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見どころ大渋滞の「べらぼう」。なにかにチャレンジ、没頭したい人必見!
呆然。
見終わった後、疲れ切って、抜け殻になった。
録画が終わり、ENDの文字が左端に現れ、そして消え、オンタイムのニュースが流れても、ぼんやりしていた。
それはなぜか。NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の第3話 千客万来「一目千本」が面白すぎたからだ。最近、「かわいいが渋滞」なんて言葉が若者の間で流行っているときいて、渋滞とはそんな使い方じゃない!なんてプンプンしていたのだが、今、ものすごく使いたい。
見どころが大渋滞!!!
この興奮をどう抑えたらいいかわからない・・・そんなときのnote。
個人的おススメポイントとともに解説する。
ビジネスのアイデアは人脈と雑談
蔦重役の横浜流星くん。実は初めてドラマをみたのだが、イケメンだし、ものすごくキラキラしているし、生きがいいじゃねえかい(←吉原風になってしまう)。
蔦重のもろもろの生い立ち等は、公式HPで読んでいただくとして、今回は蔦重が初めて出版した「一目千本」という本の出版までのお話。出版したいと思った動機がいいのよ。
ずばり!自分が今まで生きてきた吉原をなんとかしたい!人を集めたい!
今の日本の政治家で損得なしで「日本をなんとかしたい」と思って動いている人がいるだろうか。日本の政治家の皆さん、べらぼうをぜひ見て、初心に戻ってください。政治家を志したもともとのきっかけが「日本をよくしたい」であれば。
で、いつものごとく話がそれたが、吉原をなんとかするために何をしたか。吉原の各茶屋に在籍する女郎や花魁、特徴を書いた、いわゆる吉原ガイド本のようなものを作った。地球の歩き方の地図がザッツ雑で、地球の迷い方なんて言われた時代もあったこの本は、コロナ禍を経て、ガイド本はそのままに、マニア受けする新しい本を作りだして注目を集めたというのもあるが、蔦重も、あきらめない。
今度は単なるガイド本ではなく、女郎をメインにした女郎紹介本を作ろうとする。そのために必要なのは絵師。目を付けたのは、すでに売れっ子絵師としてその名をとどろかせていた「北尾重政」だった。
まだ20代の若者で、出版のイロハもよくわからない蔦重がなぜ、北尾重政なんて有名絵師とコンタクトがとれたのか不思議だったが、あとから調べてみると、蔦重の主戦場の吉原は文化人の社交場。幕府の要人のほか、一流作家、絵師などを案内することで人脈を築いていたという。
ここのやりとりがまたいい。
「謝礼ははずみますんで」
「謝礼の話じゃないよ。人を書くってのはね、似たようなページになるんでおもしろくないんだわ」
「じゃあ、どんなのがいいっすかね~」
「そうだな、見立てるとか」
「見立て・・・」
蔦重が窓際に飾られていた花に注目。
「花はどうでしょ?」
「亀菊花魁は、ツンツンしているから・・・」
「山葵」
「志津山はからみづらいから・・・」
「葛花」
「いいね~いいね~」
これですよ!これ!何か生み出すときには、雑談しまくって、あーだこーだーといってるとアイデアがどんどんわいてきて、最後にびたっとつながる感じ。その瞬間たるや、「カ・イ・カ・ン」。演じている二人も演じているとは思えないくらい楽しそう。
蔦重の初めての出版本「一目千本」は女郎の名前の横に花を描いているだけで女郎の姿は書いていない。女郎の性分を花に見立て、その花をみて、どんな女郎かを想像をさせる。すると、どうなるか?想像上の人物がいったいどんな見目形か気になる。じゃあ、吉原にいってみようとなる。
さらに、この本のすごいところは、一般的な書店には置かれてないばかりか購入もできない。見たいなら、吉原に来てね、吉原のなじみになれば差し上げますよという手法だ。AKB商法の反対バージョンといったところか。
うまいこと考えたなと思う。ドラマの中でも吉原で行きかう人が楽しそうなのだ。
「この花魁はどんな見目形なんだろう」
「今日はどの女郎に会いに行く?」
