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虚妄の夢と恋

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詩を集めたものです
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#ポエム

ある冬の日のカーテン

 街路樹の葉がようやく紅葉して舞い落ちている。まだパーカー一枚羽織っただけで十分な気温に疑問を感じながらも午後五時には空が真っ暗になるから、【やはり冬なんだなあ】と実感するにはそれだけで、いいようなよくないようなで迷ってしまう。落ち葉の葉一枚一枚の葉脈だけ荼毘に付した後の骨のようにまばらに残っている。それがまるで黄色いレースのカーテンのように歩道に敷きつめられているので、私はふと、このカーテンを開

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美しい風景を探して

美しい風景を探して

美しいものがいい なんでもいいから
部屋から飛び出した
小雨が体を囲う
マイナスイオンの香り漂(ただよ)って
      ああ美しいな
本屋に向かう
整頓された本棚 
平積み 短冊(たんざく)置き あいうえお順
印刷の香り漂(ただよ)って
      ああ美しいな
スーパーに行く
見慣れた景色 安売りの値札
試食販売の香り漂(ただよ)って
      ああ美しいな
帰り道

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なにくそ!

なにくそ!

ゴミだのクズだの言われてもいいんだ
私は価値のある人間だと信じているから!
そのために他人の承認などはいらない!

自分は自分、他人は他人なんだ
私は誰に何を言われても生きてきた
これからも寿命尽きるまで生きる

誕生日おめでとう!
誰も祝ってくれない、みんな自分の記念日ばかり祝って欲しそうにする
私は嫌われ者だけど自分のことが好きだよ

それでいいんだよ、それで
最後に頼れるのは自分だけ!
それ

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運命を感じてる

運命を感じてる

心配させて不安を取り除いてもらうことで愛情を感じていたいの
私のことが嫌いになるのは当たり前だから
死にたいなら死んでもいいと私の意思を尊重してくれる気持ちに驚く日々

誰かのためにしていることはすべて自分のためだということは分かってる
誰かが私にしてくれていることはその人自身のためだということも知ってる
「あなたのためだけに!」なんて詐欺師の手口に惑わされるほどウブじゃない

何かが私に侵入して

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失恋5

失恋5

意気地なしの花びらが言えないことを乗せて君の唇に触れている
話かけられたことすべて肯定か否定かで判断するなんて
あいまいな結末を望まないのは自殺しようとしているようなものだよ
いつだって君にとって春は燃え尽きた冬の屍でしかないから埋めてしまおう
地中から芽吹くのは新しい命かもしれないけど道化師は空から落下するだろう

心も身体も踊る広場で目を交わせば始められたかもしれない
心も身体も眠る個室で目を

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失恋4

失恋4

死んでほしいと願えないくらいに
愛と交換しながら君を想っている
傷つくから言わないようにしてほしいという言葉を知るたびに
優しい人以外になれない理不尽さを君は分かっていない
その理不尽さを、かわいいと思えたなら、
私のことを、かわいいと、思ってくれただろうか

君のことを100%否定する言葉を持てるだけ
一緒にいられたならよかったのに
君のことを100年かけて嫌いになるほど
一緒にいられたならよか

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