sin(Pi/15), cos(Pi/15)の値
高校数学の話題です.誘導に従って導くことにしましょう.
問題
$${\theta=\pi/5, \alpha=\theta/2}$$とする.次の問に答えよ.
(1)$${\sin{2\theta}=\sin{3\theta}}$$を示せ.
(2)$${\cos{\theta}}$$の値を求めよ.
(3)$${\cos{\alpha}, \sin{\alpha}}$$の値を求めよ.
(4)$${\alpha+\pi/15}$$を求めよ.
(5)$${\cos{(\pi/15)}, \sin{(\pi/15)}}$$を求めよ.
解答
(1)$${3\theta=\pi-2\theta}$$となるので,
$$
\sin{3\theta}=\sin{(\pi-2\theta)}=-\sin{(-2\theta)}=\sin{2\theta}
$$
となる.
(2)(1)で3倍角,2倍角の公式を用いれば,
$$
2\sin{\theta}\cos{\theta}=-4\sin^{3}{\theta}+3\sin{\theta}=\sin{\theta}(-4\sin^{2}{\theta}+3)=\sin{\theta}(-4+4\cos^{2}{\theta}+3)\\
=\sin{\theta}(4\cos^{2}{\theta}-1)
$$
を得るので,両辺を$${\sin{\theta}\neq 0}$$で割り,$${\cos{\theta}=t}$$と置いて整理すると,$${4t^2-2t-1=0}$$を得る.この2解は,$${\frac{1\pm\sqrt{5}}{4}}$$となる.ここで,$${t>0}$$であるから,$${t=\frac{1+\sqrt{5}}{4}}$$となる.
(3)半角の公式を用いれば,
$$
\cos^{2}{\alpha}=\frac{1+\cos{\theta}}{2}=\frac{4+1+\sqrt{5}}{8}=\frac{10+2\sqrt{5}}{16}
$$
となり,$${\cos{\alpha}>0}$$に注意して,$${\cos{\alpha}=\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}$$となる.
同様にして,
$$
\sin^{2}{\alpha}=\frac{1-\cos{\theta}}{2}=\frac{4-1-\sqrt{5}}{8}=\frac{6-2\sqrt{5}}{16}=\frac{(\sqrt{5}-1)^{2}}{16}
$$
となり,$${\sin{\alpha}, \sqrt{5}-1>0}$$に注意して,$${\sin{\alpha}=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}}$$となる.
(4)$${\alpha+\pi/15=\frac{3+2}{30}\pi=\frac{\pi}{6}}$$となる.
(5)(4)の誘導で,
$$
\frac{\pi}{15}=\frac{\pi}{6}-\alpha
$$
となることと,加法定理とを用いると,
$$
\cos{\frac{\pi}{15}}=\cos{(\frac{\pi}{6}-\alpha)}=\cos{(\pi/6)}\cos{\alpha}+\sin{(\pi/6)}\sin{\alpha}\\
=\frac{\sqrt{30+6\sqrt{5}}-1+\sqrt{5}}{8}
$$
となり,
$$
\sin{\frac{\pi}{15}}=\sin{(\frac{\pi}{6}-\alpha)}=\sin{(\pi/6)}\cos{\alpha}-\cos{(\pi/6)}\sin{\alpha}\\
=\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}-\sqrt{3}+\sqrt{15}}{8}
$$
となる.
まとめ
高校数学の懐かしさを感じる問題であった.問題自体はごく普通ですが,$${\pi/15=2\pi/30}$$ですから,これで,正三十角形も作図可能であることが式からも見て取れます.(ルートを使い表現されているから.) 正十七角形も作図可能であることは有名ですが,もう少し表現が煩雑になるので,いつか機会があれば示したいものです.