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育児のなにがツラいのか#11

出産するその日まで、育児がこんなにも孤独感に襲われるものだなんて知らなかった。

わたしは現在熊本に住んでいる。
実家は宮崎だ。宮崎の中でも陸の孤島と言われる宮崎県北部の出身で、もののけ姫が実写でできるような地域に住んでいた。

ちなみにテレビのチャンネル数は、民放は未だに2つだけ。
裏表でチャンネル変えてって言っ…その話をすると長くなるのでまた別の記事にする。
現在住んでいる熊本市内から、実家までは車で3時間かかる。

新幹線?そんなものはない。バカを言うな。
九州新幹線全線開通!なんて、宮崎と大分と長崎をどう説明するんだと声を大にして言いたい。

実家へすぐには帰れないツラさ

夫の実家は熊本市内にはあるが、義母は既に亡くなっている。

ちょうどわたしと夫が出会った頃に、末期癌で亡くなったらしい。義父は元気だが疎遠な関係だ。
義母が生きていれば、付き合い方も今とは違ったのかもしれないが、そんなどうすることもできないことを言ってもしようがない。

結局、何が言いたいのかというと、近くに頼れる人がいないような状況だ。
実際に子供たちを義夫へ預けたことは一度もない。

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なので長男が生まれた時は、母が仕事を休んで熊本市内の自宅に来てくれた。
なぜ宮崎で出産しなかったのかというと、実家から一番近くの産婦人科までノンストップで運転しても40分はかかるからだ。お前はどんだけ田舎に住んでいるんだと思うだろう。
ちなみに最寄りのコンビニまでは車で15分かかる。電車?そんなものはない。

母もいつまでも仕事を休むわけにはいかないので、1ヶ月検診を終えたら宮崎へ帰っていった。
その時の心細さといったら、5年経った今でもよく覚えているほど。

長男はといえば、なかなか眠らない子だった。
出産した産科が母乳育児を推奨してたため母乳で頑張って、やっと眠ったと思っても布団に置くと10分もせず起きる。母乳だと眠りが浅いとかいうレベルではない。

抱っこしていればずっと寝てくれたので、抱っこしたまま座って寝た方が多かったと思う。

しかも、ちょうど明日母が宮崎へ帰る、という前夜に長男が急に嘔吐を始めた。
ややチアノーゼも見られ救急車で夜間診療に運んだときには、わたしの精神状態はギリギリだったと思う。

検査している間、病院の廊下で泣いているところを看護師さんが慰めてくれた。
「お母さん明日帰らないで」と思いながら3日間長男と入院して帰宅し、ワンオペ育児がスタート。

寝不足の状態が続いて、自分でも「ヤバイな」と思う日が多々あった。
近くに実家がある人は、赤ちゃんと一緒に実家へ行って少し眠らせてもらう、ってこともできるがわたしはできない。
家に誰か来てくれるだけでも、気分は変わると思う。

「実家の近くで子育てしたい。」って人の話を出産前に聞いたときは、「へ〜育児の干渉をされそうでわたしは嫌だなぁ。」なんて思っていたけれど、実際に育児を始めると疲労感も孤独感も半端ないことに気付いた。

特にハイハイを始めたり言葉を発したりという、赤ちゃんサイドからのリアクションがない時期はツラい。
もちろん我が子はめちゃくちゃ可愛い。

でもこの可愛さをせめて誰かと共有したい、自分が眠れなくとも「可愛いね。」と言ってもらえるだけでも、自分の苦労が報われる気がした。

毎日毎日誰とも話せず、おむつを替えおっぱいをあげて、眠って抱っこしてという日が続くと、正常な判断力ができなくなる。
育児ノイローゼや虐待なんて自分には絶対に関係のない話だ、だなんて思えない。

むしろ何かがきっかけとして自分がその立場になり得ると思うと、不安になった。

精神的な疲労がわたしを追い詰めていた

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生後4ヶ月になる頃には、長男も重くなって抱っこをする機会も増えた。
そこでやってしまったのが、ぎっくり腰だ。
おむつを替えてよっこらせと長男を抱き抱えたら、痛みとともにもう一歩も動けなくなってしまった。

大体3ヶ月頃から1歳過ぎる頃までが抱っこのピークではないだろうか。

5ヶ月からの離乳食も、一生懸命作っても食べなかったり、1歳過ぎても歩かないと不安になったり、普通のご飯はいつから食べさせていいのか、体重が増えない、言葉が周りの子より遅れている、おむつが取れない、病気になったりと、育児は体の疲労だけでなく精神的な疲労が大きい。

そこにさらに「あら、まだ歩かないのね。」「体が小さいけどちゃんと食べさせてる?」「また風邪ひいたの?」なんて言葉をかけられた日には、意味もなく落ち込んだ。

ちなみに産後はホルモンバランスが崩れるので、精神的に不安定。
わたしは長男が卒乳する1歳まで、2時間おきに起きる生活が続いたのもあって、1年間不安定な状態が続いた。

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育児は孤独だ。

目の前に我が子がいるのに、社会に一人だけ取り残されたような、今まで感じたことのないような不安や寂しさが襲う。
気にかけている人がいると分かっていても、夜中に1人起きて授乳したり、家にいる時間が長いとどうしても憂鬱な気持ちになる。

状況は違っても、きっと多くのママが経験していることなのだろう。

出産をするまでは、すれ違うママが子供を抱っこしたり手を引いて歩くのを、「可愛いな。」くらいにしか思わなかったが、今は違う。

抱っこはもう何時間もしているかもしれないし、外に出るまでグズってなんとかなだめたのかもしれない。そんな風に想像できるようになった。

それでも平然とした姿で、笑顔で子供と過ごすママたちを見ていると、「がんばれ」と思う。

ゆるーくほどほどに育児を楽しもう、と自分に言い聞かせながら、育児を頑張るママやパパにもそう話しかけたくなる。

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