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Gucci Garden Archetypes@天王洲アイル【アート】
完全に夏終了宣言を勝手にしていたので、『いやいや残暑ってものがありますから』と平然と夏日になられて戸惑うばかりの週末。
ブランド創設100周年を迎えたGUCCIの現クリエイティブ・ディレクターAlessandro Micheleの6年の軌跡を辿る体験型アーカイブ、Gucci Garden Archetypesを見に天王洲アイルに行ってきました。
非常事態宣言が終わったとは言え、どこも事前予約制で、混み合わないけど気軽にその日に行くこともできない窮屈な方法はいつまで続くんだろうか。
入り口でLINEのQRコードを読み取って音声解説も聞ける様になっていたり、トレンドを掴み続けないファッションブランドは常に新しい仕掛け・仕組みを盛り込んでいる。
最初のお部屋は、過去の様々なムービーを、テレビ型のデスクトップがある一昔前のオフィスのような警備室の様なお部屋。異空間に来た気分にはなるけど、Gucciの各シーズンのイメージシーンなどを知っていると楽しめるけど前情報がないとGucci感は正直薄そう。
続いては、圧倒的な物量と鏡仕かけでインパクトを与えるお部屋。
Gucciのアイコン、Marmontラインの製品をベストセラーアイテムからアーカイブの製品までを中央に一斉に並べ、それと同様に各壁面に蝶々、人形、カッコー時計が同じ密度で敷き詰められていて、単純にそのプレッシャーがすごい。
そして、上下、つまり床と天井が鏡張りになっていて自分の居場所が揺らぐ位の浮遊感に似た違和感も楽しい。
知ってる人が見たら、『あぁ、これはいつのコレクションね』ってわかる展示よりもこういう誰が見ても同じく目の前の物に感じて楽しめる展示の方が個人的にフェアな感じがして好き。
日本では10月に展開を開始したBeauty(化粧品)のImage movie。
GucciだけでなくHermesもBeauty展開を開始して、元々ChanelやDiorは展開していた訳だし、ここ数年香水に力を入れているLouis Vuittonの参入も時間の問題の気もするし今後このカテゴリーの競争が激化しそう。
そんな事は置いといても、真っ赤のリップは暴力的とも思える位セクシーですね。
次のお部屋はちょっとゾッとするくらいリアルなマネキンが迎えてくれる。
正直彼女をじっと見ていいのか、人なのかマネキンなのかしばらくわからなくて、車窓にもしたフレームに流れる映像も彼女のお洋服もバッグも全然目に入って来ないよね。
続いては、広告で使われていた日本のデコトラを使った部屋。
オリンピックでもデコトラが使われていて、日本の文化の一部として売り出せるコンテンツなんですねって思い知らされた。確かに欧米ではモノを運ぶファンクションにフォーカスされたトラックは、男臭いというか無骨というかマスキュリンな側面が好まれて、せいぜいトランスフォーマーのオプティマスプライムみたいな炎柄のペイントがされているくらいなもの。それに対して電飾でデコレーションされるのは目立ちたい根性が昇華された暴走族のバイクやヤン車の延長戦上にある気がするが、電気製品が強かった日本の一側面も反映させた文化の様にも思えてくる。
あ、ちなみにこれが個人的に欲しかった、地厚なカーテンみたいな素材で作られたコート。実際の製品見たけど、まぁまぁ重かった笑
どの国のスラム街か地下鉄通路か。
この通路は展示はないものの、地味にリアルで異国へ飛んだ錯覚を覚えさえてくれる。
その地下鉄の通路みたいなのを抜けると、今度は完全にSFの世界を表現した『屋外』な部屋に通される。
これも架空のSF映画の中で、モデルが洋服などを着ていたヴィジュアルの再現なんだけど、まぁこれだけ見るとよくわからないよね。
とはいえ、やっぱり自然の中でソファで寛げたら気持ちいいだろうなと思わせる展示は好き。希望としてはこの展示はやっぱり外で見てみたかった気もするけど。
続いてのお部屋は、Alessandroになってから1番のお気に入り、忘れもしないIgnashi Monrealとコラボレーションした2018SSのもの。
彼の描写と世界観は最高だし、写実的とはいえ製品を絵で魅せるのは本当に斬新だった。彼のInstagramでは本拠地FirenzeのGucci Garderでこれらの絵を壁に描いているポストを見る事もできる。彼の携帯ケースにはトトロのシールが貼ってあるのがかわいい笑。最近ではCartierとのコラボがStoryで挙げられていて、愛嬌のある彼の人が窺い知れる。彼の優しいタッチは彼のキャラクターそのものなんだな。
トイレっていうロケーションのせいで、あんまり長居したくないルーム。
でも、緻密な刺繍を見て、ラグジュアリーブランドとして矜持を強く感じさせる。それこそ、LVMHやKeringなど大きなコングロマリットに属さないChanelが自らのブランドのクオリティを支えてくれているエンブロイダリーファクトリーを文化を守るためにも買い取った話を思い出した。歴史が長いブランド達は、今を切り取りって表現するために新しいことにチャレンジし続けることが求められる一方で、伝統技術を自分達のためにも後世に残すために後継者を確保するなど保護することも求められる。
ブランドを買うことって、その文化を守るお手伝いの側面もあったりするよね。
そして最後は、年末の紅白で使ってもらえそうな頭飾り。
実際のビジュアルでもバッチリメークされたおばさまがこれ付けてブラックドレス着て満面の笑みを浮かべられていて、控えめに言ってちょっと怖かった笑
本当だったら舞台衣装にしかならないものも製品化して売れるのもブランドの底力を感じさせてくれる。
そもそもGucci Gardenは、ブランド創業の地、フィレンツェにあるアーカイブを展示する美術館のような空間(以前はその名もGucci Museo)。そして限定品を販売するショップや三つ星レストラン、オステリアも併設していて五感で楽しめる場所。
Gucci Garden @Gucci.com
今回も上記の展示に加えて、Gucci Gardenでしか買えないグッズ販売があり、展示を見終わった後は隣のTYハーパーでご飯も食べられる。
旅をするにはまだもう少し時間がかかりそうだけど、観て感じてご飯も楽しめるパッケージが、アチラから来て擬似体験をさせてくれるのは嬉しい。皆さんもゼヒ。
皆さんの、明日から始まる一週間が、ちょっとの間だけでも日常と日本にいる事を忘れて、まるで海外に行ったかの様な気分を楽しめる、そんなひとときがある一週間になります様に。