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スタッフはファミリーじゃない。
僕はLGBTのT。女から男に戸籍を変えて生きているFTMトランスジェンダー。鈴木優希41歳。
仕事は地元名古屋で同じ性別違和、主に僕と同じFTMを雇用した飲食店を経営している。
自分が職場に悩んだからこそ「自分らしく生きる場所」として15年前に開業したこの店。
同じ当事者を雇用するということで僕はスタッフに「ファミリー」を求めた。
同じ悩みを抱えて生きてきたもの同志分かり合える。助け合える。そして自分らしく働いて対価を得られる場所。辛い時も良い時も変わらず一緒に生きていく「家族のような繋がり」を求めた。
しかし、それは
僕の独りよがりだった。
同じLGBT当事者なだけで僕も「仕事」 あちらも「仕事」
ボランティア活動ではないから、
僕は労働力を求める。
利益が無ければ還元できない。利益が無ければ「この場所」も無くなる。
経営者とスタッフの熱量は違う。これは僕もこの立場になったからわかったことであり仕方がない。
良い時はついてきてくれる。
困った時は誰も助けてはくれない。
流行り病で時短休業が余儀なくされた時、初めての事で僕も対応に追われた。
そんな時も「夜の街、水商売という泥船には乗っていられない」と去って行ったスタッフ。今助けて欲しい!という時に平気で辞めますなんて言ってくる。
振り返ってみると、こんなことばかり。
その度に傷ついているけど、スタッフには「辞める」権利がある。
僕は寂しがり屋だから集まって来てくれたスタッフに家族を求めた。でもそれはスタッフにとっては迷惑な事だったと思う。
僕にはこの店が全てだけど、スタッフはそうじゃない。もっともっと選択肢がある。
人が離れていくたびに、自分の掲げた「自分らしく居れる場所」って何なんだろう。意味のないことなのか..と無力感を感じる。
でもそんなことを感じていると..働きたい!とまた新しい子が尋ねて来てくれたりして、また、
それならやってみるか。
それの繰り返しでここまできた。
家族ではない。仲間。
今この瞬間を。人生の大事なこの瞬間を僕の店にいてくれること。同じ思いで「利益」「生きがい」を一瞬でも、もとめてくれていること。
生まれた場所も年齢も全く違う僕たちが名古屋の..錦の..雑居ビルの一角の同じ場所で同じ時間を生きている。
仲間
僕は仲間を持ったんだ。
店を持ったことで、人を雇ったことで、わかりたくないことも沢山経験した。
でも、その中にひとりじゃできない喜びも沢山あった。
だから僕は今も「一緒に働いてくれる仲間」を探しつづけているんだと思う。
人が嫌いで人が大好きなんだ。
今傍に居てくれる仲間たちに、まだまだ「任せておけ!」といえるリーダーでありたい。
2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!