SDGs 19: 15 陸の豊さも守ろう
おはようございます。
今日は朝から5℃とより冷え込みが一旦弱まり、昨日も日中の気温が2桁に戻ってだいぶ過ごしやすかった。今週いっぱいは春を先取りするような気候になるようなので楽しみだ。
さてSDGsに関して学び始めたけれど、今日からは実際にSDGsの17の目標を具体的に見ていきたい。
今日は15個目の『陸の豊さも守ろう』から見ていこう。
持続可能な開発目標
持続可能な開発目標(英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である。さらにその下に、169の達成基準と232の指標が決められている。
SDGs目標15『陸の豊さも守ろう』は、海洋を除く自然環境に関する多くの問題(陸域生態系の破壊や森林伐採の進行など)を背景に掲げられた目標。
森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図ることを目的としている。特に、森林や湿地、乾燥地、産地などの陸上生態系を保全し、2020年までにその利用回復を狙いとしている。
森林、草原、砂漠等、様々な地形からなる陸上の生態系は、地球上の約30%を覆っており、わたしたち人間が生活を営むために欠かすことのできない職・食料・燃料・医療品等の全ての供給源。そのため、こうした陸上の生態系が壊れてしまえば、私たち人間は生きていくことが難しくなる。
このため、SDGsの目標14で掲げられている海の豊かさだけではなく、陸上の豊かさも守っていく必要がある。
それぞれの項目の達成目標
ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、数字が入る場合は目標に対する具体的な課題を、アルファベットが入る場合は課題を達成させるための手段や策を指す。
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。
「陸の豊さも守ろう」はなぜ必要か
現在対策が必要な陸地において、実際に起きている問題を確認していきたい。
陸域生態系の崩壊・生物多様性の損失
私たちの生活や経済活動により生態系の機能が崩壊し、生物多様性の損失が進んでいることが懸念されています。
今後も生物多様性の損失が続いてしまうと、将来の私たちの豊かな暮らしに重大な影響を及ぼしかねない。生物多様性の減少と変化によって脅かされる可能性のある生態系サービス(生態系や生物に由来し、人類の利益になるサービス)としては、食料、繊維、医薬品そして新鮮な水の供給や、農作物の受粉、汚染物質のろ過、自然災害からの保護など多岐にわたりる。こうした状況を改善するべく、すでに様々な取り組みが行われてきている。しかし、生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)を実施するための取り組みが、生物多様性の損失に対応できる十分な規模ではない。その結果、生態系がある限界値あるいは転換点を超えた場合、生物多様性の劇的な損失により現在の生態系は崩れ、その影響を受けて広範な生態系サービスの低下が生じるリスクをこのままでは避けられない現状になってきている。
森林破壊
森林には、主に以下の8つの機能があります。
地球環境保全機能(温暖化緩和)
土砂災害防止
水源涵養機能(水質浄化)
快適環境形成(大気浄化)
保養・レクリエーション
生物多様性保全
文化・教育
物質生産(木材・食料・薬品)
世界の森林は1分につきおよそ 25 ヘクタールずつ失われていると言われ、これは年間平均で約13万平方キロ(北海道と九州を併せた面積)にもなる。特にアマゾンの森林は、森林伐採と森林火災、気候変動の相互作用により、広範囲に渡り減少いる。一部の森林がより頻繁な森林火災と激しい干ばつの悪循環に陥り、サバンナのような植生に変わってしまう恐れがある。
これによって、地域的な降雨量が減少し、農業生産が低下することになったり、炭素排出量の増加や生物多様性の大規模な損失による、地球規模での影響も懸念されています。
土壌劣化・砂漠化
土壌の劣化や砂漠化が人類に及ぼす影響は深刻だ。砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域には世界人口の約35%が暮らしているが、毎年240 億トンの土壌が浸食によって失われ1,200万ヘクタールの土地が干ばつによって劣化し、砂漠化している。これは、換算すると一分間に2,000トンの穀物が栽培可能な23ヘクタールの土壌が失われていることを意味する。
一度表土が失われると取り戻すには数世紀もの年月が必要となる。過剰耕作・過放牧による土壌構造の破壊と侵食、化学物質による水質汚染、温室効果ガスの排出、生息地の破壊も起きており、これらによっても土壌の劣化や砂漠化が進展している。
生物の大量絶滅
現代は第六の大量絶滅期と呼ばれており、実に約25%、100万種に絶滅の危険性があるとされる。さらに、種の絶滅の速度は過去1000万年の平均の数十倍から数百倍といわれ、この傾向は加速している。生物の多様性は生態系を機能させるうえで極めて重要な要素で、生物多様性が失われてしまうと自然からの恵みも失われる。
世界における解決への取り組み事例
では目標15「陸の豊さも守ろう」に対して、日本や世界ではどういった取り組みが行われているか。具体的に見ていこう。
世界の取り組み
ポスト2020生物多様性枠組みの策定
カナダのモントリオールで、2022年12月に開催される国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)の最終会合では、生物多様性保全に関する2030年までの世界の目標を定めた「ポスト2020生物多様性枠組み」が採択される予定。
