ゼロから始める伊賀の米づくり26:秋起こしBefore & After
前回の家の片付けの際、作業を手伝ってくれていた祖父と父の共通の仕事仲間・ピンさんがまた不意の一言。
『もう、一度(田んぼ)耕してやってもええん違うか?畦の草刈りだけして、粗〜く鋤いてやったらええ』
それを聞きつけた母も、
『いつ、耕す?』
と食い気味に詰め寄ってきたので、翌日に急に秋起こしを行うことになりました。
秋起こしは、その名の通り収穫後の秋の時期に一度田んぼを耕すことを言います。
稲刈り後の刈った後の株から伸びてきている蘖や、稲藁を鋤き込み、土に還していく作業です。
土中が暖かい時期ほど分解も早まるとのことで、それならこの暑い時期が続く10月初旬で済ませてしまおう、という理屈も働きました。
翌朝!
とても気持ちよく晴れ、透き通った空が広がっていました。
稲刈り後の切り株から再び土中の栄養も吸いながら伸び始め、黄緑色が豊かになってきています。
我が家の田んぼは、この田んぼと神社前の田んぼ、
さらにもう一つ、神社脇の共同スペースを分けて使っている田んぼの合わせて2.8反ほど。
稲刈り後の土を耕すとなったときには、コンバインが入って堅く踏み固めている等の都合もあり、ゆっくりした運転速度でざっくりと耕していきます。
時間にして、丸一日かかってしまうだろうか……。
とはいえ、やならければ終わりません。
早速始めることにしました。
とても良い天気です。トラクターには祖父が自前で取り付けた屋根があるのですが、これがなかったら暑さにやられていたかもしれません。
トラクターで耕すと、水分がある焦げ茶色の土が露出してきました。
こうして見ると、わかりやすいですね。
続いて、神社前の田んぼに取り掛かります。
以前、この田んぼを耕しているときにトラクターがオーバーヒートしてしまうことがありましたが、今回は大丈夫そうです。
冷却水がちゃんと回り、エンジン周りを一定の温度に保ってくれています。
すると、とても優雅な足取りで田んぼを横切る大きな白い鳥が現れました!
(こいつ、慣れているのか?全然トラクターから逃げない)
田んぼの周りには、よくこういったでかい鳥が現れたりもしますが、思えばゆっくり眺めることもありませんでした。
調べて見ると、この鳥はチュウサギ。白サギと呼ばれる鳥の中で、文字通り中くらいの大きさで、首や嘴の長さ、体の大きさなどで簡単に判別できるようです。
彼らはこうして、田んぼを耕したときに飛び出る昆虫等を狙い、集まってきます。
彼らと並走しているうちに、ようやく秋起こしが終わりました。
すっかり夕暮れが近づいています。
トラクターを走らせたAfterがこちら。
トラクターの扱いにも、だいぶ慣れてきたように思えます。
神社前の田んぼも、このような仕上がりに。
夕焼け雲がよく映えています。
すっかり一日時間を費やしてしまいましたが、乗っている間は多少余裕が出てきて考え事などもまとまる貴重な時間となりました。
思えば、トラクターに乗りながら広々とした景色を眺めつつ、ゆっくりと考え事に没入できるのはある意味贅沢な時間かもしれません。