伝統工芸の後継者問題では、こういう人が多いですねえ…
私のこのnoteで良く話題にしているネタですが…
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以前、仕事場から家に帰ってテレビをつけ、適当にチャンネルを回していたら、フランス人の中年女性が京都の絞り染を体験したい、学びたいという事で職人さんたちのところを回って色々習っている様子を取材する番組があったので途中から眺めていました。
私が観ていた時には浸染職人さん(生地を染料に浸けて染める方法)が出ていて、この道50年以上とか?御年は75歳ぐらいだったかな?
その方は、
「オレには夢がある、このオレが50年以上かけて培って来たスゴい技術を後世に伝えたいんだ!」
と、素晴らしい事を情熱的に語るのでありますが…
なのに自分の息子は継がない、弟子を取る気も全く無い、とおっしゃる…
は????
えー?もう75歳なのに、跡継ぎもおらず、弟子も取らず、その技術を映像やデータ残す事もしていないのに、それでどうやって「その高度な技を伝承するの?」「今75歳なのに、いつやるの?」と私は思ったわけですが、同時に「こういう人、この手の業界に、本当に多いよなあ…」とも思いました。
彼らは良い事は言う。技術もある。しかし後継者問題について当事者としては何もしていないに等しい。彼らは他人のために一円だって使いたくないし、金にならない手間は一秒だってかけたくない。私はこういう職人さんを本当に沢山観て来ました。(しかし、責任の無い、小金を得るためのワークショップなどはやり、先生と呼ばれて悦に入るわけです)そして「アンタたち若いのが弟子取んなよ。弟子取ると勉強になるよ」なんて私にのたまうのです…
その職人さんがそういう事を言っている時に、突然そのフランス人の女性が「このテレビを観ている人で、染色に興味ある人は、この人の弟子になって!!」とカメラに向かって言い始めました。
その職人さんが「いや、やめてよ。だから取らないよ、絶対弟子は取らないよ?」と止めるのもおかまいなし。かなり粘って言い続けていました。熱意を持って。
「やれ!もっとやれ、マダム!」と私は思いましたけどね。
まあ、何にしても、伝統工芸系の業界は、若手が育たないんじゃなくて、若手を育てる気が無いというのを再確認した出来事でした。
伝統技術という畑があっても、何もしなければ花も実も付けないのは当然の事なのですが…