半世紀前に読んだカフカ、特殊な形容詞句と凝縮された文体。
カフカの大作は殆ど日本語訳で読みましたが、短編「変身」だけは、ドイツ語と英語で丁寧に読み込みました。彼の文体の特徴は、冠飾句と言われる長い修飾句であると思います。冠詞と名詞の間に長い形容句が入ったりする訳です。英語では同様の表現が難しく、関係代名詞を使って、説明を後ろに持って行く様です。が、ペンギン版の英訳の中には、修飾句と思しき文もあった様に記憶していますが、例外なのでしょう。
古い日本語訳は、大変緊張した文体と感じられ、カフカはチェコにおけるユダヤ人としてドイツ語を表現手段として作品を書いた人で、人によっては、ユダヤ人の存在自体が緊張感を孕んでいた、と言われる様です。しかし、後年プラハに行って、実は、ユダヤ人はチェコではそんなに迫害をされなかったのでは、と言う印象を持ちました。ですが、現実はもっと複雑であった、と言う面もあるとは思います。しかし、素直に、形容詞句の中に、文章を割り込ませた、と思えば、そんなに難解ではなく、むしろユーモラスなのかな、と言う印象も持ちました。
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