強い人の背の,負った傷の数と深さよ。
ひとりぽつんと座る背中に,
遠く窓の外を眺める背中に,
寂しさと優しさを感じます。
寂しいことが虚しいことを,
虚しいことが哀しいことを,
哀しいことが切ないことを,
切ないことが悲しいことを,
悲しいことが痛いことを,
痛いことが苦しいことを,
苦しいことが寂しいことを・・・。
寂しさを知る人は,きっとそれを知っているから,
優しく,温かく,なれるのでしょうか。
ひとりになることが,寂しいということではないのです。
理解されないことが,寂しいということではないのです。
雨音をききながら,孤独を感じることがあるかもしれません。
でも,孤独は,ひとりであることは, ”寂しい” わけではないのです。
”寂しい” は心が茫然としてしまった時なのです。
虚しくて,哀しくて,切なくて,悲しくて,痛くて,苦しくて・・・。
そして,怒りと,憎しみと,愛情と,情けなさと,無力感と,後悔と,絶望と,期待が重なって。
渦巻く感情はでも,爆発はしないのです。
すべてがぶつかり合って,相殺しあって,生まれては消えて,また生まれて。
何を表に出したらいいのかわからなくて。
だから心が茫然としてしまう。
こんなにたくさんの感情が燃えていたのに,気づけば灰になり,すっかり冷たくなっている。
・・・その時に ”寂しい” と感じるのでしょう。
すっかり冷たくなっちゃったから,
燃えて熱かったはずなのに,
だから誰かの温もりが欲しいのでしょう。
言葉なんてなくてもいいのです。
ただ隣に座っていてくれればそれでいい。
そんな温かさが欲しいのです。
寂しさを知る人は,
きっと優しくなれるのです。
難しいことはいらなくて。
ただそっと寄り添う。
寂しくなくなるまで,そこにいることは,しかし結構たいへんなことなのです。
それは本当は難しいことなのです。
でも,寂しさを知る人は,
それがどれほど温かいことか,知っているから,
きっと,そこにいてくれるのです。
寂しさを知る人は,
きっと誰よりも強い人。
今,寂しさの中のあなたは,
きっと誰よりも強くなれる人。
傍にいてもいなくても,
寂しさを知るあなたなら,きっと誰よりも強くなれるのです。
きっと優しくなれるのです。
寂しい時ほど,優しくなれるのです。
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