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誰だって臆病かつ大胆

赤ちゃんと暮らしていると、人間とはどういう生き物か、ふいに教えられる瞬間がある。

1歳3ヶ月の息子は、慎重で怖がりだ。人見知りも激しく、お店で支払いをするだけでギャン泣きするのは日常茶飯事。掃除機やドライヤーの音に泣き、家の中でもなじみのない部屋には入ることを拒否し、親と知らない人が話すと大泣きする。

だけど彼は、決して臆病なだけではない。お風呂の浴槽に手を伸ばしてぱしゃぱしゃしたり(危ないのでやめてほしい)、ソファの上にのぼってオムツやタオルの入ったかごをひっくり返したり、小物入れからなぜか狙いすましたかのように爪切りばさみを取り出したり。好奇心に突き動かされたならば、驚くほど大胆に行動できるのだ。

臆病な人、大胆な人、とついついキャラクター分けしたくなるけれど、生まれながらにして両面を持っているのが人間なのだと思い知らされる。

わたしは自分のことを臆病だと思っているけれど、レッテルを貼ることが自分を息苦しくしているのかもしれない。わたしの中にも確実に、好奇心のままに向こう見ずな行動をできる素質がある。反対に、いつでも大胆にみえるあの人にだって、びっくりするほど繊細な一面があってもおかしくない。

誰だって臆病かつ大胆。

ころころと表情の変わる赤ちゃんのように、いつもと違う一面をみせたっていい。表向きに分類したキャラクターにそぐわなくたって当たり前。生まれたときからみんな、両極端の性質を併せ持っているのだから。



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深水 ゆきの
最後まで読んでくださってありがとうございます! 自分を、子どもを、関わってくださる方を、大切にする在り方とそのための試行錯誤をひとつひとつ言葉にしていきます。

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