【書評掲載】ブライアン・J・ロバートソン『[新訳]ホラクラシー―人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1136号
今年度4月より、産労総合研究所が発行している専門誌『企業と人材』の書評コーナーの連載を担当することとなりました。
『人と組織の力を高める人材開発情報誌』である本誌ですが、『人を活かす組織づくりのヒント』と題して毎月、関連する書籍を紹介しております。
『人を活かす組織づくりのヒント』を提供する書籍として今回、取り上げたのはブライアン・J・ロバートソン著『[新訳]ホラクラシー(Holacracy)人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』(英治出版)です。
昨年6月、吉原史郎さんが監訳を務められ、英治出版から新訳版として出版された本書を、連載第3回目に紹介させていただきました。
『企業と人材』は毎月5日に発行予定ですので、書評コーナー以外もぜひ手に取ってご覧ください。
ホラクラシー(Holacracy)とは?
ホラクラシー(Holacracy) とは、既存の権力・役職型の組織ヒエラルキー(Hierarchy:階層構造)から権力を分散し、組織の目的(Purpose)のために組織の一人ひとりが自律的に仕事を行うことを可能にする組織運営法です。
2007年、Holacracy One(ホラクラシー・ワン社)のブライアン・J・ロバートソン(Brian J Robertson)とトム・トミソン(Tom Thomison)によって開発されたホラクラシーは、フレデリック・ラルー『ティール組織』にて事例に取り上げられたことで、国内においても実践事例が増えつつあります。
ホラクラシーを導入した組織では、組織の全員がホラクラシー憲章(Holacracy Constitution)にサインして批准することで、現実に行なわれている仕事を役割(Role)と、役割として優先的に使用するドメイン(Domain)、継続的に行なわれている活動(Accountability)として整理し、 仕事上の課題と人の課題を分けて考えることを可能にします。
ホラクラシーにおける組織構造は『Glass Frog』という独自開発された可視化ウェブツールを用いて、以下の記事にもあるような入れ子状になった円によって表されています。(可視化ツールは他にもHolaspiritというサービスも国内外問わず、多く活用されています)
ホラクラシーを実践する組織において仕事上、何らかの不具合が生じた場合・より良くなるための気づきや閃きがあった場合は、それをテンション(tension)として扱います。テンション(tension)は、日々の仕事の中で各ロールが感じる「現状と望ましい状態とのギャップ、歪み」です。
このテンションを、ホラクラシーにおいてはガバナンス・ミーティング(Governance Meeting)、タクティカル・ミーティング(Tactical Meeting)という、主に2種類のミーティング・プロセスを通じて、および日々の不断の活動の中で随時、不具合を解消していきます。
さらに詳しくは、日本人初のホラクラシー認定コーチであり新訳版書籍の監訳者である吉原史郎さんの記事や、新訳版出版に際してホラクラシーのエッセンスについて語られた動画、全文公開されている新訳版書籍のまえがきもご覧ください。
人材開発情報誌『企業と人材』とは?
『企業と人材』は、株式会社産労総合研究所が発行している『人と組織の力を高める人材開発情報誌』です。
発行元である産労総合研究所は、1938年(昭和13年)に創設された労働問題の民間調査機関『産業労働調査所』を前身とする出版社・民間シンクタンクです。
『企業と人材』は1968年(昭和43年)に『社内報新聞』として創刊され、その後『社員教育』、『企業と人材』へと改題を重ねながら、2013年2月に第1000号が発行されました。
産労総合研究所は『企業と人材』の他、『賃金事情』『労働判例』『労務事情』『人事の地図』といった人事労務分野だけではなく、『病院経営羅針盤』『医事業務』など医療介護経営分野における出版を中心に、同分野での調査研究・提言を行っています。
各誌の定期購読・試読・web見本誌の申し込み、見積書ダウンロード、バックナンバーの確認等は、各誌のリンク先のページをご覧ください。