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昨日と一昨日の詩 22
お久しぶりな気がしてしまう。昨日と一昨日の詩のまとめです。
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#9
わかるってなんだろう
僕の知らない僕が
他人の瞳に映るふしぎ
そうしてわかると言われ
僕はずっと戸惑っている
他人と自分だけで作られる
この世界の仕組みがわかる?
受け入れざるを得なかった
事実が僕の瞳の中に映って
#10
画像が乱れていた
櫛を通すように
電波の束に
触れた
擦り切れたテープに
記録されたものは
確かに在ったと
言えるのか
アルバムも記憶も
捏造された物語なら
何も知らないで生きて
私という役づくりに勤しむ
#11
因数分解された叙情が
初雪のようにとけてゆく
かなしいこころは何処にもない
いかりの気持ちは濡れたアスファルト
何処にいったのと尋ねてみても
目の前のことに夢中な大衆の耳には僕の声は届かなかった
途切れた扇状のゆくえ
半月がわらう声がする
価値は損なわれても
値段は跳ね上がる
#12
迷い込んで落ちていく昇っていく
縦横無尽な広場には拾われた花々
たくさんの香りが一斉に風に飛ぶ
青の凝縮された藍はインクになる
こうして青い文字でしたためます
真っ白な空へ何処かへ宛てた手紙
真っ青なポストに捧げた思いとは
#13
入道雲に向かって走った時代
チャリンコチャリンコ
指定の色の自転車を走らせる
スカートが膨らんで田園を通る
今の夏は何回目だろう
数え年の数を数えても
歳のわりには大して夏を過ごしてない
ここは冬が長いって
大人になってから知って
チャリンコチャリンコ
入道雲の希少性
#14
紫陽花の色を奪って
君の心を奪いたくて
酸性とアルカリ性の
中和を夢に見ていた
リトマス試験紙に
書いたラブレター
そんなものに意味はない
ビーカーの底で紫陽花が咲く
#15
ひとひとりの生きたふぃるむ
再生すると、ずん、とおもい
ひとひとりは、ずん、とおもい
なにをしたとしても
ふぃるむの視点は
ひとつしか選べない
ひとつの視点で
そのひとの視点で
ひとひとりが生きた
きろくふぃるむは
ずん、とおもい
#16
私は散らばるものだった
集合することで存在する
あいまいな今日といのち
掌に乗る文庫の感触
文字を打ち込む端末
これらを私と認識すること
それは集合することだった
私は散らばるから
あっちへ、こっちへ、
性格、体、言葉、
集合して私と呼ぶ
あいまいな私を集める
#17
今日を固定して
ブレないで
振り子の心
揺れる揺れる
疲れる疲れる
やめてやめて
今日を固定して
安堵を安寧を
掴めば揺れる
振り子の心
振り幅が大きくなる
私が揺れるブレる疲れる
目が追ってしまう目が回る
吐き気がやってきて涙はやってこない
#18
私、私、私
わたしと呼ぶわたしがいる
から、ふたりいる?
もっといる?
人の心はひとつ?
うそ?ほんとう?
私、私、私
わたしを呼ぶわたし
昨日にいるわたし
今日にいるわたし
今、今、今
打っている間に過ぎて
過去、過去、過去
未来は早足で迫る
私へ私に私の
#19
それでもいいよ
笑う景色を見た
白くて淡くて
多分いつかの
魂の居場所
それでもいいよ
怖がる心は
寂しい心は
多分まだ育たない
いつも幼いままに
泣きじゃくりながら
体は成長して老いてゆくのに
心はどこかで止まったまま
それでもいいよ
白い景色
淡い景色
笑う景色
#20
色付きの硝子で指を切った
祈りの場所は誰もいない
灰色の空の下でも光を拾う
煌めきに眼は耐えられなくて
破壊は常に光と共に在ったこと
それから目を背け続けて
光を盲信する世界の終わりの日
僕は恍惚として
酸化する血溜まりの上で祈った
人生をかき回している。何かを作るために。やったことのないものに飛び込んでみたり、避けてきたことと向き合ってみたり、でもわからない。
結局、自分が一番欲しいものがわからないから人生は迷走してしまうのかもしれない。手っ取り早く答えが欲しくて、結果が欲しくて、揺蕩うことに恐れをなしている。
生きることは怖いことじゃないと何度も言い聞かせても気分の乱高下は止まない。平常心が欲しい。でも刺激が欲しい。本当はもっと、もっと、表現したいことがあるような気がして、でも結果的にただ、もがいてばかりいる。気がしている。
前より複雑になった気がする。前は一本に全て注いでいた気がする。でもそれでは力が入り過ぎる。何本か待てば、少し変わるのかなと思ったりもするけれど、実際問題わからない。
ただ、何もしないを選ぶことは何も起こらないということだと思う。感性の赴くままに生きている人たちのフットワークの軽さ、そして考えるより行動を起こすこと、そういうものに憧れた。
憧れたのなら、そうすることだ。
やりながら「怖い怖い」と騒いでいるのは、コンフォートゾーンから抜ける恐怖と精神的ホメオスタシスに逆らうせいだろうか。
バンジージャンプ。みたいなことをしている。でも、人から見たらメリーゴーランドかもしれない。
いずれにせよ、欲しいものが、わかりますように。