春の味
私は染めや絵で生活する前は、料理人が長かったので、料理は良くつくります。
工房では毎食給食をつくります。夜は夜給食や、お酒のおつまみ。
家に私がいる時には、99%毎食家族のご飯をつくります。
私は何かつくっていないと死ぬ病なので、とにかく何か常につくっています。
たまに、出張シェフをしたり、工房に人をお呼びして料理やお酒を出すこともあります。
そんな日々なのですが、
立原正秋氏の小説や、立原氏の奥さまの光代さんの本をAmazonオーディブルで聴いて、立原家的な春の料理を食べたくなって、工房給食で自作。
もちろん、立原家の味は知りませんので、あくまでも私の好みの味です。
昼給食なのに、思わず日本酒が欲しくなりガマン出来ずにちょっと呑んじゃった(笑)
今回は、フキとふきのとう。
普通にスーパーで買ったものですが・・・
今、近所のスーパーで春野菜が沢山売っているので、何か作りたいなあとは思うも、流石に工房給食にあまり手もかけられず・・・早春野菜や山菜は調理に手間がかかるので。
なので今回は、フキとふきのとうだけ。
【フキの葉で包んだご飯を香味味噌でいただくもの】
フキの葉はわずかに重曹を入れたお湯で柔らかくなるまで茹でて、水に良く晒し「苦味が程よく抜けかつ香りが無くならない程度で引き上げ」、水気を拭き取り、10cm角ぐらいに切ります。(切る大きさはお好みで良いです)
味噌に、荒くみじん切りにした白ネギと、細かくみじん切りにしたショウガ、白の炒りゴマを入れ、練り混ぜたものを用意します。お好みでみりんや、砂糖で味を調整します。
(ここに削り節を入れても美味しいですが、味のボディが強くなり、かつをぶしの強い風味が乗るので、フキの爽やかな早春の風味は減衰します。この場合、私は入れません。時に、美味しすぎる料理は野暮ったくも感じるものですし・・・)
味噌はお好みのもので良いですが、多少は甘味があるものが良く、あまり熟成感があるものよりも、まだ若めの味噌の方が合います。
茹でたフキの葉で白ご飯を包み、香味味噌を添えていただきます。(上画像参照)春の風が胸に吹きます。
ご飯なのですが、日本酒が止まりません。
【ふきのとう味噌】 【フキの軽い佃煮】
いろいろな作り方がありますが、ウチの方法です。
上の写真の小皿の、上の方のものが「ふきのとう味噌」下が「フキの軽い佃煮」です。
ふきのとうは、丸のままか、半分に切って重曹をわずかに入れたお湯で茹でます。一応、芯まで火が通るぐらいに茹でてから、水に晒します。茹ですぎると崩れるほど柔らかくなるので、サッと茹でる感じです。
茹でたふきのとうを水に放ち、絞って、また水に晒し、と繰り返し「程よく苦味が抜けて、かつ香りや味がある状態(この度合いはお好みで)」になったら、水気を絞ってから荒いみじん切りにして、鍋に入れます。
日本酒、濃口しょうゆ、みりんを入れ、水分が飛ぶまで煮ます。佃煮の3〜4分の1ぐらいの塩分濃度、濃いめの煮物ぐらいの味付けです。
これを、好みの味噌、こちらもあまり熟成していない、若い味噌と合わせます。あまり練り混ぜず、全体にしっかり混ざれば良いです。
お好みでみりんや砂糖で甘さを調節します。が、甘くすると野暮ったくなるので「塩気をマイルドにするための甘み」程度にするのが好みです。
これで出来上がり。
日本酒とこのふきのとう味噌でエンドレス。
ほろ苦いですが、ご飯でも合いますし(この場合は焼き海苔で白ご飯を包んで、このふきのとう味噌を添えるのが好きです)油揚げや厚揚げを焼いてから、この味噌をトッピングしても美味しいです。
豚肉を焼いたものに添えるのも好きです。
「すごく苦くて香りが強いものがお好きな場合」は、生のふきのとうを荒く刻んで塩もみしてから味噌に混ぜると鮮烈なものが出来ます。
(塩もみ→水に晒し絞る、を好みの風味になるように繰り返す 塩もみは最初の一度だけ)
また、逆に苦味や青臭さが苦手な人はゴマ油で炒めてから水分を絞って使うと良いです。
ふきのうとう味噌は、ふきのとうを油炒めにして、鍋で酒や砂糖を入れてさらに油で炒めて作るレシピが多いのですが、私はその作り方だと「春の爽やかな香りが無くなり、野暮ったくなる」のでやりません。
【フキの軽い佃煮】
こちらは、きゃらぶきのような佃煮ではなく、普通のフキを軽い佃煮風に煮たものです。フキの香りとしょうゆの香りが美味しい料理です。
フキは鍋に入る長さに切り、少し重曹を入れたお湯で茹でます。芯まで火が入れば良いです。
引き上げ、水に晒し、皮を引きます。
上記下処理したフキを4〜5cmぐらいの長さに切り、太いものは細いものに合わせて縦割りにし、日本酒、濃口しょうゆ、みりん(場合によっては少し砂糖)で煮ます。焦げないように、煮汁がほぼ無くなるまで煮絡めます。
出汁は使いません。出汁を使うと美味しくなりすぎて、嬉しい早春の野菜の味わいが減るからです。
二三日置いてから食べると味が落ちついてさらに良いです。
(春の山菜系は美味しいからと沢山食べすぎない方が良いようですが、ついつい・・・)
今後、料理話題も載せていこうかしら?などと思ったり・・・
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