SDGs 18: 14 海の豊かさを守ろう
おはようございます。
今日も朝から2℃とより一層冷え込みが厳しい中でようやく日中の気温が2桁に戻ってくれるみたいだ。と安心したのも束の間、また来週火曜日からは最高で6℃と未だかつてない冷え込みになるみたいで、春の訪れはもう少し先になるみたいだ。
さてSDGsに関して学び始めたけれど、今日からは実際にSDGsの17の目標を具体的に見ていきたい。
今日は14個目の『海の豊かさを守ろう』から見ていこう。
持続可能な開発目標
持続可能な開発目標(英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である。さらにその下に、169の達成基準と232の指標が決められている。
SDGs目標14『海の豊かさを守ろう』は、海や海洋資源を持続的に利用するために、私たちが具体的にするべきことを示した目標。
海洋は私たちにとって重要な環境であり、漁業や観光などは社会、経済発展に不可欠なもの。この海洋資源を持続的に開発しつつ、生態系を守っていくことは海の豊かさを維持する上では重要な課題となっている。しかし海洋は水質汚染や気候変動にさらされ、環境の悪化や生態系を歪めてしまう状況に陥っている。このため現在の環境を改善しつつ、海洋や海洋資源を保全し、持続可能な形で利用できる世界を目指す必要がある。
それぞれの項目の達成目標
ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、数字が入る場合は目標に対する具体的な課題を、アルファベットが入る場合は課題を達成させるための手段や策を指す。
14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。
「海の豊かさを守ろう」はなぜ必要か
現在対策が必要な海において、実際に起きている問題を確認していこう。
海洋汚染
海洋汚染はかなり深刻な状況となっている。その原因は様々だが、8割は陸地からの影響と言われ、二酸化炭素や農業及び工業排水、未処理の下水や油、栄養塩類、堆積物、海洋ごみなどが陸地から海に流れ込み、悪影響を与えている。残りの2割が漁業や養殖業、製造業、沿岸の観光業、港湾開発など多様な海ないし海岸部での活動に起因している。
この海洋汚染は「海洋温暖化」「海洋の酸素欠乏」「海洋の酸性化」といった状態が挙げられる。
海洋温暖化
地球では温暖化が進んでいますが、それは地表の温度だけでなく海水の温度も上昇している。温室効果ガスが増えた影響で空気中の温度が上がりますが、海水も熱を吸収する。そうなれば自ずと海水温が上昇し、海流の変化を起こして海洋中の生態系に直接影響を及ぼす。また海水温の上昇によりサンゴを白化させてしまうため、後述の酸素欠乏や酸性化を助長することにもなりかねません。
海洋の酸素欠乏
温室効果ガスによる海水温上昇は海流の変化だけでなく、水中に溶ける酸素の量が減少するために海洋の酸素欠乏も引き起こす。また暖かくなれば水生生物の代謝が活発化するため、より多くの酸素を消費する。さらに、暖かい海水は上に冷たい海水は下に動きやすいため、表層と深層の水の循環が起こりにくくなり、深層に酸素が行き届かない現象も起こす原因となる。
そして、温室効果ガスだけでなく、海洋の富栄養化も酸素濃度低下の要因となっている。農薬などを含んだ土壌の流出などにより、海水内の肥料分や栄養塩類の濃度が上昇し、植物プランクトンや藻が大量に発生。これにより、日中は光合成により一時的に酸素は過飽和状態になるが、夜間は生物の呼吸が増えるため酸素を大量に消費して酸欠状態に陥る。さらにこうして死滅したプランクトンが大量に沈降すると腐敗や分解が進み、海底の酸素を余計に消費してしまうため、酸素欠乏を加速させることになる。
海洋の酸性化
聞きなれない言葉だが、酸性化も海洋汚染の中で深刻な問題だ。
海には熱だけでなく二酸化炭素も吸収されるが、この気体は海洋の酸性度を高めてしまう。酸性化の影響を受けるのはサンゴなどの石灰化生物であり、殻や骨格の生成能力は水の酸性度に左右されるため、酸性化が進めばそれらの能力が正常に動作しない可能性が高まる。地球温暖化がこのままのペースで進めば、2030年には地球上のほとんどのサンゴ礁が消滅するといわれている。サンゴだけでなく、プランクトンや甲殻類などの生命、繁殖力、成長にも影響や被害がおよぶと予想されている。
一度食物連鎖が乱れれば、他の生物への影響も懸念されるため早急な対策が求められるが、二酸化炭素の排出量の削減には時間がかかっており、また削減できたとしても海洋中の酸性度が正常に戻るには多くの時間を必要とするため容易ではない。
海洋資源の減少
現在では和食の人気もあり水産物の需要が世界的に高まっており、加工や保存、輸送技術の発達によってより多くの魚介類が消費されるようになったことから過剰な資源消費に陥っている。違法漁業や乱獲なども水産資源に被害を与えている。これらの過剰な資源の利用が続けば、当然海洋資源は減少の一途を辿り、やがて安定的な供給どころか海洋資源が利用できないといった状況にもなりかねない。そのため国際社会による協調した資源管理は必須であり、現在の課題にもなっている。
プラスチックごみ
7つ目の『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』や12個目の目標『つくる責任 つかう責任』でも触れてきたが、日常生活で使われているペットボトルや容器などのごみがポイ捨てや適切な処理をされないことで海に流れ込んだものをプラスチックごみと言うが、このプラスチックごみも海洋に大きな影響を与えている。
