情熱に出会えたひとは、、、。読書記録 水を縫う
家族の再生の物語。Reborn Family
読書記録 水を縫う
図書館でみつけた、寺地はるなさんの本。
2020年 集英社
「水を縫う」多分そのタイトルに惹かれて手にとってみたように思います。
「水」は海辺で生まれて、泳ぐことが好きな私の癒し。
「縫う」は、刺繍をする私の楽しみ。
タイトルからそのお話の世界をのぞいてみたくなりました。
◎あらすじ
主人公は高校生になったばかりの「松岡清澄」(まつおか きよすみ)。
針仕事の好きな祖母から習った「刺繍」が趣味の男子高校生。
清澄が1歳のころに父母は離婚した。父の全(ぜん)は婦人服のデザイナーだ。市役所に努める何事もキチンキチンとやりたがる母(さつ子)とは性格的に合わなかったらしい。
父と離婚してから、母は4歳上の姉の(水青)と清澄を「大学まで行かせる」ために必死で働いてきた。
父は家に訪れることはなかったが、友人を介して養育費を払い続けてきた。でも、一緒にくらしている祖母がいなかったら、母と僕たち姉弟の3人は生きていけなかったかもしれない。
そんな中、母の反対を押し切って高卒で就職し、塾の事務をしている姉の水青(みお)が「結婚」するという。
相手は事務機器の営業をしている、性格のよさそうな人だ。姉の水青は結婚式のドレスを選びに行ったがなかなか自分の気に入ったドレスがみつからない。
それを聞いた弟の清澄は・・・。
◎気になった箇所
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◎感想
✳︎「普通の男の子」でいてほしい。それは、多分大多数の親の願いかもしれない。男の子は強くて明るくて、友だちがたくさんいる、そんな男の子になってほしいと、親は考えてしまう。
それは、子どもというより、そんな男の子を育てた親としての自分を認めてあげたい、親としての承認欲求だろう。私もある、願ってしまう、今度は孫がそんな男の子であってほしいと。
でも、子どもは子どもで目の前の現実を必死で受け止めているのかもしれない。
子どもの人生は子どもが主人公であり、彼等は親のために生きているのではない。
しかし、そのことを成人した2人の子どもの親の私自身も日々自分にいい聞かせながら、時にはため息をついてしまう。
✳︎✳︎
思春期の清澄のこころは繊細で家族や友人の思いに気づきながら暮らしているのだろう。将来の不安もあるし、学校の成績や友人関係、祖母を始めとする家族、悩みは尽きないだろう。
そんな葛藤の中、針を持つ時間は大切かもしれない。
集中して布に向かい、針を通し糸をくぐらせ、それが線を描き面を成す中に達成感を見出し、日常の葛藤を解きほぐすのだろう。
✳︎✳︎✳︎
「追い求めるものがある人生」なんてことば、久しぶりにきいたような気がする。
父の仕事に向き合う様子を初めて目の当たりにした清澄や水青は、今まで自分の中にあった父のイメージは何だったのかと、疑っただろう。
家族の中にこんな人がいたら、いつもソファに寝そべっているだけなのに、、、。
情熱か。
私も仕事をしていた頃は持っていたと思う。
「最後の1人を残さない」
「1人はみんなのために、みんなは1人のために」
私なりには頑張ったつもりだけれど、私はどうも周囲みながら計算できないから、うまくいかなかったのかも。
でも、私なりに小さなチャレンジはつづけていこうと思う。
できることから、誰かのために、少しずつ。
◎今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました😊