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自然農法×バケツで始める米づくり2。ハッピーヒルが発芽。庭のバケツへお引っ越し

今年(2021年)の5月某日。

ひょんなことから、循環畑の実践者で、長年の友人である宮慶優子さんに『ハッピーヒル 』というお米の種籾を分けていただき、自然農法的に、かつ、バケツ栽培で育ててみることにしました。

兼業農家として、実家の田んぼで米作りをしている私ですが、

『果たして米は、広い田んぼがないと育てられないのか?』

という疑問を抱いていたところから、家庭菜園的に庭先のバケツで稲を育てるチャレンジとして始めました。

ハッピーヒルとは、不耕起・無肥料・無農薬で作物を育てる『自然農法』を確立した福岡正信氏が交配、育成したお米の品種のことで、その名の由来は、福岡正信氏の名前から福(=Happy)岡(=Hill)と直訳し、名付けられたそうです。

前回の記録では、まず種籾を水に浸し、発芽を待ってみるというこのような状態で終わっていました。

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さて、今回はどのようになったのかを見ていきたいと思います。

水に浸して5日目、種籾が発芽

1日1回、水の入れ替えをしつつ様子を見守ってきましたが……

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無事にほとんどの種籾が発芽してきました!

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拡大するとこのように、白い芽が出てきている様子がわかります。

水の入れ替えのプロセスひとつとっても、学びがあるものです。

中身が詰まっておらず、軽いものはどんどん水に浮いてきたので、その度に取り除き、より強い種を残すように努めました。

特別、日陰に置くこともなく、直射日光が当たらない場所に置いておき、1日1回の水換えをするのみ。

これだけでも、種籾は水の中で呼吸し、芽を出してきたようです。

さて、次はバケツの方へ発芽した種籾を引越しします。

バケツへのお引越し

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バケツは既に家にあったものを再活用します。

また、バケツに入れた土については、昨年から継いだ実家の田んぼの経験が活きてきました。(詳しくは以下のマガジンにて↓)

一般的なやり方として、田んぼで米づくりを行っていると、途中で田んぼの水を抜く「中干し」というプロセスを挟みます。

要は、一度水をすべて田んぼから抜いてしまい、土が渇いたひび割れから酸素を取り込むと同時に、苗の根がより深くへ張るよう促すプロセスとなります。

その際、用水路へ水と同時に田んぼの土も流出してしまうことがあったのですが、その流出した土を、今回はこのバケツに入れ、バケツ稲として再利用することにしました。

米が育ちやすい土質、米がおいしくなる土質は様々で、粘土質なものから砂質、栄養分の多寡によって色等も様々なのですが、実家の土は鉄分を多く含むやや灰色がかった粘土質。

どのように育ってくれるか、楽しみです。

バケツへの引越しから1週間、無事に出芽🌱

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どうにか、ここまで漕ぎ着けることができました。

無事に、緑の芽が出芽してきました。

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種籾をそれぞれのバケツに分散し、土の深さ1センチ弱のところに埋め、しばらく様子を見守っていましたが、どうにか出芽を確認できました。

出芽までほとんど毎日、気になってはバケツの様子を伺ったりもしていましたが、「待つ」ことの大切さを感じます。

人に対してもそうかもしれませんが、心配のあまり過保護になってしまったり、ついついアドバイスや注意等をしてしまうこともあるかもしれませんが、相手が自立していくのを手伝いたいとなった時は、相手を信じて「待つ」ことも肝要です。

今回の種籾については、土、水、バケツという場を用意しました。この後、どう育っていくかは、日光や気温等の外的な要因ももちろん影響しますが、種籾そのものの生命力にかかっています。

どのように育ってくれるのか、自分も見守る立場として寄り添いたいと思います。

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「出現する未来」の一節〜種の成長と人の可能性〜

種籾の成長を見守る中で、ふと「出現する未来」という書籍の一節が思い出されました。

この本は、組織開発、組織変革という人間の集団(一グループから企業、国家レベルの規模まで)の創造性を対話と内省によって解放し、より良い未来を作っていくための仕事に従事する4名の対話形式で進んでいくユニークな一冊です。

その中で、変わりゆく世界の中で、人がどのように内面的な変容を遂げ、創造的な未来を創っていけるのか?についてのダイアローグが進められていきます。

私自身、元々実家の米づくりを継ぐまではこのような領域の仕事に専念しており、その際にこの本に出会っていました。

さて、この「出現する未来」の冒頭、こんな一節があります。

木が種からできるのは常識だ。だが、どうやって一粒の小さな種が巨木になるのだろう。種は木が育つのに必要な資源を持っていない。資源は木が育つ場所の周囲-環境にある。だが、種は決定的なものを提供する。木が形成され始める「場」である。水や栄養素を取り入れながら、種は成長を生み出すプロセスを組織化する。ある意味で、種は、生きた木が出現する未来の可能性の入り口なのだ。p15「出現する未来」

かつて、この一節を目にした時は、秀逸なメタファ(比喩表現)だな、としか感じることができませんでした。

ですが、今、この一節を目にすると、種が地中の生態系と地上の生態系の中でダイナミックに活動し、芽を出し、茎を育て、実をつけていく様子がありありとイメージされ、鮮烈なメッセージとして全身を揺さぶるような、そんな感覚を覚えます。

地中には酸素をはじめとする空気のほか、水、大小様々な土中生物、微生物が存在し、時に種を脅かし、時に種の成長を知らず知らず助けることがあります。

地上には太陽から光が降り注ぎ、熱を与えてくれ、昼と夜の気温差により風や雲を生み出し、雲は時に雨を降らせてくれます。地上にも大小様々な動植物が存在し、時に種の成長を脅かし、時に知らず知らずのうちに助けてくれたりもします。

それぞれ、生物種として様々な生命が与えられた環境の中で思うままに生命を全うしようとし、その相互作用の中でバランスが取られた時に最も豊かな生態系が生み出される。

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人の営みと生物の営み、その両方に触れた今だからこそ、この発見と喜びを享受できているように思います。

そう思うと、自分は本当にありがたい立場です。

さて、種が芽を出し、地上に出てきました。この先もどうなっていくのか、今から楽しみです。



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大森 雄貴 / Yuki Omori
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