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セーラー服と手投げ弾(てなげだん)
築60年の団地の建て替えに一度はサインをした。
しかし、いざ退去となると思い出がたっぷり詰まった住み慣れた家を離れたくなくなる。やっぱり建て替えなんてやめよう!このままみんなで仲良く住もう!中止をするためには立てこもりストライキするしかない。
住民のみんなで集まり、部屋の入り口にイスやテーブルを山積みにして立てこもる。外野からは「そんなことはやめなさい」と説得される。このままではみな共倒れ。
そのときノエチ母の手には手榴弾。それをみたみんなは大慌て。わかった、わたしが外に行くといった先では、機関銃を手にセーラ服姿のノエチ。
説得にきた人達に向けてぶっ放す。
「カイカン・・・」
とここで、いつものなっちゃんの部屋に画面がかわる。NHKBSで放送中の団地のふたりの冒頭だ。
セーラー服と機関銃なんてZ世代はわからんだろうなと思いきや、橋本環奈ちゃんで第二弾を撮影していたことを今さら知る。本当は薬師丸ひろ子の画像を探していたのだが・・・
この1分ほどの画面の中にいろいろ疑問点、懸念点、懐かしさがありいろんな感情が入り混じった。
その1:セーラー服とスケバン刑事
薬師丸ひろ子主演の映画をみたときに、そもそもセーラー服を着る女子学生が機関銃を持つこと自体おかしいでしょ、アメリカじゃあるまいしと思いながらみていた。
その当時流行っていたスケバン刑事も毎週楽しみにみていたのだが、スケバンになるにはそれなりにいろんな複雑な事情があり、やさぐれたいからスケバンになるのに(←ここはわたしの勝手な想像である)、事件を解決する刑事になるという設定はどうなの?
そもそもヨーヨーの中に警察章をいれてもいいもんなのか?なんてかわいくないことを思っていたなと懐かしくなる。
その2:薬師丸ひろ子の透明感ある歌声
昔からなぜか薬師丸ひろ子が歌う歌が好きだ。
W悲劇
探偵物語
メインテーマ
どれも切ない歌なのだが、なぜか聞くと心安らぐ。しかも、言葉の紡ぎ方がすごくいい。
その中でもセーラー服と機関銃の冒頭の歌詞が何度聞いてもぐっとくる。
♪さよならは別れの言葉じゃなく
再び逢うまでの 遠い約束♪
卒業シーズンに聞いたからか、そうか別れの言葉じゃないんだ!うまいこという!なんて思ったのだ。
探偵物語では
♪言葉は風になる、好きよ~♪
言葉は風になるなんて、そんな日本語よく思いついたなと子供の分際で作詞家を上から目線でほめたものだ。
50を超えたノエチ(キョンキョン)のセーラー服姿はなかなか笑えるものがあったが、バックミュージックのセーラー服と機関銃に助けられていた。
その3.手榴弾と手投げ弾
ノエチのお母さんが持っていたもの「手榴弾(しゅりゅうだん)」だよなと思いながらも、ノエチが「手投げ弾がさ」といい、なっちゃんも「なんで手投げ弾なんてもっているのよ」と、「手投げ弾」という。
なんか違和感しかないのだが・・・と早速、検索。
NHK放送文化研究所によると「手投げ弾」を使うようにしているのだそうだ。
今は、手榴弾をよく使うのだが、第二次世界大戦の前までは「手投げ弾」が一般的で、今は併用しているのでどっちが正しいとかはないのだそう。
(1)[テナケ゚ダン]が耳で聞いてわかりやすい。
(2)[テリューダン]は旧軍隊読みで、今ではなじみが薄い。
(3)[シュリューダン][テリューダン]ともに、表外字の「榴」を含む。
理由を読むとなるほどねと思う。
でも、「手榴弾」で慣れていると原稿書くときもつい、手榴弾と書いてしまいそうだ。書く機会はあまりないと思うが気をつけておこう。
その4.ずっと永遠なんてない
団地のふたりの感想noteでも触れたが、このドラマは特段ビッグプロブレムがあるわけでもなく、恋だ愛だの恋愛もなく、ちっさい事件が毎日勃発して、ちっさい事件だから話し合いでなんとか解決しちゃうという、その辺にごろごろと転がっていそうなあるあるネタが満載でみていて安心感がある。
だが、なっちゃんとノエチの何気ない会話の中に、はっとするセリフが随所に出てくるのだ。
今回は団地の取り壊しについてしみじみ語っていた場面。
幼馴染で、ある時期は結婚したり、同棲したりで別々の場所に暮らしていたけど、今は実家に戻り仲良く団地仲間として過ごしていた二人。団地の建て替えにともない、一時引っ越し、もしくは息子夫婦のところに引っ越し、まったく別の場所に引っ越しとそれぞれの事情で散っていく。
なっちゃんとノエチも同じ。このままずっと美味しいご飯を二人で食べたり、くだらない話をしたり、ちょっとした喧嘩をしたりなんて日々が続くと思っていたら突然に別れがやってきた。
「ずっと永遠なんてないんだよね」
そうなのだ。ずっとこのままなんてない。変化があるから人生は楽しいのだ。変化がない毎日は安心できるけど、わくわく度は薄れる。かといって変化するとなるといろいろめんどくさい。でもずっと永遠にこの安心感が続くわけではない。
なっちゃんとノエチよりもほんのちょっぴりお若いものとしてはやはりここはいっちょ変化する方向にカジを切り、新たなワクワクを取り入れるときではないか。変化は安定した給与もなければ、一から新しく始めなければいけないことばかりで大変なことが山積み。けれど、変化の先にはなにか新しいものがあるはず。
別れがあれば出会いもある。まだまだ老け込んではいられない。ずっと永遠なんてないんだから・・・とドラマを見終わってしみじみしたのだった。
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