陶磁器39:日本の焼き物(熊本県:天草陶磁器)
おはようございます。
今日もまだ晴れ間がある訳ではないが雨空とは異なり、まだ朝日を感じることができて気持ちが良い。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
30回目の今日は、熊本県の天草陶磁器。
天草陶磁器(陶磁器)
天草陶磁器は、熊本県の天草地方で焼かれている陶器や磁器。
良質な天草陶石を産出する天草では古くから陶磁器が焼かれており、現在も焼き物の郷として知られている。天草陶磁器の呼び名は、国の伝統的工芸品に指定された時に新たに名付けられた。
天草は九州最古の磁器産地であり、日本一を超え世界一の陶石といわれる『天草陶石』が(主に天草下島で)採れる。
天草陶石は有田焼・波佐見焼・清水焼など全国の有名焼き物にも使われている石。全国の陶石生産量の約8割を占め、電気的絶縁性も高く、高圧碍子(がいし)や宇宙船の耐熱剤などにも使われる。
天草の磁器の特徴は透明感のある白磁の美しさ、一方、島の土を使用した陶器は個性的で素朴な風合いを特徴としている。
4つの主な窯元のひとつ、高浜焼は純度の高い陶石を使用しており、透き通るような白さと深い藍青の持つ呉須の彩りがモダンで印象的。日本で2番目に古い窯といわれる内田皿山焼は、白磁のほかに青磁や染付も焼いている。海鼠釉の元祖と言われる水の平焼は、独特の絵模様や艶が魅力。丸尾焼は、丸尾が丘周辺で採取される赤土を使った素朴な味わいが特色で食器をメインに花瓶や壺など様々なものを焼いている。
歴史
天草陶磁器は、陶石が発見された1650年頃には焼かれていたという記録が残っている。江戸初期・中期に天領と呼ばれる幕府直轄領であった天草では、藩の御用窯のような援助がない分献上の役割もなく、当時から島内の村民が自活のために個性豊かで自由な日常づかいの陶磁器を焼いていた。
良質の陶石を多く産出する天草では、古文書によると1676年(延宝4年)には内田皿山で磁器が焼かれていたとされている。また、1762年(宝暦12年)には、高浜村でも磁器を焼き始めたという記録がある。さらに、1765年(明和2年)になると天草郡本土村水の平(現本渡市)で水の平(みずのだいら)焼が創業した。
それぞれの才覚で個性を活かした陶磁器は現存する窯に継承されており、2003年(平成15年)には国の伝統的工芸品に指定された。現在では11の窯元で、伝統を守りながらも現代生活にマッチした多彩な表情の陶磁器を作り続けている。
地理
天草市は、九州本土とは天草五橋と呼ばれる5つの橋で結ばれている、熊本県では熊本市・八代市に次ぎ3番目に人口が多い市。沖縄本島を除く全国の離島自治体の中では最も人口が多い。
中でも下島で特に良質な陶石が取れたことで、山が多い中でも島を取り囲む様に海沿いの街や村に窯元が点在して独自の陶磁器を作成している。
作り方
天草では地元で採取される良質な陶石や陶土を使用した、さまざまな陶器と磁器が製作されている。ここでご紹介するのは、磁器ができるまでの工程をご紹介していく。
水簸 採掘した天草陶石を細く砕き、水を加えて攪拌したら沈殿槽に移し、小石や砂を底に沈めて泥水となった部分をふるう。除鉄機で鉄分を取り除きながら別の槽へと移す。
脱水 鉄を取り除いた後の泥水を入れた槽の底に沈んだ粘土泥漿を素焼鉢か石膏鉢に入れる。このまま、適度に水分がなくなり粘土状になるまで放置。
荒練り 足で粘土化した原土を練り、粘土の中の空気を抜き、ここで硬さを均一に整える。
ねかし 湿度の高い冷暗所で粘土を保管して熟成させる工程。粘度を高めて成形性を良くするために有機バクテリアによって熟成させる。
菊練り 粘土に含まれる空気を取り除く。作品や好みに合わせて粘土の硬さを最終調整する工程。
成形 こうして出来上がった粘土で製品の形を作る工程。
ろくろを使うろくろ成形、板状にのばした粘土を元に形を作るたたら成形、ひも状にした粘土で形を作るひも作り成形、型に粘土を押しつけて形を作る押型成形、手だけで形を作る手ひねり成形などの成形技法がある。素地仕上げ それぞれの技法を使って成形した生地が生乾きの状態のうちにろくろに乗せて、高台や側面に削り加工などを行う。型仕上げの場合は、併せて目の仕上げと水拭きで表面を滑らかにする加工も行う。
加飾 素地仕上げの後は、生地製品に加飾を行う場合もある。加飾技法には、模様などを彫り込む象がんや表面を白く滑らかにする化粧掛け、釉薬などによって盛り上がった線文を生むイッチンなど様々なものがある。
乾燥・素焼き 仕上げや加飾を施した後は、生地製品を屋内で自然乾燥させ、屋内である程度乾燥させたら屋外に出して完全に乾燥させる。乾燥した後は、900℃前後の温度で焼成する素焼きを行う。
下絵付け 素焼きをした後は、呉須絵具や鉄絵具を用いて生地に絵や文様を描いていく。
釉薬調合 下地の色をいかす透明釉、暗色の鉄釉・淡い色となる藁灰釉などの釉薬を調合する工程。なるべく地元で採取できる原料を使い、それぞれの窯で独自の釉薬を調合する。
釉掛け 製品に釉薬をかける工程。釉薬の中に浸す浸し掛け、柄杓などで釉薬を掛ける流し掛け、霧吹きで吹き付ける吹き掛け、刷毛で塗る塗り掛けなどの豊富な技法がある。
窯積み 釉掛けが終わった作品を窯に入れる。棚板と支柱で棚を組んでその間に作品を並べていく。色見と呼ばれるサンプルを作品と共に窯の中へ入れる。
焼成(本焼き) 1300℃前後の温度で焼成する。作品によって焼成する時間は異なる。覗き窓から窯の中の状態を観察し、釉薬が溶けてきたらサンプルの色見を引き出して釉薬の状態を見る。一定時間温度を保った後に窯を冷やし、窯の温度が100℃程になったら窯から作品を出す。
上絵付け 焼成した磁器に、上絵用絵具で絵付けをする。
上絵付け焼成 絵付けが終わった作品を再び窯に入れて、800℃前後で焼成し、上絵用絵具を焼きつける。
窯出し 窯の温度が100℃程になったところで、窯から作品を出す。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/
https://journal.thebecos.com/yakimono-type/
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。