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40代トランスジェンダーのリアル。

僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。生まれた時の性別である女から男に戸籍を変えて生活している鈴木優希。

40代トランスジェンダーのリアル

身体が痛い。しんどい。

性別をトランスしていること。身体にメスを入れたことが影響しているのかただの歳なのかは不明だが、傷口が痛む実感はある。

子宮と卵巣を摘出したことにより女性ホルモンを失くした僕は男性ホルモンの投与をしているが、人工的なものは自然の物には勝てず、副作用も多い。ホルモンバランスの乱れから先日、ひどい更年期障害の状態だと診断された。

内摘手術をした20代の頃は店での接客のネタにしていた「ほてり」「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状以外に身体の倦怠感、痛み、メンタルの不安定など年々笑えない状況になるつつある。

メンタルの不安定さ、決断力不足の実感など明らかに以前と違う症状がある。
ホルモン治療を受けている大学病院の精神科の先生に相談しても、
「仕事に行けていれば大丈夫」と言われて相手にもしてくれない。

たしかに大学病院の精神科にはきっともっと重症な患者さんがくるから、僕の症状は先生から見たら「そうでもない」という見方なのだろうが、自分的には明らかにこれまでと違うというとてつもない心配があるのになぜわかってくれないのか?
といつも診察後は悲しい気持ちになる。

これまでは「気合と根性」で乗り切ってきたけれど、それが今なかなかに通用しなくなってきている。

時が戻ったとして・・・

手術する?しない?

こんなに副作用で悩んでいるけれど、もし時が戻ったとしても戸籍を変える条件が子宮卵巣を摘出しなければいけない法律のままならば、きっと手術をすると思う。

大きな胸がコンプレックスだった。
生理が来るのがとてつもなく嫌だった。
女で存在している事が嫌だった。

今は身体を変えたおかげで性別違和で悩む事はほぼない。
離婚はしたけど、結婚も出来た。男として扱ってもらえることの幸せを感じることが出来た。

精神的にかなり強くないと女の身体のまま男として生きることは難しい。
人生は一度きり。心の性別の男として生きてみたかった。
だから僕はきっとまた同じ手術をするだろう。

心と体の性別が違う事。それは幼少期から思春期。治療を始めるまでの僕にとって、とてつもないストレスだったから。

いいとこどりは出来ない

心から感じる。物事にはリスクとメリットがあることを。
自分で選んだ事。この不具合多き身体とつきあっていくしかない。

やってみたからわかること。見えることがある。
当時23歳。
性別適合手術、治療を始める時に大阪医科大学付属病院のGID科の担当医に聞いたことがある。

「同じ治療をした人で40歳、50歳、もっと上の方は今どうされてますか?」
「手術後は実際にどんな副作用があって、どのようにその治療にあたっているんですか?」と。

先生の答えは

「わからない。」というまさかの答えだった。



GID科の全国的にも有名なこの世界の専門医の先生の予想外の答えにとても不安になったことを今でも覚えている。

どうなってしまうかわからないことを自分の身体でする怖さ。
でもそうするよりほかに「男」の戸籍を手に入れることは出来ない。

戸籍にこだわれば、選択肢はない。

今は、同性パートナーシップ制度なども出来て僕たちLGBTを取り巻く環境は変わりつつある。
性別「戸籍」を変える国のガイドラインが当時から変化しているのかはわからないが、
1980年生まれ42歳のFTMトランスジェンダーの身体が今後どうなっていくのかを発信することで

今、悩んでいる当事者、未来に悩むことになる当事者のひとつの指針になればいいなと思う。

23歳の僕のような思いはして欲しくない。

2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

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