自分のことが大好きな妹の話。

うちの妹は自分のことが大好きだ。 
自信に満ち溢れている。そして自分のことをいつも、とても可愛いと言う。 

素敵な考え方だと思う。 

思うが、たまに行き過ぎている。

例えば2人でテレビを見ていて、最近よく見るようになった女優さんが写っている。 

「この子かわいいなあ〜」

「ありがとう」 

「あんたじゃねーよ」

例えば2人でスーパーの中を買い回っていて、ベビーカーに乗っている赤ちゃんを見かけたとき。

「わ!こっち見て笑った!かわいい!!」

「ありがとう」

「あんたじゃねーってば」

思いっきり顔向いてる方向ちがうだろ、なんでそうなる。

そして極めつけは、かんかん照りの日に2人で外へ散歩に行こうとして

「うわっ眩しい!」

「申し訳ない」

「あんたじゃねーんだよ」

清々しいくらい清々しい。
こういうふうに生きられたら、毎日は輝いて見えるだろうな〜。 

この間も同じ部屋で私は本を読んでいて、突然妹が話し出した。 

「どうしよう…こんなに…かわいくて…」 

推しの話でもしているのかと顔をあげたら鏡見てて面食らった。

そんな妹の、髪型や髪色やメイクを褒めると、決まって「当たり前やろ。頑張ってるもん」と返ってくる。

彼女もかわいい自分でいるために、たくさん努力しているのだろうな。 

「どんなカイでもかわいいよ」とか言うと逆に怒られる。ちょっと待て、わたし彼氏か。字にしてみて思ったけど、もうちょっと言い方考えるべきだろうか。 

妹の考え方や言動には、前向きに自分を楽しむヒントがたくさん隠れている。いや嘘、隠れてない。ダダ漏れている。自分への惚気とか、聞いたことある?わたしはある。

だが、どちらかというと自分に自信のない姉にはそれが良かったりする。 

2人暮らしを始めるにあたって、母からお言葉をいただいていた。

「ユフとカイはニコイチであると心得ること。」

たしかにそうかもしれない。 

じゃあと思って妹にも、「姉ちゃんのどこが好き?」と聞いてみた。 

そうしたら、「家を直してくれたりいろいろ調べてくれたりなんでも頼れるところ」だそうだ。 

妹がメンタル担当だとしたら、姉は物理担当のようである。

なにより突然のデレに自信が少しアップした姉。
さすがは妹である。



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