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樹 に 聴 く

清和研二さんの「樹に聴く」という本のお話。実際の研究データをもとにわかりやすく説明してくださるので非常に面白い。

この本は森の中で樹木がどのような場所で生育し、どのように生き延びていくのかが書かれた本。それぞれの樹木(この本の中では12種)がそれぞれ異なる戦略で生き延びようとしている姿が描かれている。

"樹木の生き方ってこんなに違うんだ"

と私は驚かされた。私たちの目からは、ただ森の中にいる存在とくらいにしか見えない樹木が緻密に練られた計画のもと、生き延びようとしている姿に、愛おしさを感じた。

私は樹木の多様な生き方を知って、それぞれの樹木は自分たちの信じる戦略でブレずに生きている。生き方には正解なんてなくて、自分が正しいと思った道を進めば良いのだ。樹木の生き方から、こう教わった気がした。

樹木は語らないから、樹木の声を直接聞くことはできないけれど、筆者が樹木の代わりに私たちに語りかけてくれる。

今は世の中にいち早く役立つものを研究・開発することが優先されるけど、こんなに人の気持ちを豊かにしてくれる研究って他にあるのだろうか。

樹木がどのように生きて死んでいくのかなんて、世の中ではほとんど必要のないことかもしれないけれど、" 一本の木が自分と同じように強く生きようとしている" それを知るだけで、なんか勇気をもらえる。私が自分らしくいれればそれでいいんだと教えてくれる。

自然の世界は不思議に満ちている。しかし、それを紐解くと、すごく合理的で理に適っているのだと気づかされる。ただ生きる、種を繁栄させるということが目的だから。その意志の強さに勇気をもらえるし、必死に生きようとしている姿はなんか人と似たような部分もあって愛おしく感じる。だから私は自然が好きなんだな。

この本には前編「樹は語る」というがあって、私は知らずに後編から読んでしまったので、前編も読んでみたい。



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