ゼロから始める伊賀の米づくり24:真心込めて、手入れをする
農家の朝は早いとはよく言ったもので、自分も収穫期に合わせて早起きして作業することを続けていると、自然と早寝早起きの習慣が身につきました。
せっかく早起きが続くようになったので、最近は朝起きるとまずは散歩することにしています。
家の田んぼを見守るように佇む神社まで歩いて行き、
その後、田んぼの変化を一通り見て回ってみます。
稲の収穫後、田んぼに残っていた切り株からは新たに新しい芽が育とうとして、黄緑色に染まりつつあります。
空を見上げてみると、うろこ雲。すっかり、秋らしい景色になってきました。
思えば、こうしてぼんやり空を眺める時間も随分なかったように思います。
この時間を大事にしていきたいですね。
さて、朝の始まりをリフレッシュからスタートさせることができたので、今回の本題に入っていきたいと思います。
収穫機械・コンバインのメンテナンスです。
祖父の遺した機械たちのうちの一つですが、これがなければ収穫は成り立ちません。
ただ、きっちり手入れしてやらないと、来年も同じように動いてくれるとは限りません。
隅々まで点検していきます。
手入れの手順は、一度覚えてしまえば、あとは体が勝手に動いて記憶を繋いでくれます。
まずは、車体のカバーを外し、運転席側から時計回りに進むように、順番に展開し、機体内に詰まっている稲藁や籾殻などを取り除いていき、ブロアーで風を送り込み、残りクズを吹っ飛ばします。
続いては、後方へ。こうしてコンベアやカッターを展開してみると、迫力があります。
それ一台で合体ロボット感を感じたり、工場のような複雑な機構が入っているのもみて取れます。
コンバイン後方のコンベアとカッター部分です。コンバイン前方で刈られた稲藁が後方に運ばれ、最終的に最後方のカッターでバラバラに切り刻んでしまいます。
軸に沿って回転しながら稲藁を切り刻む機構上、どうしても藁が絡んでしまうこともありますが、手持ち鎌などで取り除き、すっきりしました。
続いては側方へ。下方のキャタピラ部分は泥が固まらないうちにきれいにしましたが、側方のコンベア部分や回転軸等にはやはり藁がつまりやすく、これも丁寧に手持ち鎌で取り除いていきます。
再び前方に回ってきました。おおよそ、稲藁や籾殻などは取り除けたように思います。
これを、再び元の状態に戻していきましょう。
まずは、運転席側。
後方も閉じていきましょう。
最後、側方。これにて、今回のメンテナンスは終了です。
仕上げは、地面に残った稲藁たちの処分をしてコンバインは屋内へ仕舞います。
昨年、継いだばかりのときにはわからなかったことですが、一つひとつの機械を丁寧に手入れしていくことで、自分たちが米づくりをできていることにありがたさを感じることができます。
機械はある意味自然より精密で、きちんと手入れしたらそのように動いてくれます。
とはいえ、手入れを怠っていると、冬の冷え込みやネズミの侵入といった自然のもたらす影響によって思わぬ故障につながったりもします。
付きっきりでは、こちらの他の活動がままならないですが、放置しっぱなしでも、やはりうまく進みません。
付かず離れずではないですが、そういった関係を機械とは結んでいくとうまくいくようです。
閑話休題。
一つひとつの工程の学びも大事にしつつ、やはり楽しみや喜び、感動がなければ農の営みそのものも続きません。
夕暮れ時、再び田んぼの方へ行ってみると、すっかり高くなった青空の下で、田んぼの脇には稲藁の束が佇んでいます。
この稲藁が乾燥すると、やがて祖母がやっている畑で肥料やその他の方法で有効活用されていきます。
遠くの山並みまで見渡せる、この景色を見ながら大きく息を吸い込み、吐き出します。
一日の始まりと同様に夕暮れもリフレッシュして、今日の作業はこれにておしまい。
さて、ここから少しはゆっくりできるかな。