情報学と "iSchool"

私は現在、「情報学」という分野で博士課程の学生をしています。今回は、この情報学についてご紹介したいと思います。

情報学とは

まず、「情報学」とはどのような学問領域なのでしょうか。一般的に、情報学は「情報・科学技術(IT)」と「人や社会」との関係性を学ぶ学問とされています。具体的には、「情報の機能、構造、伝達、情報システムの管理」などを研究する情報科学や、社会そのものを探究する社会科学と異なり、情報学はその両者が交わる領域に焦点を当てています。私自身、情報学を説明する際には「コンピュータサイエンスと社会学の中間」という表現を使うことがよくあります。
情報学は、ITそのものの技術的な発展を追求するのではなく、ITの進化が社会にどのような影響を与えるのか、また、そのITがどのように構築されているのかに焦点を当てて研究を行う学問です。

情報学は情報科学と社会科学の交わる領域

情報学を語る上でのキーワードは「学際的(Interdisciplinary)」です。ITと人間、社会との接点を扱う特性上、情報学には様々なバックグラウンドを持つ教員や学生が集まります。たとえば、コンピュータサイエンス、医学、公衆衛生学、地理学、経済学など、多岐にわたる分野から人材が集まります。学際的であるがゆえに、情報学は学問としてのアイデンティティがやや曖昧な側面もありますが、その反面、学問領域間の交流が盛んな現代社会に非常に適した分野ともいえるでしょう。

iSchool について

情報学は、情報学大学院(School of Information、通称 iSchool)で学ぶことができます。また、世界中の iSchool を束ねる組織が iSchools Organization です。2024年10月現在、約130の大学やプログラムが加盟しているようです。日本からは、九州大学の統合新領域学府 ライブラリーサイエンス専攻と、筑波大学の図書館情報メディア研究科が参加しています。これらの大学を見てもわかるように、多くの iSchool はもともと図書館情報学(Library Science)の専攻から発展してきました。

iSchools Organization のトップページでは、情報学で扱うトピックが次のように紹介されています。

iSchools topics include data science, human-computer interaction, information organisation and access, bibliometrics, and information integrity.

Home | iSchools

具体的には、データサイエンス、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション、情報の組織化とアクセス、計量書誌学などが挙げられます。最近では特にAIを絡めた研究が増えてきており、注目されています。また、各大学院ごとに特定の領域で強みがあるため、興味のある分野や大学院を調べてみるのも良いでしょう。

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