メタ認知育成②舞台では「緊張したい!」と願うべし

こんにちは、辰巳です。

前回は、レッスンシーンにおける生徒さんのメタ認知の育成についてのお話でした。

今日は、舞台での緊張をコントロールするためのメタ認知の育成についてのお話です。


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舞台での成功•失敗の要因は技術のせいか


生徒さんが音楽コンクールや発表会に出演した時に、感想を聞くと、

「緊張していつも通り弾けなかった」

「いつもより力が入ってしまった」

「手に汗をかいて指が滑った」

「客席が気になって演奏に集中出来なかった」

などなど、多くの生徒さんがこんな事を言います。技術的な話をする人もいますけれど、「緊張」などのメンタル面の感想を言う人が圧倒的に多いです。

舞台での成功•失敗の要因は、どうやら技術面よりもメンタル面にありそうで、生徒自身もそれを自覚しています。

にも関わらず、次の舞台に向けてする事は、やっぱり技術的な練習ばかり。

そして、次の舞台の後にまた同じ感想を言う。

ならばなぜメンタルを鍛えないのか。


舞台に出るならば演奏技術を磨くだけでなく、メンタル強化も両輪としてレッスンしていかなければいけないのですね。


現代では、演奏家やスポーツ選手はメンタルトレーニングをする事も当たり前になってきています。しかし、それは一流のプロの話。

一般的な学習者や演奏家は、まだまだメンタルトレーニングを実践出来ていないのが現状です。

私は、一流の人だけでなく、ピアノを弾く人なら誰でもトレーニングをするのが良いと思っています。

ピアノ学習者の子どもが、専属のメンタルトレーナーを付けるのは現実的ではありませんから、ピアノの先生がトレーナーになるわけですね。

さぁ、どうやって生徒達のメンタルを鍛えましょう?

メンタルトレーニングには色々な方法がありますが、今日はメタ認知を活用した緊張コントロールの方法をお伝えします。


予め分かっている事が多い方が緊張しない

例えば皆さまが、一世一代のお見合いをするとしましょう。

何としてもお見合いを成功させたい!

こんな時、どうされますか?

おそらく、

事前に相手の趣味などを調べたり、

相手の好みの服装をリサーチしたり、

写真を見て褒めるポイントを探しておいたり、

お店が洋食ならばテーブルマナーを勉強したり、

自分は緊張した時汗をかくならハンカチを多めに持って行ったり、

話が続かない時のために話題を準備しておいたり、、、

そんな対策をしてから臨みますね( *´艸`)

よほど度胸があるか世慣れた人であれば別ですが、

多くの人は、一世一代のお見合いに何の対策もせずには行かないでしょう。

事前リサーチや準備を周到にしたからといって、成功するとは限りません。

しかし、緊張は減らせます。


緊張状態をモニタリングする


先程のお見合いの話は、舞台での演奏に置き換えられます。

話の中でポイントなのが、

「緊張すると汗をかく」

という項目です。

これは、今までの経験から、緊張状態に自分がどうなるのか分かっているという事です。

皆さまは緊張した時、普段と比べてどんな変化が起こりますか?ちょっと思い返してみてください。


、、、、


手に汗をかく、脇に汗をかく、顔が赤くなる、手足が冷たくなる、息が上がる、頭が真っ白になる、体に力が入る、言葉が出なくなる、いつもより饒舌になる、、、、


色々あると思います( *´艸`)


このように、自分の状態を観察する作業を、「メタ認知的モニタリング」と言います。

メタ認知的モニタリングには、2種類あります。

1つは、リアルタイムで自分を観察する「オンラインでのモニタリング」

もう1つは、後から振り返って自分を観察する「オフラインでのモニタリング」。


先ほど、緊張状態を振り返っていただいたのは「オフラインでのモニタリング」という事です。

画像1

オフラインでのモニタリングは、オンラインに比べて、ゆっくり考えられるぶん簡単です。

しかし、このモニタリング作業をするだけで、イラストのように次回への対策が立てられるのです。この作業を毎回繰り返す事で、同じ失敗を何度も繰り返す事は無くなってきます。


オンラインでのモニタリングは、こんな感じです。

画像2

コンサートや発表会の舞台でのイラストです(絵が上手過ぎてすみません笑)

ピアノを弾いている人の左の吹き出しはメタ認知の働いていない状態、右上にいるのが「メタ認知君」です。

「メタ認知君」は、リアルタイムで自分の「知覚、視覚、感覚、感情、思考」などをモニタリングし、それを頼りに自分はその場で対策を打って状態の調整をしてゆくのです。

オンラインでのモニタリングは難易度高めですから、まずはオフラインでのモニタリングに慣れる事がポイントです。

オフラインでのモニタリングに慣れていれば、自然とオンラインでのモニタリングも出来るようになってきます。


このように、「緊張状態で自分に起きる事」を出来るだけ多く知っておく事で、緊張に飲み込まれてしまうのを防げるのです。



緊張したい!と願う


ここまで、メタ認知的モニタリングにより、緊張をコントロールする方法をお伝えしてきました。

ここで1つ注意点があります。

先程のお話は、「緊張しないため」の対策ではなく、あくまで「緊張ありき」でのお話です。


例えば、家に「こわい鬼」が襲ってくる村があったとしましょう。

こんな時、「鬼に来ないでほしい、、」と思えば思うほど、鬼に対する恐怖は増します。メンタルが弱っている状態ですね。

ですから、「鬼は来る」という前提で、どうやったら鬼をやっつけられるか考えるわけです。

金棒を持ってるかも知れないから、電流を流す機械を準備したり、

鬼はパンツ一丁かもしれないから、パンツを攻めれば案外弱点かも?と脱がす方法を考えたり笑(パンツ履いてる時点で羞恥心があるって事ですよね笑)

準備万端にしておけば、むしろ鬼が来るのが楽しみになるかもしれません(^^)

せっかくの電流マシン、使いたいじゃないですか笑

鬼でも緊張でも「いつでもかかって来いや!」と思える強いメンタルは、敵から逃げない事です。

もっと強くなれば、

鬼、つまり緊張と戦うのではなく、どうやったら仲良く出来るのかを考えられます。


緊張して来たら、

ハイハイ、待ってましたよ!ようこそ緊張さん!

どうせアンタ、私に汗かかすんでしょ?

ホラ来た、予想通り、汗きました!

え?汗こんだけ?こちとらハンカチ5枚も持ってるのに、たったこれだけの汗しかかかせないの?


、、、みたいに緊張と付き合えるなら楽しいかもしれませんね(^^)


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繰り返しになりますが、

人は「緊張しないようにしよう!」と思えば思うほど、かえって緊張が増すものです。

ですから、「緊張する前提」で考えなければいけません。

もっと言えば「緊張したい!」と思えば思うほど緊張しません( *´艸`)


そろそろまとめましょう。

舞台でのメンタルトレーニングには、

⭐︎メタ認知のモニタリング作業で自分を知る事

⭐︎敵の情報を出来るだけ事前に得る事

⭐︎それを元に対策を考える事

⭐︎怖いものから逃げない事


是非、生徒さんと一緒に実践してみてくださいね、きっと楽しみながらメンタル強化が出来ると思います(^^)

大変な事ほど楽しみながら♪ですね( *´艸`)


メンタルトレーニングには他の方法もありますので、また別の記事でご紹介出来たらと思います。


お読みくださってありがとうございました♪








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