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ボーッと生きてんじゃねーよ、わたし。

中学のとき、美術の成績が5段階評価の『2』で、母親がヨロヨロとリビングのソファーに倒れ込んだことがある。
「2なんて成績、みたことない」と。
美術だもの。努力すればなんとかなるものじゃない。暗記すればいいとか、勉強すればいいとか、そういう科目じゃないんだからあきらめてほしい。心の中でそう思っていたけど、言うと怒られるからもちろん言わなかった。


まあ、そういうことなので化粧も下手です。以前も書いたことがあるけど、メイクをしている若かりし日のわたしに友達が放った一言。


「塗り絵じゃないんだから」


ポカン。
泣くとか怒るとかではない。ただひたすらあっけにとられておりました。
とはいえ、確かにお化粧は習ったこともほとんどないし、美術の成績を考えたらうまいはずがない。


できるだけラクに、無理なく、それでいてお客さまを不快にさせないようにきれいでいたい。
そしたらお友達がこのかたを紹介してくれた。

眉職人リカさん。
昨年後半から彼女に眉をデザインしていただき、ヘナで消えないようにしてもらってる。
眉だけでも美しければ、あとはなんとでもなるに違いない!と安易なわたし。ちなみにヘナだから1か月半ぐらいで消えます。


いつもすごくきれいにデザインしてもらってるので、メイクするときは眉ペンで上からなぞるだけでいい。そのはずなんだけど、なぜかいつも違う形になってしまう。


少しトレンドを取り入れながらもわたしらしい眉にしてもらっているのに!
リカさんがきれいにデザインした眉をただなぞればいいだけなのに!

なんでなのー?
なんで違う形になってしまうの?
しかも毎日、バラバラ。もうやだ!ヨヨヨー。


という話を昨日、お茶をしたお友達に話したら、ガツンと言われた。


「眉毛は千本ノック」だと。


とにかくいいから何度も何度も描け、と。
えー。同じ料理を作ろうとレシピを見てるのに違う料理が出来あがるわたしでも、千本ノック並みに描いたらうまくなるのか?はて?


お友達は具体的な描き方を教えてくれた。
「こうやって、こっちから描いて」とか「ここは上と並行にする」とか。
いつも彼女のこと「マジ、アタマよくてステキすぎる」と思っているけど、昨日はその気持ちが3,000倍ぐらいにふくれあがった。


わたしはプロフェッショナルのお仕事をいつも、ただただ「すごーい」「上手」とか感心して、満足して見てるだけ。
彼女はそうじゃなくて「こうするんだな」とか観察して研究してるんだろうな、きっと。


わたしはわたしに思ったよ。
『ボーッと生きてんじゃねーよ!』って。

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やまもとゆきえ
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