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あなたと一緒に働きたい
誰かに共に働きたいと言ってもらえることは、すごいことだ。
新卒で就職活動をしていたときも、現実逃避のように2回目の転職活動をしている今も、そのあたりが全く見えていなかった。
ただどう見せるか・その場を上手く乗り切るにはどうしたらいいか、ということばかり考え、なけなしの情報からせいぜい当日と前日くらいをかけて調べた言葉を繋ぎだし、結果を待つ。
「受かりたい」は「一緒に働きたい」よりかなり低次元の気持ちだった。
先日、ベンチャー企業の面接に行った。
フルタイムの正社員で求人を見ている私にとって、業務委託契約を結ぶ働き方だったその求人は今見ている前提条件から外れたものだった。
自由な働き方が歓迎され始めている今でも自分の人生の選択肢としてそういったものを勘定に入れていなかった私は、その働き方の募集が他の企業だったらまず受けようと思わなかっただろう。
でもそれは、ずっといつかここで働けたらと思っていた企業だった。
自分にはそこで働くだけのスキルが今は足りないから、将来きちんとスキルを身に着けられたら挑戦しようと、ずっと思い続けていた先だった。
そこでたまたま今の自分でも応募できるような求人が出たから、憧れの先で働かせてもらえるかもしれないと期待しながら応募した。
面接当日、代表の方ともう一人の方が担当してくれた。
いつか叶えたいことにこの企業の代表の方と話す機会を得ることを入れていた私は、ある意味では夢が叶ったともいえる。
でも、私は上手く話せなかった。
思いはあるのに、言葉が出ない。
あんなに考えていたはずなのに自分の返す言葉に一貫性がないように感じられ、繰り返される問いにその場で考えて答えることが思うようにできなかった。
憧れだった先の面接は、不完全燃焼のまま終了した。
数日経って、不採用通知が届いた。
残念だけどそもそも働き方の面の問題もあったから、今はこれで良かったのだと思う。
ただ問題は今回落ちたということではない。
思いがあっても上手く表現できないことは、チャンスを逃すことに密接に結びつくということだ。
誰かに一緒に働きたいと思ってもらえるためには、自分を上手く表現できることが必要だ。
そしてそう思ってもらえるためのアピールをする場は、面接の数分しかない。
たったひとつしかない枠に選んでもらうためには、思いの大きさだけでは足りない。
思いの大きさを面接の数分で伝えきることが、選ばれるための最低条件になるのだろう。
今回受けた先はまた将来、チャンスがあったら応募できたらと思っている。
不採用通知に今回の結果は受け止めつつ今後も関わりを持ちたいと返信したら、そのメールにも返信をしてくれたような丁寧な先だった。
次のチャンスがめぐってくる時にはもう少し、自分を表現するための術を身に着けて、一緒に働きたいと思ってもらえる自分になるための準備をしておきたい。
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