吉原という場所柄、結局は女性を買いに行く場なので、そんな風に見られてもなと思うこともないが、とにかくビジネスの手法としてはとっても面白いし、行動力に感服。やはり何かを生み出すときは、「人」がキーポイントになるなとつくづく思った。
大変なのに楽しいだけ
「一目千本」の絵は、「北尾重政」に頼んだが、印刷は手作業で行っていた。この作業を手伝ったのは、かたせ梨乃が女将を務める「二文字屋」。蔦重が小さいころお世話になった花魁が、梅毒にかかり寝たきりになったときにひきとった茶屋で、そういった売れない女郎を引き取っているからか経営がすこぶる厳しい茶屋だ。
そんな茶屋に蔦重は「一目千本」で集めたお金を渡し、茶屋を続けさせる。そのことに恩義を感じ、行き場所のない蔦重に部屋を貸し、さらに印刷も手伝ったのがこのお茶屋の女将と女郎軍団。
毎日寝る間も惜しんで作り続けた「一目千本」が完成したときの蔦重の言葉がいい。
「すげ~楽しかった。やることは山のようにあった。寝る間もなかった。大変だったのに楽しいだけって、俺の人生でこんなことある?夢の中にいるみて~だ!」
疲れ切った顔をしていた女郎たちも達成感いっぱいの笑顔。蔦重もやりきった感の笑顔。まゆげがなくても声と雰囲気がかたせ梨乃とわかってしまう存在感抜群の女将もみんなをみてほほ笑む。
1人じゃできない。みんなでやるからやりとげられる、そして1つのことをやりとげたあとの達成感たるや。それを共有する仲間がいるありがたさ。これが人生の醍醐味だと思う。
見積を出すと、すぐに「もう少し値引きできませんか?」とまだ仕事が終わってないのにその成果もみずに金、金という昨今。納品したものがいくら素晴らしくても見積以上払わない日本企業。一緒に議論したくてもオンライン上で済ませられる切なさ。やり切ったあとも1人パソコンの前でほくそ笑むわたし。
あ~仲間ってほんといいものですね。
前回の光る君へでも書いたがまさにこれ!
目の保養
最近、視力の低下が甚だしい。昨日も、とうとう老眼になってしまって、夜の楽しみがひとつ減った話をかいたが、視力を一時的に回復させるのは何がいいか。
個人的にはイケメン、美女をみるのが目にいいと勝手に思っている。
まずは小学生のころ独眼竜政宗をみて、いつか結婚すると決めていた渡辺謙。
今回の老中田沼意次役もまあ、かっこいい。けれど、最近は何の役をやっても渡辺謙の存在感がすごすぎて違いがわからない。何の役をやってもキムタクと似た感覚。は!また余談が・・・
陸奥白河藩が田安賢丸を養子に迎えたいと田沼に打診し、上様が了承。それを知った老中首座の松平武元は怒り沸騰。怒鳴り散らすのだが、怒っている人にもうまい返しをするイケメン渡辺謙。
「お前は上様を丸め込んだんだな」
「そのお言葉は私ごときのようなものに上様が丸め込まれたということになります」
老中首座の苦々しい顔といったら。今でいうすっきりというやつだ。
悪く言うと揚げ足取りともいうが、イケメンがいうとそうならないから不思議。
ちなみに老中首座の眉毛が村山元首相に匹敵する長さだなと見ていたのだが、今、NHKHPの相関図をみて、石坂浩二だと知る。まったくわからない。老けたのか、メイクがすごいのか。
もう1人の注目イケメンは第3話の最後に蔦重を大切に育てていたのに、自分の思い通りにいかず追い出してしまった駿河屋のおやじに、説教たれにきた扇屋という女郎主役の山路和弘。
今回のコスプレもすこぶるかっこいい。最初に出てきたときからわかりましたよ、わたしゃ。まさにイケオジ。しびれる~。
最初にお目にかかったのは「軍師官兵衛」の安国寺恵瓊。その次が「麒麟がくる」の三好長慶。いだてんにも出ていたらしいが気づかず。ということは、山路さんは歴史上の人物のコスプレをしたときにわたしの中で輝きを増すと見た。
キリっとした目元、シュッとした見目形にキュンキュンする。いつもは険しい顔をしているのに笑うとほんわかする雰囲気になって、もう見るたびにメロメロになる。
今回も、着物をさっと着こなし、べらんめい口調で説教をたれる御姿が神々しい。
「ま、おめえさん次第だな」
と口元だけニヤリとさせて去っていくその演技力たるや。まあ、小憎らしいこと!
