映画館にいくと中二病になる
あの日、あの夏、夏の暑さみたいなあなたに恋をした。
……そんな中学生のポエムのような言葉を堂々と使ってしまうのは、映画館からの帰り道だ。
映画業界は厳しいと言われるけれど、やはり映画館が人に与える威力は強い。映画館で映画を見ると、少なくとも帰り道は感情が主人公モードに変わる。妙にノスタルジックになり、中二病みたいな発言がしたくなる。
バイオハザードやミッションインポッシブルを見た時は、実は武術が強い女の気分になった。ハリーポッターでは逆境に負けない勇者の気分、そして今日見た「天気の子」の後は好きな人を一途に思う女子の気分だった。もし映画の直後に結婚式を挙げていれば、熱烈な愛を結婚相手に語ってしまったに違いない。(あげなくてよかった)影響を受けやすい私はすぐに主人公に感化され、完全にモードが切り替わってしまうのだ。
映画の影響で主人公モードになると、なぜか自分の中でつくられる言葉が増える。もちろんダサい映画のセリフのような、中二病を再発しかけているサムいことばだらけだ。でも普段あんなにしゃべるのが苦手なのに、映画を見た後はどんな言葉であれすごく話したくなる。ことばがどんどん心の中であふれ出る。
なぜ映画を見ると中二病モードになるのか?
よくよく考えてみると、映画を見ると一時的に羞恥心が消えているのだ。もう20代後半になると、ポエムや中二病発言は恥ずかしくて心の中ですら言わない。しかし映画鑑賞後にはポンポン出てくる。
映画では出演者/主人公が大きなスクリーンを通して、感情をむきだしにして訴えてくる。普段人が感情をあらわにする姿すらあんまり見ないのに、それを大画面で見せられたら人体に影響を及ぼすに決まっている。かつ映画作りのプロが巧みなセリフをきれいな映像と音楽とともに提供するので、効果は絶大だ。大きなスクリーンから感情が押し寄せてきて、現代社会で建前を上手く使って生きる私に思いっきり刺さる。「自分ももっと正直になろうか」なんて気分になって、普段言わないようなことも言いたくなる。
映画を見ると色々考えさせられる。そして、違う自分になったような気分にもなれる。これから金曜夜に映画館に行くのもいいかもしれない。
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