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ゼロから始める伊賀の米づくり21:自然や、いのちの不確実性とどう折り合うか?

前回の記録からしばらく経ち、いよいよ収穫の時期が近づいてきました。

8月半ばのお盆休み。
毎年この時期になると、稲刈りのための準備も大詰めになってきます。

例年、5月連休に田植えを行い、8月末〜9月上旬に稲刈りを行うため、残すところ後2週間あまり。

このお盆休みのうちに、稲を刈る機械・コンバインの点検と整備、稲を乾燥させる乾燥機と精米機の点検と整備を行います。

昨年、初めて行ったときのおぼろげな記憶を辿りながら、また、分厚くわかりづらい説明書とにらめっこしながら、整備を進めていきます。

稲刈りを行うコンバインにも乗り込んでみると、頭ではなく身体で乗り方を覚えているようで、操作の仕方が徐々に頭にも思い出されてきます。

燃料、電気系統、ギアの噛み合わせ部分、動力を伝えるゴムの強度と張り具合を点検し、どうやら起動も問題なさそうです。

機械の具合もおおよそ点検を終え、最後は直前のチェックのみ。

次は、一番大事な田んぼの様子も見に行きます。

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例年に比べて梅雨入りも早く、このところも雨や曇りが多い状況でしたが、この日は晴天でした。

畦道の際まで下っていき、稲穂🌾の様子も確認してみます。

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どうやら、無事に育ってきてくれているようです。

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あと半月もすれば、この黄緑色の風景も黄金色に変わり、いよいよ収穫の時期。……と、なるはずでした。

ところが、今年はそうはなりませんでした。

8月半ばから、全国的に災害級の大雨に見舞われました。

全国各地で土砂災害や道路の冠水等の被害が出る中、地元の稲作に関してもこの大雨が影響してきたのです。

雨が降り続いたある日、近所のSさんが訪ねてきてこう言います。

『今年は、9月入ってからの収穫やな。雨が多いから』

曰く、今年は例年よりも10日ほど稲刈りの予定を後ろ倒しにした方が良さそうだ、とのこと。

地元では幸い洪水などの被害はなかったのですが、あまりにも雨が降り続き、例年に比べて気温が足りません。

毎日の気温を足し算しながら成長していく稲にとって、まだまだ日差しや気温が少なすぎるということだそうです。

まさか自分も、今年は2回梅雨が来るとは思ってもみなかったため、急いで各種の予定の調整し直しが必要になりました。

農を生業にするということは、自然の不確実性を受け入れて生きるということ。

人間社会であれば、カレンダー通りの予定で物事を組み立て、進めることができるかもしれませんが、農に関しては相手は自然であり、命です。

受精卵も、受精して直ちに生き物として成長し、生まれてくるわけでもありません。

命そのものをコントロールしようとすると、どこかに影響が及びます。

それは、環境破壊という形で現れるかもしれませんし、農では遺伝子組み換えという形で現れるかもしれません。

そう考えると、人間以外の命の在り様とどう折り合っていくか?

そんな問いが頭に浮かんできます。

最後は、人事を尽くして天命を待つのみ。

今年もどうか、無事に収穫できますようにと、この土地の神やご先祖さまに祈るのみです🙏

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大森 雄貴 / Yuki Omori
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