steps3 ライフスタイルを整える軸3つ③
本来のカラダの働きを発揮させるには、リズムのある生活が必要です。睡眠もその一つ。生活のリズムと妊娠力の関係は、私たちが想像している以上に大きいです。卵巣の中で出番を待っている卵子の元を、良好な状態に育てて排卵させるのは、規則的な月経サイクル。月経サイクルに限らず、人間のカラダのさまざまな働きは、決まったリズムや周期で活動と休息を繰り返しています。
睡眠ホルモン「メラトニン」がポイント!!!
視界から暗くなったことを察知すると、脳からメラトニンが分泌され、身体に"眠りなさい"という信号が送られます。そして、朝になり、明るくなると、そのホルモンの分泌が止まります。
この「メラトニン」が、生殖医療においてポイントになります!
<メラトニン濃度と卵の質の関係>
実は、メラトニンには、睡眠の時に放出するホルモン以外に、活性酸素を抑制する抗酸化作用を有することが知られています。
細胞を傷つけ、老化の原因とされている活性酸素です。
山口大学医学部の研究において、メラトニンの抗酸化作用に着目し、卵胞液中のメラトニン濃度と卵子の質について、研究や臨床試験の結果を発表しています。
確認できている事は、、
・排卵過程において、酸化ストレスが生じると卵子の成熟を妨げる。
・メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵子や顆粒膜細胞を保護している。
・メラトニン投与すると、酸化ストレスが軽減し、卵子の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる。
酸化は、細胞を傷つける作用があり、卵子の成熟に問題をきたします。メラトニンの抗酸化作用は卵胞液中で卵を守っていると考えられ、実際にメラトニンを摂取することで、受精率や妊娠率がよくなることを確認したと報告があげられています。
<睡眠で妊娠しやすいカラダづくり>
もちろん、メラトニンの有効性については、未だ研究段階にあります。
また、メラトニンは、アメリカではサプリメントとして認められていますが、日本では認められていません。
個人輸入など簡単に入手できますが、ビタミン剤などと違い、メラトニンはホルモンなので、医師の指導のもとで扱うことが必須条件。
睡眠には、
身体の"休息"だけでなく、
身体の"修復"という役割もあります。
生理周期は毎回、同じペースできていますか?
多少遅れても気にしない方も多いはず。
良質な卵が育つ過程は、規則正しい月経サイクルも必要です。
女性の看護師を対象にした研究で、
夜勤の翌日は血中のメラトニン濃度が低くなる傾向にあること、
また、夜間に働く女性は、夜間に働かない女性に比べて、
月経不順になりやすいことが分かっています。
そこで、妊娠しやすいカラダづくりという視点から、
睡眠ホルモン「メラトニン」に注目したいと思います。
メラトニンの分泌を高め、
メラトニンの働きを活性化すような生活を通じて、
私たちに備わった"妊娠する力(妊孕力)"を高めようというものです。
<メラトニンを高める方法とは?>
ここで大事なポイントは1日の生活リズムです。
自然のリズムによってホルモンは分泌されるわけですから、
夜型傾向が強くなるほど、メラトニン活性度が低下してしまいます。
◼️夜は12時までに寝る
メラトニンの分泌は、午前0時から午前2時の間にピーク。
ですから、遅くとも夜は12時までにベッドに入ることがオススメです。
◼️夜は暗くして寝る
夜でも照明などで明るくしているとメラトニンの分泌が抑制されます。
寝る前に携帯やPCもできるだけ避けましょう。
◼️朝は決まった時間に起きる
朝は決まった時間に起きると睡眠のリズムが整います。
夜更かしした翌日も、いつもと同じ時間に起きることが大切。
◼️目が覚めたら、まずカーテンを開ける
朝に光を浴びることで、メラトニンの分泌が完全に止まり、
生活リズムにメリハリをつけることができます。
◼️朝食を摂る
身体や脳にエネルギーや血糖値をコントロールする事で、
1日のスタートのメリハリをつけます。
<食事からメラトニンを高める方法>
先ほども触れましたが、日本でメラトニンはサプリメントとして認めれていません。メラトニンは、トリプロファンというアミノ酸の一種を原料に、太陽が沈む時間から合成がはじまります。
そこで、食事から摂る方法をご紹介します。
◼️トリプトファンを多く含む食材
豆腐(大豆食品)、アーモンド、バナナ
カツオやマグロ、牛肉の赤身などに多く含まれます。
◼️メラトニンが含まれる食材
メラトニンそのものが含まれる食べ物もあって、
スーパーフードと呼ばれるケール、ミネラルが多いお米、食物繊維が豊富なレタスやキャベツなどです。
ただし、特定の食品や食材を意識して多く食べることよりも、
バランスよく食べることが大切です。
※要注意なメラトニンを減らす食べ物や飲み物
・コーヒーや紅茶
・緑茶に含まれるカフェイン
・お酒(メラトニンを抑制する働きがあります。)
睡眠の質が大事だと言うことが少しでも伝わったでしょうか?
現代社会において、0時前に寝る、その日のうちにベッドに入る事は難しいかもしれません。今回、ライフスタイルを整える軸の3つで栄養、運動、睡眠についても触れました。その生活リズムを整えるのが1番の近道ではないかとい思うのです。
その中で、卵子の質と言う言葉を耳にすると思いますが、一度下がったものは元に戻せないです。ゆで卵を生卵に戻すことができないのと同じで卵子も劣化したものを戻す事は出来ませんが、維持は出来ます。
睡眠ホルモン「メラトニン」が卵子の保護作用があり、卵子の成熟に関わっているのであれば、早く眠れる日は眠ってみましょう。
---[参考文献]-----------------------------------------------------
・生殖機能調節における活性酸素の役割 日産婦誌
・奇跡のホルモンメラトニン Russel J. Reitaer, Ph. D. 講談社
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