日本は島国のため、様々な漂着ごみが運ばれてきますが、プラスチックごみの主要排出源は東アジアや東南アジア地域であるという推計もある。また、世界中で毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流れ出ているという試算もあり、世界中で問題となっている。
このプラスチックごみはごみそのものも海洋生物がプラスチックごみを誤飲してしまうことによる生態系への影響も顕著(海亀が海中に浮いているビニール袋をクラゲだと思って飲み込んでしまうなど)。しかし、プラスチックの劣化などにより5ミリ以下に小さくなったものをマイクロプラスチックが、回り回って自分たち人間にも健康被害を及ぶ原因にもなっている。食物連鎖の頂点に立つ人間がこのマイクロプラスチックを飲み込んで蓄えていた海産物を食べることで、体内に蓄積するリスクがあるのだ。
世界における解決への取り組み事例
では目標14「海の豊かさを守ろう」に対して、日本や世界ではどういった取り組みが行われているか。具体的に見ていこう。
世界の取り組み
The Ocean Cleanup
オランダの非営利団体であるThe Ocean Cleanupでは、世界の海ごみが集まる太平洋ごみベルト(北太平洋にある海流によってごみが集まる海域)での回収活動や、世界中の汚染度が高い川での回収活動している。海流を利用した画期的なごみ回収案は多くの失敗を重ねながらも、着実に科学的な前進を遂げている。
Race for water
スイスの財団であるRace for waterでは、「レース・フォー・ウォーター号」(太陽・風力・水素をエネルギー源に動く船)で世界各地を航海しながら、海洋汚染の実態を調査したり啓発活動などを行っている。
プラスチックの回収に本気で取り組んでいる財団で、日本でも海藻を使ったマイクロプラスチック(直径5mm以下のプラスチック)の回収が取り上げられた。
MSC認証・ASC認証
海の豊かさを守る世界的な取り組みとして、MSC認証とASC認証も挙げられる。
MSC認証は、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)が管理・推進する、水産資源や環境に配慮した持続可能な漁業に対する認証。一方ASC認証はASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)が管理・推進する、環境や社会への影響を最小限に抑えて育てられた養殖場に対する認証。
MSC認証・ASC認証を取得した漁業、養殖場で生産された水産物にMSC「海のエコラベル」、ASCラベルがつけられているので、これらの魚介類を選んで買うことで環境保持に繋げられる。
日本の取り組み
スズキ株式会社
自動車で知られる日本の輸送用機器メーカーであるスズキは、2020年に船外機に取り付け可能なマイクロプラスチック回収装置を開発した。この回収装置は、船外機のエンジン性能に影響を及ぼさず、環境にも優しい装置となっていて、船を走らせるだけでマイクロプラスチックが回収できる画期的な製品として話題になった。
株式会社テクノラボ
日本のプラスチックメーカーのテクノラボが始めたブランド、buøy(ブイ)では廃棄されたプラスチックを材料に伝統工芸品を制作している。この取り組みは回収した海洋ごみにより高い価値を付加させるものとして、また既にLOFTなどで製品が販売されるなど注目されている。
解決に向けて私たちにできること
ごみの削減
一番大切なのは、ごみの量を削減すること。まずは、普段の生活でどれだけのごみが出ているか、出しているごみ袋の写真を撮ったり重さを量ったりするなどして把握してみるのもいいだろう。
ごみの量が把握できたら、減らせるごみがないか考えてみたい。あれもこれもと始めると生活に支障が出るので、マイバッグやマイボトルを持ち歩いたり、本当に必要なもの以外買わないようにしたりするなど、まずは身近なところから削減するのがおすすめ。
ごみの回収
ごみ箱に捨てられなかったごみは放置していると雨風で川に流れ、最終的には海にたどり着く。そのため、ポイ捨てをしないでごみ箱にごみを捨てるのはもちろん、道端や公園など街中にごみが落ちていたら回収してごみ箱に捨てることも大切。
また、ビーチにあるごみは放置していると紫外線と波の影響でマイクロプラスチックになり、回収がより困難になる。それを未然に防ぐ活動としてビーチクリーンがある。多くのビーチでさまざまな団体が活動しているので、海に近い方、気になる方は探してみてほしい。
回収した海洋ごみの再利用
環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について」によると、一般廃棄物のうち埋め立て処分に回るごみの量は減少傾向にあるものの、埋め立てをする土地も減っており、その確保が難しいと言われている。
このため、今後は海洋ごみをただ処分するのではなく、リサイクルするための技術革新や分別など効果的な改修の取り組みなどがより重要になってくる。
個人ベースの日々できるアクションもこの14個目の「海の豊かさを守ろう」に限らず見てきた事例だが、不必要なものは消費しない、何度も使えるものを自ら用意してゴミになるものを使わない、ということが全ての第一歩になってくる。
マイバッグを持ち、レジ袋をもらわない
マイボトルを持ち、プラスチックのカップやストローの使用を減らす
マイ箸を持ち、プラスチックのスプーンやフォークの使用を減らす
スーパーなどで食品を小分けにするポリ袋の使用を減らす
興味があるところで、出来ることから、取り組んで行きたい。
こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。