちが、そんな風に迎え入れてくれて、送り出してくれたようだった。
昨日足が痛くて挫けていたとき、
「私はどうしたい?」と自分に問うた。
トムラウシに行きたい?行きたくない??と。
今回の登山計画は、正直言うとメンバーに任せっきりだった。そう思うと、まるで私の意思は無いかのように勘違いしていまう。
でも
今ここにいるのは、
誰に連れてこられたわけでもなく、
自分の意思で、ここに来た。
じゃあ、登りたいか登りたくないかも
自分の意思が決めているもの。
「行きたい。トムラウシに登りたい。」
だから自分の意思を、宙に放った。
そうしたから、
この瞬間を味わうことができた。
まるで神様たちが導いてくれたと思わせてくれるかのように。
下山
下山中も、おもしろかった。
『北沼も見ていく?』と言わんばかりに、立ち込めてあた雲が ”さぁーーっ”とはけた。登りでは見えなかった北沼を、下山中のご褒美のように見せてくれた。
こんな道を歩いて来たんだと、初めで見ることができた。
登りの時とは違う感覚で、景色を眺めた。
気がついたら、また”さぁーー”と雲が立ち込めてきた。本当に、カーテン閉めるみたいに。(笑)
神々の庭で遊んでいるんだか、遊ばれているんだか、、笑
そんなことを、つい考えてしまうような縦走路だった。
違う惑星から帰還したかのような気持ちで、荷物をデポしていた分岐に辿り着いた。
忠別岳避難小屋へ
私が足を痛めていることを気遣って、Bさんが荷物を少し持ってくれることになった。少しでも荷物が軽くなると、足取りも随分楽だった。
荷物の件でもう1つ気づいたことが、サコッシュの重さだった。サコッシュが肩に食い込むせいか、途中左肩が痛くなった。左右に掛け直しながら、肩凝りを和らげる。
すぐに取り出せて便利なツールだけれど、詰め込み過ぎるものでは無かった。すぐ取り出したい行動食のみ、サコッシュに忍ばせることにした。
PM2:30 、忠別分岐に辿り着いた。
分岐から避難小屋までは、まるで旅館へ続く道のように、きれいにお花や草木が生えていた。
PM3:00、 雪渓を渡って忠別避難小屋に到着した。
建て直したらしく、綺麗な小屋だった。
今夜は小屋にお世話になる。
トムラウシ登山を終えて
厳しい登山だったから、1人では止めたかもしれない。
むしろその方が正解だったと思う。
登り始めたはいいものの、山頂にたどり着けなかったかもしれないからだ。
今回は、一緒にいたメンバーが気持ちを汲んでくれて、背中を押してくれて、一緒に喜びを共有してくれたから、登れたのだと思う。
そして、ちゃんと自分の意思を固めたから
登頂が実現したのだと思う。
心から
ここにいたメンバーに
ここにいたことに
ありがとう、と思った。
day4へ続く