この目標に関する議論はすでに始まっており、陸域や海域の30%を保護区にすること(30by30)や、企業のサプライチェーン上の影響の半減、外来種の管理・根絶、生物多様性保全のための資金動員の推進など、21個の個別目標が議論されている。
また、2030年までの大目標として、現在下降トレンドにある自然の状態を回復傾向に乗せるという「ネイチャーポジティブ」を達成させることが示されていて、世界全体の目指す方向性の指針となることが期待されている。
SEEA EA
現在の自然生態系の減少傾向を転換させるためには、自然の持つ価値への認識を根本的に見直す必要がある。その一環で行われているのが、国連環境・経済統合勘定(SEEA)の一つ「生態系勘定(SEEA EA)」。
この取り組みでは、各国の「資産」として生態系がどの程度存在しているか、また、その資産から生み出される恩恵「生態系サービス」の価値はどの程度か、ということを金銭価値として計算する方法論を提供し、GDPなどの経済指標とひもづけ可能にすることで現状を把握し、自然の価値を踏まえた政策・事業判断ができる素地を提供している。
企業事例:ネスレ
こうした世界の潮流を受けて、企業も生態系保全への取り組みを強化している。
例えば大手食品メーカーのネスレは、2025年までにサプライチェーン上の森林伐採をゼロにすることを目標とし、NPOと連携した現地調査や衛星モニタリングによる伐採の監視を行っている。さらに、2030年までに2億本の植樹を計画しており、森林破壊ゼロの先を行く「フォレスト・ポジティブ」を将来的なビジョンとして掲げている。
日本の取り組み
OECM
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)とは、法律で定められた保護区などの公的な保護区外で、かつ継続的な保全活動などにより適切に生態系の保全が行われている地域を自発的な準保護区のようなかたちで設定して保護区ネットワークに加えていく取り組み。
環境省の主導するOECMの取り組みは上記の「ポスト2020年生物多様性枠組み」において議論されている個別目標の一つである30by30(サーティバイサーティ、陸域・海域の30%を保護区にすること)を達成するための手段として定められた。目標達成を目指すアライアンス(生物多様性のための30by30アライアンス)にはトヨタ自動車や三菱商事、イオン、キリンホールディングス、積水ハウス、鹿島など、2022年8月時点で256の企業・団体などが加盟している。これらの企業は自社で所有する森林などをOECMとして認定・管理する形で、30by30の達成に貢献している。
企業事例:サントリーホールディングス
サントリーホールディングスは、全国21カ所の水源涵養エリアに「サントリー天然水の森」を設定し、合計1万2000haの森林を保全している。この森林では、水源涵養の機能維持のほか、生物多様性の保全、洪水・土砂災害の防止機能維持、二酸化炭素吸収、自然との触れ合いの場の提供を意識した管理が行われており、OECMとしての認定についても議論が進められている。
解決に向けて私たちにできること
(1)生態系に配慮された商品(認証付き商品など)の購入
現在、生態系に配慮した商品に付与されるさまざまな認証制度が存在していて、そうした認証を得た商品を購入することで生態系保全に貢献できる。
例えば、紙や木材であればFSC認証を取得したものを、パームオイルを使った商品についてはRSPO認証を得たものを、野菜や果物などであれば有機JASマークのあるものを購入することが生態系の保全につながる。
これは個人だけでなく企業でも同様であり、調達先を、信頼度の高い認証を得た商品を扱う事業者に変えることで、サプライチェーン上の環境負荷の軽減につながり、NGOなどからの批判を受けるリスクの低減にもつなげられる。
(2)食事の見直し(減肉)
陸上の生態系への影響で最も大きいものの一つが食料生産。特に、牛や豚などの肉は飼育段階で飼料として与える穀物の栽培なども含め、広大な土地と水を必要する。日本では大きなインパクトのイメージがないが、実際地球上の陸地の30%が家畜の飼育のために占有されている。
それに比べ、大豆などの植物性の食べ物は、必要となる土地や水がはるかに少なくて済み、砂漠化を食い止めることにもつながる。そのため、日々の食事で消費する肉の量を減らし、野菜や大豆などの植物ベースの食事を増やすことで生態系への影響を大きく削減することができる。
(3)庭・ベランダでの植栽
都市部・郊外エリアでは、庭の木や花壇の花が地域の生態系を支える重要な役割を担っている。積水ハウスが実施した「5本の樹」プロジェクトでは、戸建て住宅に地域生態系に配慮した5本の樹を植えるだけで、地域の生物多様性に大きく貢献することが明らかになった。
都内のベランダで植木鉢を育てるだけでもみつ蜂や蝶、鳥が来るような小さな自然を作ることができる。身の回りの生活空間のなかで、可能な範囲で自然生態系を作っていくと、結果的に季節の花や香りも楽しめるのでおすすめ。
(4)寄付・ボランティア
現在、数多くのNPOや市民団体が地域の自然環境を守るための活動を行っている。こうした団体の活動によって身近な自然は保全されているがほとんどが人手不足、資金不足の状態。こうした団体への支援も、自然生態系の保全・再生に貢献することにつながります。
興味があるところで、出来ることから、取り組んで行きたい。
こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。