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はじめの形、に触れること。

さて、私の作る竹籠のひごはとても薄いために、節越え線引きという器具を使って厚みを減らしている。だいたい0.2ミリくらいまで薄くしなければならないのだが、ひごが乾燥しているのか、刃の切れ味が落ちてきているのか、ちょっとうまくいかないことが重なった。

薄くできないと作業を進めることができないため、少し焦る。

そんなときに思い出したのが、関連文書の史料の中にあった絵図だ。膝に置いたひごの上に刃物を当てている。おそらく、そのままひごを引き、厚みを減らす本来の作業工程である。私の技術では、おそらく均等な厚みにできないだろうと諦めていた工程なのだが、この状態では背に腹は代えられない。

線引きの刃を研ぐことももちろんできたけれど、うまく研げずに失敗して、せっかく作ったひごが足らなくなってしまうのが怖かった。

学生の頃はできなかったが、今はもっと厚みのあるひごならば、職人さんに教えてもらって膝の上で削れるようになっていた。ならばこれもできるはず、と慎重に刃とズボンの間の細く薄いひごを動かす。

…できた!

そしてそれは、実感としてはそこまで難しいことではなかった。

進歩!

5年の時を経て、文書の中の人物と自分の姿を重ねることができたということは、少し感慨深かった。

どこかで、昔にこの籠を作っていた人々の技術に私は追いつけないような気がしていたからだ。時間もないし、慣れてもないしという言い訳をしていた。

でもかつてその手法が取られていたということは、それでできる、ということなのだと思う。
時間がかかっても、手間がかかっても。 

道具はあったら便利だし、役に立つ。 

このやり方をできたからと言って、節越え線引き君を使わなくはならないだろう。

もう少し、突き詰めて追い求めても大丈夫かもしれない。ひとつ乗り越えた坂の向こうに続く道を、歩いて行こうと思った。

というわけでひごが完成しました。

乾燥が進んでいて折れてしまうなどのトラブルがない限りはここから編組に入ります。


頑張ります。

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