扇屋の女郎になりたいと思いましたよ。わたしゃ。
蔦重をゆるせね~と「一目千本」に見向きもしなかったが、扇屋にいわれてペラペラとめくる、駿河屋のオヤジ役の高橋克実。この人もいい感じに年をとった。イケメンとまではいかないが目力がいい。女郎に見立てた花をみて、「こりゃ、うまい見立てだ」と大笑いしながら、1ページ、また1ページとページをめくる手が止まらない。
うわっはっは~と笑いが止まらないその姿をみて、どんだけおもしろい本なんだろうとわたし自身が一目千本が気になり始めた。
日本初の古書ミュージアム「西尾市岩瀬文庫」
大河ドラマのひそかな楽しみがエンディングの「ドラマ紀行」。
ドラマの舞台となったゆかりの地を紹介するコーナーで、ドラマをみたあとだと行きたくなってしまうのだ。ほんとうまいストーリーを作ってくれますよ、NHKさん。
今回はかなりいざなわれた。
というのも、イケメン扇屋女郎主人の山路さんが「こりゃ、なかなかおもしろいぜ」といい、駿河屋の主人の高橋克実さんが、七転八倒して笑い転げた「一目千本」の本を実際に手にとって読める場所があるというのだ。
しかも、江戸時代に作られた製本そのままの状態でみれるという。
ドラマを見終わった後に、読みたくなるじゃないかと思った本の江戸時代版でみられるそんな稀有な図書館があるとは!と食い入るようにみた。
場所は愛知県西尾市。サイトを見ると日本初の古書ミュージアムとある。知らなかった。こんなユニークな書物の博物館があるなんて。
西尾市岩瀬文庫は、重要文化財をふくむ古典籍から近代の実用書まで、幅広い分野と時代の蔵書8万冊余りを保存・公開する書物の博物館です。日本の本の長い歴史やゆたかな文化について体験しながら学べるユニークな展示を行なっています。
愛知になかなかいかないのと、いくとしても名古屋への出張で、名古屋からもなかなか遠い。けれどこれは行かずにはおれない。とグーグルマップにピン止めをした。
ちなみに大河ドラマのおかげでもう一つ読みたいと思っているのがある。かの有名な「南総里見八犬伝」だ。
朝の連続テレビ小説「らんまん」で、渋沢栄一の嫁のすえ子さんを虜にしていた「南総里見八犬伝」。続きが読みたくてたまらないというシーンをみて、いつか読んでみたいなと思っていたのだが、いくつかの出版社から出版されているものの、どれを読もうか迷っているうちに月日が流れ、べらぼうが始まる。著者の曲亭馬琴が蔦重のもとで腕を磨いていたというエピソードを見聞きし、曲亭馬琴といえば南総里見八犬伝となり、今、猛烈に読みたいと思っている本なのである。
昨年公開された「八犬伝」も見ようかなと思っているうちに近くの劇場での上演終了。今年の野望は南総里見八犬伝なのである。
本屋の行く末
貸本屋から書籍出版業を始めた蔦重を主人公にした「べらぼう」
現在も読み継がれる大作を書いた紫式部を主人公にした「光る君へ」
と大河ドラマは、文章を書くことを生業にしているものにとっては、とても興味深いものになっており、毎週日曜日が楽しみでならない。
大河ドラマの中では賑わっているが、現代はといえば書店の閉店が止まらない。小さい書店が街からどんどん消えていく。ジュンク堂や蔦屋書店など大型の書店は品揃えも豊富で、それはそれで見ていて飽きないが、こじんまりとして、店主のこだわりのラインナップがみられる小さい書店も好きなのだ。
「おススメなんですか?」
店主との会話も楽しい。
ドラマの中ではこれからどんどん活気づいていく出版業界。現代では書店が生き残れなくなっている現実に悲しみが募る。
大河ドラマをきっかけに少しでも賑わいを取り戻せたらと願ってやまない。
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