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【詩】あのときの豆虎のアイスコーヒー

コーヒーの味は一期一会

あのときの豆虎のアイスコーヒー

もう会えない味だと

あつい夏に美味しいアイスコーヒーを

飲んで、気づいた

あのときしかなかった味だった

たった一度だけ

たった一度だけ

二度目に飲もうとしたときは

二時間しか寝ていなかったから

アイスコーヒーは飲めなかった

だから、

たった一度だけ

たった一度だけ

朝いちばんの焙煎で

青山通りの広さに

色彩が見えるような味だった

見たことのない色合いの調和

こんな国があったら旅するだろう

夏の始まりの初めての味

あのときの豆虎のアイスコーヒー

焙煎したひとは気づいただろうか

きっと気づいていない

たった一度だけ

たった一度だけ

たった一度だけをくり返し

今日も、豆虎のアイスコーヒー

ああ

あのときの豆虎のアイスコーヒー

もう一度だけ飲みたかった

あのときの豆虎のアイスコーヒー

通り過ぎてしまった味に

こころは掴まれて

今はない味に

こころがわき上がる。


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