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日記「稀少な詩集に会いに国立国会図書館へゆく」

永田町といえば政界の隠語ってイメージがありあまり縁のある土地ではない。小学校五年生の社会科見学は国会議事堂だったが体調を崩し参加できなかった。よっぽど縁がないのだなぁと思うが先日、国会図書館に行くべく初めて永田町駅に降り立ったわけである。地下鉄から地上に出ると、整然と立ち並ぶビル、整備された道路、銀杏並木、そこらにぽつぽつと立つ警察官、黒塗りの車とハイヤーだけが通り過ぎ、なるほど確かに政界という風情。歩いていると国会議事堂が現る。

そんな物々しい景色の中いざ国会図書館へ向かう。下調べはしてきたものの取扱説明書を読むのが苦手な故なんとかなる精神で館内へ。登録を済ませ手順にのっとりカードをピッとして改札をくぐる。普通の図書館とはまるで違う風景に困惑する。本はどこ? パソコンばかりが並んでいるけど? 取扱説明書を読むのは苦手。人に聞いた方が早い。受付の方に一通り説明をしてもらいなんとかパソコンの前に座ってみる。そうか自由に本を取り出してぺらぺらめくって棚に戻して別の本をぺらぺらして・・・・・・ってことは出来ないのね。それはそっか稀少な書物が大切に保管されているのだ。そうゆう私も手に入らない書物を求めてここまで来たのではないかっ。てへぺろ(死語ですか?)

無事にリクエストを済ませ待っている間に何か書物を眺めたいと思うもそうはいかない。ここは図書館なのかしら? と思いながらも早く手にしたい詩集を待つ。どうしても読みたい詩集は二冊あったが一冊はここにはなく県立神奈川近代文学館に保管されているらしい。GoogleMAPで調べてみると山下公園の近くだ。横浜に行く機会がある時に行ってみることにしよう。

そんなこんなで準備が出来たらしく受取口へ小走りで向かう。ようやく手にした詩集。峯澤典子さんの第一詩集「水版画」。白くて美しい。小走りで席に戻りとにかく読む。早く読みたい一心で駆け足で一周してしまった。落ち着いて二周目。他の三冊の詩集と同様に洗練された美しい言葉の羅列にうっとりする。少しばかり若い頃の峯澤さんの作品たちはとても瑞々しい。当時は改行詩だけだったんだなぁ。第二詩集は散文詩がひとつあったが新たな試みだったのかもしれない。第二詩集、第三詩集、第四詩集、と時が進むにつれて瑞々しさに深みが増して、詩集と峯澤さんが互いに凭れつつ一緒に歳を重ねている。なんて素敵なんだろう。ふむ。二周目を終えてお家でゆっくりひとりきりで読みたいと切に願う。ここではやはり落ち着かない。

複写サービスの手続きに向かう。下調べした段階で全て複写してもらえるか多少の不安がありつつも、なんとかなる精神で「全ページ複写してください!」と懇願してみるが、やはり困った顔をされてしまった。ショックであまり覚えていないが一作品につき何頁と規定があり云々・・・・・・要するに複写は難しいとの事。こっそり写メ? 嫌々だめです! スマホにぽちぽち書き写す? これはOKなのかな? ノートに書き写す? これもOKなのかな? いやいや本の装丁、本のサイズ、本の重さ、一頁の行数、文字のフォント、この全てが峯澤典子さんの「水版画」であるのだ。と諦めとぼとぼ席に戻る。

あぁ。今この手にある詩集をこのまま持って帰りたい。仕方ない。席に戻って三周目。人気の少ない天井の高い良さげな通路のベンチに座って四周目。返却口の近くで五周目。あぁ。返したくない。タイムリミット。帰路時間と夕方の家事をする時間を逆算するとそろそろ帰らねば。泣く泣く返却口に。また会いにくるね。どこか別の場所で、例えば古書店とかで出会えて一緒に連れて帰れる日が来るといいね。

電車の中で目を瞑り頭の中で詩集のページをめくる。素敵な詩集だったなぁ。お家に帰ってXにポストすると峯澤さんからコメントを頂く。うふふのふ。暑い一日だったけど熱い一日だった。詩集をめぐる素敵な一日に深く心地の良い眠りつけた。

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