【詩】本物
ゆいいつ になるとき
しいん としている
新雪の日みたいに
風の音もないけれど
大きなスピーカーだけが置かれていて
わたしのための白いタンスが置けない
置くものは決まりきっていて
心臓からの距離は規定されて
きちんと 申請をしなければいけない
習ったよ ちゃんと 習ったよ
試験に出なかったから わるい
知らなくていいよ わたしのことは
気配を売り捌いて ゆいいつ 在ろう
3年生になっても 先のことを眺めていて
見ていない それはわるい きっとわるい
スピーカー から
校歌ばっかり流れて もっとFMを聴かせて
ながく つつがなく なつかしくなるまで
わたしは だれもいらない 耳鳴りがして
きいん の音はする 静まりかえってから は
なつかしさだけで生きていく ゆいいつの
そういうのは さみしいと言われるのかもしれない
ゆいいつ だから 誰も待たない 待たなくていい
売るものがなくなってから 白いタンスに
つまらない を 埋めつくす
わたしの 所有する もの たち
なつかしい に 近くなると遠くなってゆく
それは ゆいいつ 無二 の出来事だから
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