yuki.suzuki

米国にて、情報学の博士課程に在籍しています。都市とITに関する研究をしています。

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最近の記事

情報学と "iSchool"

私は現在、「情報学」という分野で博士課程の学生をしています。今回は、この情報学についてご紹介したいと思います。 情報学とはまず、「情報学」とはどのような学問領域なのでしょうか。一般的に、情報学は「情報・科学技術(IT)」と「人や社会」との関係性を学ぶ学問とされています。具体的には、「情報の機能、構造、伝達、情報システムの管理」などを研究する情報科学や、社会そのものを探究する社会科学と異なり、情報学はその両者が交わる領域に焦点を当てています。私自身、情報学を説明する際には「コ

    • 場所と哲学 ー ハイデッガーの影響

      前回の投稿では、場所と哲学の交差点を考え、Yi-Fu Tuanの紹介をしました。ここでは、Tuanが大きく影響を受けたと言われるハイデッガーの現象学との関わりについて見ていきたいと思います。 「住まうこと」:無意識化の中で生まれる意味ハイデッガーは、人間と場所の関係性を考察する際に、「住まうこと」(英訳:"dwell")という概念を見出します。これは、Stanford Encyclopedia of Philosophy で以下のように説明されています。 つまり、「住まう

      • 場所と哲学 ー Yi-Fu Tuanから考える

        「場所」と哲学の交差点「場所」に関する研究は、地理学、社会学、人類学、都市計画学など、さまざまな分野で行われてきました。今回は、特に哲学との関わりについて考えてみたいと思います。まず前提として重要なのは、場所を単なる物理的な空間ではなく、より広い存在として捉えることです。つまり、その場所にいる人々の経験や感情、意味付けも場所の一部であるという点に注目します。 歴史的な背景を簡単に説明すると、1950年代頃から地理学を物理学のような「科学」にしようという動き(計量地理学)が活

        • デジタルツールによる場づくり、Digital Placemaking とは。

          近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にする機会が増えていますが、まちづくりや場づくりにおいてもデジタル技術を活用する動きが広がりつつあります。このような動きを、英語では "Digital Placemaking" と呼んでいます。場づくりとは、ある「場」に存在する「人々」に新しい体験を提供し、コミュニティや文化の発展、さらには住民のまちへの愛着を育む取り組みです。その場づくりの可能性を、デジタル技術の活用によってさらに広げようとしているのです。

          スマートシティは何が「スマート」なのか?

          本稿は、Germaine Haleguoaの "Smart Cities" の第1章を受けて書いています。 「スマートシティ」という言葉を聞いたことあるでしょうか。最近はニュースや新聞でも取り上げられることも多くなってきました。Google Books Ngram でみると、2010年以降、多く使われるようになっていることがわかります。 スマートシティを直訳すると「賢い都市」になります。では、一体何が賢いのでしょうか? 内閣府では、スマートシティを以下のように定義されて

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          都市計画に心理学・神経科学が使われる?

          今や世界人口の50%が都市に住み、その数は増え続けています。この先都市はどのような姿であるべきでしょうか。この問いに対しては、もちろん正解はないでしょうし、様々な立場の方が、それぞれの視点で提言していると思います。今回は、Chris Murray と Charles Landryによる以下の問題提起に着目してみたいと思います。 つまり、「人の感情に最も密接に関わっている分野である心理学が都市政策から欠落している」と投げかけています。実際、これまでの都市計画は建物や道路などの

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          都知事選候補者のYouTube活用

          7月5日、4年ぶりの都知事選は小池現知事の圧勝という形で終わりました。今回の都知事選は地上波でのテレビ討論会が行われず、「主要」候補者が一堂に会したのもネット討論会のみでした。したがって、有権者が各候補者の取り組みを知りうる機会は通常の選挙戦と比べて少なかったと思われます。そんな中、候補者が自らの政策を広報する媒体として、YouTubeをどのように使ったか、見てみたいと思います。 得票数まずは、都知事選の結果をおさらいしておきましょう。 上位6候補の得票数を見ても、小池氏

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